BIV・SPTI・IGIB:中期債ETFを比較(株価・配当利回り・構成銘柄)

債券ETF

【中期債券ETF】BIV・SPTI・IGIBを徹底比較!リスクと利回りのベストバランスは?

債券投資において、安定性の高い「短期債」とリターンが期待できる「長期債」の、ちょうど中間に位置するのが中期債券ETFです。ポートフォリオの核(コア)として、リスクとリターンのバランスを取りやすいのが大きな魅力です。

この記事では、代表的な中期債券ETFであるBIV(総合債券)SPTI(国債)IGIB(社債)の3銘柄を徹底比較。それぞれの投資対象の違いから生まれる、安全性と利回りのトレードオフを解き明かし、あなたの投資戦略に最適なETFを見つける手助けをします。

(※ご注意:以下に記載するデュレーションや利回り、構成比率は常に変動します。投資を検討される際は、必ず公式サイトで最新の情報をご確認ください。)


主要ETF比較サマリー

まずは3つのETFの最も重要な違いを一覧で見てみましょう。「カテゴリ(投資対象)」の違いが、「配当利回り」と「安全性」にどう影響するかに注目してください。

項目 【BIV】(総合) 【SPTI】(国債) 【IGIB】(社債)
カテゴリ
(投資対象)
中期総合債券
(国債 + 社債)
中期国債
(国債のみ)
中期社債
(社債のみ)
安全性(信用リスク) 高い 極めて高い 中程度
経費率 0.04% 0.03% 0.06%
配当利回り(SEC) 約5.0% 約4.8% 約5.4%
実効デュレーション 約6.4年 約5.0年 約6.6年

(注:数値は2025年6月時点の参考値です。配当利回りは30日間SEC利回りを示します)


各ETFの詳細

【総合】BIV (バンガード・米国中期債券ETF)

  • 連動指数:ブルームバーグ米国国債/クレジット(5-10年)指数
  • 投資対象:残存期間5~10年の米国債(約6割)と、投資適格社債(約4割)にバランス良く分散投資します。
  • ポイント:国債の安全性と社債の利回りを両立させた、中期債券投資のスタンダードな選択肢。コストも低く、ポートフォリオの「コア」として最適です。
  • 情報源:Vanguard BIV 公式サイト

【国債】SPTI (SPDRポートフォリオ中期国債ETF)

  • 連動指数:ブルームバーグ米国国債(3-10年)指数
  • 投資対象:残存期間が3~10年の米国財務省証券(国債)のみで構成されています。
  • ポイント:社債を含まないため信用リスクが極めて低く、安全性重視の運用に適しています。経費率が0.03%と非常に低いのも大きな魅力です。
  • 情報源:SPDR SPTI 公式サイト

【社債】IGIB (iシェアーズ・中期社債ETF)

  • 連動指数:ICE BofA 5-10年米国社債指数
  • 投資対象:残存期間が5~10年の米ドル建て投資適格社債のみに投資します。
  • ポイント:国債を一切含まず、社債の信用リスクを取ることで、3つの中では最も高いインカム収益を狙います。デュレーションも最も長く、金利変動の影響も大きくなる点に注意が必要です。
  • 情報源:iシェアーズ IGIB 公式サイト

投資のポイントと選び方

3つのETFは、安全性と利回りの間で明確なトレードオフの関係にあります。

安全性(信用リスクの低さ)
SPTI (国債のみ) > BIV (国債+社債) > IGIB (社債のみ)

利回り(インカムの高さ)
IGIB (社債のみ) > BIV (国債+社債) > SPTI (国債のみ)

この関係性を踏まえ、ご自身の目的に合わせて選びましょう。

  • ポートフォリオの安定性を重視しつつ、短期債より高いリターンも欲しいなら → 【SPTI】
  • 国債と社債にバランス良く投資し、コストを抑えたいなら → 【BIV】
  • より高いインカムを求め、社債の信用リスクと金利リスクを許容できるなら → 【IGIB】

