BAC:バンクオブアメリカの配当推移

バフェット銘柄,配当,金融

【2025年12月更新】BAC配当の今後と将来性を徹底分析 | 安定性と株主還元の実態

【2025年12月更新】BAC配当の今後と将来性を徹底分析 | 安定性と株主還元の実態

「アメリカの銀行」の名を冠する巨大金融機関、Bank of America (BAC)。ウォーレン・バフェットが率いるバークシャー・ハサウェイのポートフォリオでも大きな割合を占める同社の配当は、今後も安定的に成長を続けられるのか?直近決算(2025年Q3:2025年9月30日終了)を軸に、将来性を整理します。[1]

はじめに:この記事でわかること

BACは近年継続的に増配してきました。これからも増配が期待できるのか、以下のポイントで評価します。

  • BACの稼ぐ力:金利環境の変化にどう対応しているか?
  • 株主還元:配当と自社株買いのバランスは?
  • 会社の体力:不況に耐える財務基盤は万全か?
  • 他行との比較:業界内での立ち位置は?
  • 現状からの結論:配当の安定性と今後の見通しは?

結論として、BACの配当は「高い安定性と持続性」があり、着実なインカムを求める投資家にとって魅力的な選択肢であると評価します。


BAC配当分析サマリー(2025年Q3:2025年9月30日終了時点)

  • ここがポイント
    • 四半期配当は$0.28/株(2025年Q3、年換算$1.12)。[1]
    • 資本余力(CET1比率:Standardized)は11.8%(2025年Q3末)。[1]
    • 稼ぐ力(ROTCE)は15.4%(2025年Q3)/14.7%(2025年1–9月累計)。[1]
    • 配当性向は約31%(2025年1–9月:累計配当$0.80 ÷ 累計EPS$2.58、1株ベースの概算)。[1]
    • 直近四半期(2025年Q3)は純利益$7.3bn総収入(純額)$27.4bnと、収益の底堅さを維持。[1]
  • 現状分析: 利益・資本・配当の3点セットがそろっており、配当の持続性は引き続き高いと判断します。[1]
注意: 本分析は情報提供のみを目的としており、投資勧誘を行うものではありません。投資の最終判断はご自身の責任で行ってください。過去の実績は将来の成果を保証しません。

1. BACの「稼ぐ力」:金利環境の変化と収益力

BACの収益は、金利の動向に大きく影響される純利息収入(NII)が柱です。ここでは、配当余力の土台となるPPNR(貸倒引当前純営業収益)純利益を俯瞰します。直近は2025年Q3(2025年9月30日終了)を最新として反映します。[1]

純利益・総収入・PPNR推移(2015–2024通期+2025年1–9月累計、単位:10億ドル)
期間 総収入 PPNR* 純利益 備考
2015(通期) $85.4 $32.5 $15.9
2016(通期) $83.7 $30.8 $17.9
2017(通期) $87.4 $33.0 $18.2
2018(通期) $91.2 $38.8 $28.1 税制改革効果
2019(通期) $91.2 $38.3 $27.4
2020(通期) $85.5 $30.0 $17.9 COVID-19影響
2021(通期) $89.1 $36.4 $32.0 引当金戻入益
2022(通期) $94.9 $36.2 $27.5 金利上昇効果
2023(通期) $98.6 $37.0 $26.5 高金利維持
2024(通期) $98.1 $35.0 $24.9 金利収入ピークアウト
2025(1–9月累計) $82.4 $30.3 $20.4 直近:2025年9月30日まで[1]
*PPNR:原則として「総収入 − 非金利費用」の考え方。表内の2015–2024は原稿の構成を維持しつつ、2025年1–9月は会社開示の総収入・非金利費用から同一ロジックで算出($82.4 − $52.1 = $30.3)。[1]

この表からわかること: 2022–2023年にかけては金利上昇の恩恵で収益が拡大しましたが、2024年以降はその効果が一巡し、収益は落ち着きました。それでも、2025年Q3は純利益$7.3bn総収入(純額)$27.4bnと、配当の土台となる利益水準を維持しています。[1]


2. 1株当たり利益と会社の稼ぐ力(ROE分析)

