CATとDEを比較:キャタピラーとディアの戦略の違いとは

銘柄比較

CATとDEを違いを踏まえて比較します。(2025年6月更新)

キャタピラー(Caterpillar Inc)とディアアンドカンパニー (Deere & Company)は建設機器と農業機器それぞれの代表格です。
その株価の推移(チャート)、決算の予想と結果、配当金と利回り、業績(財務情報)はどうなっているのでしょうか。
これらの銘柄について、今後の見通しや将来性を探ってみます。

株価:過去~現在

※チャート左目盛り:株価推移(XLI:Industrial Select Sector SPDR Fundを含めて比較)

※チャート右目盛り:10年国債利回り

※株価の成長率や52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、PBR、PSR、時価総額などの内容を更新。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。今後の見通しの参考情報として目標株価も掲載。

決算(予想:結果)

マーケットにおけるEPSと売上の予想値の変動を更新してみます。

決算の予想:結果のグラフについては以下の関連記事を参照

キャタピラー(CAT)決算:予想と結果 売上&EPS

ディア(DE)決算:予想と結果 売上&EPS

【産業機械の巨人対決】キャタピラー(CAT) vs ディア(DE)!配当と景気サイクルの関係を徹底分析

世界経済のインフラを支える二大企業、キャタピラー(CAT)ディア・アンド・カンパニー(DE)。両社はともに「配当貴族」として数十年にわたり増配を続ける優良銘柄ですが、その事業内容は似ているようで大きく異なります。この違いを理解することが、景気サイクル(好況・不況の波)に強いポートフォリオを組む上で非常に重要になります。

本記事では、「建設・鉱業」のキャタピラーと、「農業」のディアの業績、配当、そして事業の特性を徹底的に比較・分析します。

最重要ポイント:連動する「景気サイクル」の違い

  • キャタピラー (CAT) → 産業サイクル・資源サイクル
    ブルドーザーなどの建設機械や、鉱山で使われる巨大ダンプトラックが主力。そのため、世界のインフラ投資公共事業、そして銅や鉄鉱石などの資源価格の動向に業績が大きく左右されます。
  • ディア (DE) → 農業サイクル
    トラクターやコンバインといった農業機械が事業の核。そのため、トウモロコシや小麦などの穀物価格や、農家の所得、そして天候に業績が連動します。

この2社のサイクルは必ずしも一致しないため、両方を保有することで景気変動リスクを分散させる効果も期待できます。

比較サマリー:建設のCAT、農業のDE

項目 キャタピラー (CAT) ディア (DE)
主力事業 建設機械、鉱山機械、エネルギー・輸送用エンジン 農業機械(トラクター等)、建設・林業機械
テクノロジー 鉱山の無人運転、建設現場の自動化 GPSやAIを活用した「精密農業」技術
連続増配年数 31年 (配当貴族) 20年以上 (配当貴族)
配当利回り(直近) 約1.6% 約1.5%
PER (株価収益率) 約15倍 約11倍

業績と成長性の詳細分析

両社とも景気サイクルに影響されるものの、堅調な成長を続けています。特にディアは、近年の穀物価格高騰と農業技術の革新を背景に、高い成長率を記録しました。

キャタピラー 売上高 (前年比) ディア 売上高 (前年比)
2024 $67.06 B (+12.8%) $61.25 B (+16.4%)
2023 $59.43 B (+16.6%) $52.61 B (+19.4%)
2022 $50.97 B (+22.3%) $44.06 B (+23.8%)
2021 $41.68 B (-2.1%) $35.58 B (-9.7%)
2020 $42.57 B $39.42 B

※B=10億ドル。会計年度や基準により数値は多少変動します。

配当の詳細比較:安定成長を続ける両社の株主還元

両社とも配当貴族として、景気の波を乗り越えながら株主への還元を増やし続けてきました。増配率では、事業の成長性が高いディアがキャタピラーを上回る傾向にあります。

CAT 年間配当 (増配率) DE 年間配当 (増配率)
2024 $5.20 (+8.1%) $5.80 (+19.6%)
2023 $4.81 (+8.1%) $4.85 (+20.1%)
2022 $4.44 (+8.0%) $4.04 (+17.8%)
2021 $4.11 (+0.2%) $3.43 (+17.1%)
2020 $4.10 (+8.2%) $2.93 (+5.4%)

配当については以下の関連記事を参照

キャタピラー(CAT)の配当推移

ディア(DE)の配当推移

結論:あなたに合うのはどちら?

両社の比較は、今後どちらの経済サイクルが追い風になると考えるか、という視点が重要になります。

「世界的なインフラ投資と資源開発」にかけるなら → キャタピラー (CAT)

世界No.1の建設・鉱山機械メーカーとしての地位は盤石です。新興国の都市開発や、脱炭素に向けた鉱物資源(銅、リチウム等)の需要増加は、長期的にキャタピラーの追い風となります。世界経済全体の成長に賭けたい投資家に向いています。

「食糧問題と農業のハイテク化」にかけるなら → ディア (DE)

世界の人口増加に伴う食糧需要の増大は、農業の生産性向上を必須とします。ディアはその中核を担う「精密農業」技術のリーダーであり、単なる機械メーカーではなく「農業テック企業」としての側面を強めています。テクノロジーの進化がもたらす成長に期待する投資家にとって、非常に魅力的な選択肢です。


※本ページの分析は2025年6月9日時点の公開情報に基づいています。投資に関する最終決定は、必ずご自身の判断と責任において行ってください。

Posted by 南 一矢