免責事項:本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。

過去~現在株価

※左目盛り:株価推移(最大20分ディレイ)
※右目盛り:緑線は米国10年国債利回り
※主要指標の単位 B:10億ドル、M:100万ドル



配当(分配金)と利回り

年間累計の分配金(ドル)を株価で割った利回りの推移を見てみます。
(*ここでは特別配当(分配金)を含めて計算しているので、通常の定期的な配当だけで計算した時よりも利回りが高く計上されています)

BIVの利回り

配当 株価
平均利回り 年累計 年伸び率 平均株価 年伸び率
2024 3.74% 2.83 19.9% 75.7 1.2%
2023 3.16% 2.36 36.4% 74.8 -4.8%
2022 2.2% 1.73 -41.2% 78.6 -12.5%
2021 3.27% 2.94 9.3% 89.8 -2.2%
2020 2.93% 2.69 15.5% 91.8 7.4%
2019 2.73% 2.33 1.7% 85.5 5.7%
2018 2.83% 2.29 5% 80.9 -3.9%
2017 2.59% 2.18 -10.3% 84.2 -2.1%
2016 2.83% 2.43 -0.4% 86 1.4%
2015 2.88% 2.44 -13.2% 84.8 0.7%
2014 3.34% 2.81 -16.6% 84.2 -1.2%
2013 3.96% 3.37 -24.9% 85.2 -4.1%
2012 5.06% 4.49 1.6% 88.8 4.3%
2011 5.19% 4.42 19.5% 85.1 2.4%
2010 4.45% 3.7 8.2% 83.1 6.4%
2009 4.38% 3.42 -1.2% 78.1 2%
2008 4.52% 3.46 76.6

SPTIの利回り

配当 株価
平均利回り 年累計 年伸び率 平均株価 年伸び率
2024 3.71% 1.05 22.1% 28.3 0%
2023 3.04% 0.86 152.9% 28.3 -4.1%
2022 1.15% 0.34 240% 29.5 -9%
2021 0.31% 0.1 -37.5% 32.4 -1.2%
2020 0.49% 0.16 -81.4% 32.8 7.2%
2019 2.81% 0.86 -22.5% 30.6 4.8%
2018 3.8% 1.11 38.8% 29.2 -2.7%
2017 2.67% 0.8 19.4% 30 -1.3%
2016 2.2% 0.67 3.1% 30.4 1%
2015 2.16% 0.65 10.2% 30.1 1%
2014 1.98% 0.59 -26.3% 29.8 -0.7%
2013 2.67% 0.8 -32.8% 30 -2%
2012 3.89% 1.19 -3.3% 30.6 2.3%
2011 4.11% 1.23 -2.4% 29.9 1.7%
2010 4.29% 1.26 0% 29.4 1.4%
2009 4.34% 1.26 -24.6% 29 2.8%
2008 5.92% 1.67 28.2

 

IGIBの利回り

配当 株価
平均利回り 年累計 年伸び率 平均株価 年伸び率
2024 4.37% 2.27 15.2% 51.9 3.4%
2023 3.92% 1.97 36.8% 50.2 -3.8%
2022 2.76% 1.44 0% 52.2 -13.3%
2021 2.39% 1.44 -10.6% 60.2 1%
2020 2.7% 1.61 -17% 59.6 6%
2019 3.45% 1.94 -26% 56.2 5.8%
2018 4.93% 2.62 -3% 53.1 -2.9%
2017 4.94% 2.7 3.8% 54.7 -0.4%
2016 4.74% 2.6 -1.9% 54.9 0.5%
2015 4.85% 2.65 0% 54.6 -0.4%
2014 4.84% 2.65 -7.3% 54.8 0.4%
2013 5.24% 2.86 -17.1% 54.6 -0.5%
2012 6.28% 3.45 -12.7% 54.9 2.8%
2011 7.4% 3.95 -10% 53.4 1.1%
2010 8.31% 4.39 -8.4% 52.8 6.2%
2009 9.64% 4.79 7.2% 49.7 1.2%
2008 9.1% 4.47 49.1


ポートフォリオ

次に、このETF(投資信託)の資産総額を占める金融商品の構成比率を見てみます。
債権の格付けなどの比率はチャールズシュワブのサイト内のページを参照。

Posted by 南 一矢