【産業機械の巨人対決】キャタピラー(CAT) vs ディア(DE)!配当と景気サイクルの関係を徹底分析
世界経済のインフラを支える二大企業、キャタピラー(CAT)とディア・アンド・カンパニー(DE)。両社はともに長期にわたり株主還元を重視する優良銘柄ですが、事業の土台となる景気サイクルは大きく異なります。この違いを理解することが、景気の波に強いポートフォリオを構築する鍵となります。
本記事では、「建設・鉱業」寄りのキャタピラーと、「農業」寄りのディアの業績、配当、そして事業特性を比較・分析します。
最重要ポイント:連動する「景気サイクル」の違い
- キャタピラー (CAT) → 産業サイクル・資源サイクル
ブルドーザー等の建設機械、鉱山向け超大型ダンプ、エネルギー・輸送用エンジンが中核。世界のインフラ投資・公共投資、銅・鉄鉱石など資源価格の動向が業績ドライバー。 - ディア (DE) → 農業サイクル
トラクターやコンバイン等の農業機械が柱。穀物価格や農家所得、天候要因といった農業サイクルに連動。近年はGPS/AIなどの精密農業が収益性を押し上げ。
両社のサイクルは必ずしも一致しないため、同時保有は景気要因の分散に繋がります。
比較サマリー:建設のCAT、農業のDE
| 項目 | キャタピラー (CAT) | ディア (DE) |
|---|---|---|
| 主力事業 | 建設機械、鉱山機械、エネルギー・輸送用エンジン | 農業機械(トラクター等)、建設・林業機械 |
| テクノロジー | 鉱山の無人運転、建設現場の自動化 | GPS/AIによる精密農業ソリューション |
| 連続増配年数 | 31年(配当貴族)[1] | 4年(※配当貴族ではない)[2] |
| 配当利回り(直近株価) | 約1.4% 年率$6.04=$1.51×4[1][6] |
約1.3% 年率$6.48=$1.62×4[3] |
| PER(目安・GAAP) | 約19~20倍 EPS(2024)$22.05ベース[4] |
約18~20倍 EPS(2024)$25.62ベース[5] |
業績と成長性の詳細分析
直近では、CATは2024年に減収(価格は良好だが数量が弱含み)、DEは2024年に大幅減収(農機の需要正常化)が目立ちます。CATの2024年通期売上は$64.8B(前年比-3%)、営業利益率20.2%、EPS$22.05。DEのFY2024売上は$51.72B、EPS$25.62です。[4][5][7]
| 年 | キャタピラー 売上高(前年比) | ディア 売上高(前年比) |
|---|---|---|
| 2024 | $64.8 B (-3.4%)[4] | $51.72 B (-15.6%)[5] |
| 2023 | $67.1 B (+13.0%)[4] | $61.25 B (+16.5%)[5] |
| 2022 | $59.43 B (+16.6%) | $52.58 B (+19.4%)[5] |
| 2021 | $50.97 B (+22.1%) | $44.02 B (+23.8%)[5] |
| 2020 | $41.75 B | $35.54 B |
※B=10億ドル。CATは通期2024リリースより(2023値も同)、DEは10-K(FY2024/10/27期)より。2019–2022の詳細内訳は各社年次報告書参照。
配当の詳細比較:安定成長を続ける両社の株主還元
CATは配当貴族(25年以上連続増配)。2025年6月に四半期配当を$1.51へ増額済み。DEは4年連続増配で、2024年12月に$1.62へ引き上げ(支払は2025/2/10以降)。[1][6][2][3]
| 年 | CAT 年間配当(参考) | DE 年間配当(FYベース) |
|---|---|---|
| 2024 | $5.42($1.30×2+$1.41×2)[6] | $5.88($1.47×4)[5] |
| 2023 | $5.00($1.20×2+$1.30×2) | $5.05 |
| 2022 | $4.62($1.11×2+$1.20×2) | $4.36 |
| 2021 | $4.28($1.03×2+$1.11×2) | — |
| 2020 | $4.12($1.03×4) | — |
DEの配当はFY(10月期)基準。「Dividends declared」合計を10-Kから引用。CATは各年の四半期発表の合算(概算)。
関連記事:
★キャタピラー(CAT)の配当推移
★ディア(DE)の配当推移
結論:あなたに合うのはどちら?
「世界的なインフラ投資と資源開発」にかけるなら → キャタピラー (CAT)
建設・鉱業の世界最大手。2024年は数量面が弱含む一方、営業利益率20.2%と高い収益力を維持し、配当と自社株買いの両輪で株主還元を継続[4]。世界のインフラ更新・資源開発が追い風。
「食糧問題と農業のハイテク化」にかけるなら → ディア (DE)
FY2024は需要正常化で減収も、富農層の設備更新・精密農業への投資は長期テーマ。FY2024のEPS$25.62と強固な利益体質を確認。2025年も配当を維持・実施しており、ソフト/サービスの伸長余地も大きい[5][7]。
※本ページの分析は2025年10月18日(日本時間)時点の公開情報に基づきます。投資判断は自己責任でお願いいたします。
- CATの連続増配年数・配当(31年、配当貴族):Dividend.com
- DEの連続増配年数(4年):Dividend.com
- DEの配当引き上げ($1.62への増配発表):PR Newswire(2024/12/3)
- CAT 2024通期リリース(売上$64.8B、営業利益率20.2%、EPS$22.05):CAT Press Release(2025/1/30)/PDF
- DE 2024 Form 10-K(売上$51.716B、EPS$25.62・配当合計$5.88等):SEC(FY2024)
- CATの配当増額($1.51)発表:CAT IR(2025/6/11)/PR Newswire
- DE FY2024 決算速報(EPS$25.62 等):PR Newswire(2024/11/21)