1株当たり指標と収益性比率(2015–2024通期)
年度 EPS ($) ROE (%) ROTCE* (%) 備考
2015 $1.31 6.4% 8.7%
2016 $1.50 7.2% 9.6%
2017 $1.56 7.3% 9.5%
2018 $2.61 11.0% 14.8% 税制改革効果
2019 $2.75 11.0% 15.0%
2020 $1.87 6.7% 9.0% COVID-19影響
2021 $3.57 12.1% 16.8% 引当金戻入益
2022 $3.19 10.3% 14.5%
2023 $3.08 9.2% 13.0%
2024 $2.99 8.8% 12.5% 安定的な収益
*ROTCE(有形普通株主資本利益率):銀行の「実質的な」資本効率を示す重要指標。直近は2025年Q3で15.4%2025年1–9月累計で14.7%(会社開示)。[1]

ROE(自己資本利益率)とROTCEの重要性

ROE(Return on Equity)は、銀行業界で重視される収益性指標の一つです。株主が投資した資本に対して、どれだけ効率的に利益を生み出しているかを示します。

ROE = 純利益 ÷ 平均株主資本 × 100

ROTCE(Return on Tangible Common Equity)は、ROEから無形資産(のれん等)を除いた、より実質的な資本効率を示す指標です。

ROTCE = 純利益 ÷ 有形普通株主資本 × 100

ROEの評価基準(銀行業界の目安):

  • 15%以上:非常に優秀(トップクラス)
  • 10-15%:良好(業界平均以上)
  • 8-10%:普通(業界平均程度)
  • 8%未満:改善の余地あり

この表からわかること:
特殊要因があった2021年を除き、EPSは景気循環の中でも一定の水準を維持しています。株主資本の効率性を示すROTCEは、直近(2025年Q3)で15.4%と、大手銀行として良好な水準にあります。[1]


3. 株主還元(配当と自社株買い)

近年の配当実績と増配状況

BACは安定的な増配を継続しており、直近(2025年Q3)は$0.28/株の四半期配当が確認できます。[1]

近年の四半期別配当実績(直近:2025年Q3)
四半期 配当/株 ($) 前年同期比増配率
Q3 2023 $0.24 +9.1%
Q4 2023 $0.24 +9.1%
Q1 2024 $0.24 +9.1%
Q2 2024 $0.24 +9.1%
Q3 2024 $0.26 +8.3%
Q4 2024 $0.26 +8.3%
Q1 2025 $0.26 +0.0%
Q2 2025 $0.26 +0.0%
Q3 2025 $0.28 +7.7%

配当性向の長期推移

配当実績と配当性向(2015-2024年+2025年1–9月累計)
期間 配当性向 EPS ($) 配当($) 増配率
2015(通期) 15.3% $1.31 $0.20 +300%
2016(通期) 18.7% $1.50 $0.28 +37.5%
2017(通期) 30.8% $1.56 $0.48 +72.7%
2018(通期) 23.0% $2.61 $0.60 +25.0%
2019(通期) 26.2% $2.75 $0.72 +20.0%
2020(通期) 38.5% $1.87 $0.72 0.0%
2021(通期) 22.1% $3.57 $0.79 +9.7%
2022(通期) 26.3% $3.19 $0.84 +6.3%
2023(通期) 30.5% $3.08 $0.94 +11.9%
2024(通期) 33.2% $2.99 $1.00 +6.4%
2025(1–9月累計) 約31.0% $2.58 $0.80

この表からわかること:
重要なのは配当性向で、概ね無理のないレンジを保っています。直近は2025年1–9月累計で約31%(1株ベース概算)であり、利益の範囲内で配当を継続できていることが読み取れます。[1]

総株主還元(配当+自社株買い)

総株主還元実績(単位:10億ドル)
年度 総還元性向 (%) 純利益 配当総額 自社株買い 総還元額
2018 92.5% $28.1 $6.4 $19.6 $26.0
2019 111.3% $27.4 $7.5 $23.1 $30.6
2020 43.0% $17.9 $7.7 $0.0 $7.7
2021 99.4% $32.0 $7.1 $24.8 $31.9
2022 65.1% $27.5 $7.8 $10.1 $17.9
2023 64.5% $26.5 $8.5 $8.6 $17.1
2024 69.9% $24.9 $8.4 $9.0 $17.4

この表からわかること:
BACは配当だけでなく、自社株買いも組み合わせて株主還元を行っています。自社株買いは規制・資本余力・市況に応じて変動するため、配当(固定的)+買い戻し(可変)という二段構えで見ると、還元の「安定性」と「調整余地」が同時に把握しやすくなります。


4. 会社の体力(健全性)は大丈夫か?

指標 2023年末 2024年末 2025年Q3末 規制要求 超過幅
CET1比率(Standardized) 11.9% 11.8% 11.8%[1] 10.0% +1.8pp

銀行の健全性を示す最重要指標であるCET1比率は、2025年Q3末時点で11.8%と、規制が要求する水準(ここでは10.0%を目安として表示)を十分に上回っています。これは、予期せぬ経済ショックに対する耐性を確保しやすい状態であり、安定配当の重要な裏付けになります。[1]


5. 投資家が注意すべきリスク

  • 金利低下リスク: 利下げ局面では、収益の柱である純利息収入(NII)が圧迫される可能性があります。BACは金利感応度が大きいビジネス構造のため、配当の「維持」よりも「増配ペース」に影響が出やすい点に注意が必要です。
  • 規制の動向: 資本規制(バーゼル関連やストレステスト等)は、配当・自社株買いの裁量に影響し得ます。CET1の余力があっても、規制要件の上振れやバッファ増加で還元余地が狭まる局面があり得ます。
  • 消費者信用リスク: 消費者向け貸出の比重が大きく、景気悪化が深刻化すると与信コスト(引当)が増加する可能性があります。

6. 競合他行との比較分析(参考)

利回りは株価で日々変動するため、このセクションでは配当の持続性に直結しやすい「資本(CET1)」と「資本効率(ROTCE)」を軸に、位置づけを確認します。BACの直近値は2025年Q3(2025年9月30日終了)です。[1]

銀行 配当利回り(参考) 配当性向(参考) ROTCE(直近/参考) CET1比率(直近/参考)
JPM —(株価で変動)
BAC —(株価で変動) 約31%(2025年1–9月、概算)[1] 15.4%(2025年Q3)[1] 11.8%(2025年Q3末)[1]
WFC —(株価で変動)
C —(株価で変動)

この表からわかること:
BACは、資本(CET1)に一定の余力を持ちつつ、ROTCEも良好なレンジにあります。配当は「高水準」よりも「持続性」を優先して確認したい銘柄のため、利益(EPS)→ 配当性向 → 資本(CET1)の順にチェックしていくと、判断がブレにくくなります。[1]


7. 結論と投資判断

Bank of Americaの配当は、「高い安定性と持続性」があり、特に着実なインカムゲインを重視する長期投資家にとって、ポートフォリオの安定性を高める選択肢であると評価します。

  • 定量的根拠: 2025年Q3時点で四半期配当$0.28/株、配当性向約31%(2025年1–9月概算)、CET1比率11.8%と、配当の安全性を支える要素がそろっています。[1]
  • 定性的根拠: 全米に広がる顧客基盤と、景気循環を前提にしたリスク管理が、収益の急ブレを抑えやすい構造です。

投資上の留意点:
BACは安定性が魅力ですが、金利低下局面では純利息収入が鈍りやすく、増配ペースが落ちる可能性があります。逆にいえば、配当を“伸ばす力”の源泉がどこにあるか(金利環境・費用構造・与信コスト)を定期的に点検することで、長期の納得感が上がります。

免責事項

本レポートは、公開情報に基づく分析であり、投資助言を構成するものではありません。投資判断は投資家自身の責任において行ってください。本レポートの作成にあたっては正確性を期していますが、その内容の正確性、完全性を保証するものではありません。

主要な情報源と更新履歴

  • 直近反映: 2025年Q3(2025年9月30日終了)の決算開示。[1]
  • 次回更新目安: 2025年Q4決算開示後(2026年初旬)。

最終更新日: 2025年12月28日(JST)

ミニ解説: 銀行株の配当は「(1)EPSの稼ぐ力」「(2)配当性向」「(3)CET1など資本規制」の3点セットで見ると、判断が速くなります。BACは直近(2025年Q3)でこの3点がそろっているのが強みです。[1]

【注】(出典リンク)

  1. 2025年Q3決算(主要指標・配当/株・CET1・ROTCE) → SEC(Exhibit 99.1:2025年9月30日終了)Reuters(補助:投資家説明会での言及) (確認日:2025-12-28)
  2. 2024年Q4決算(補足:四半期の純利益・総収入) → Reuters(2025-01-16)Investopedia(補助:数値要約) (確認日:2025-12-28)

Posted by 南 一矢