DAL(デルタエアラインズ)今後の見通し
デルタ航空(Delta Air Lines, Inc./NYSE:DAL)の今後の見通しを考えるために、まず金利と株価チャートの推移を確認し、次に直近の決算、長期の業績推移、財務、株主還元、今後の会社見通しを整理します。
目標株価やPERなどの市場指標だけでなく、航空会社を分析するうえで重要なASM、RPM、座席利用率、TRASM、CASM-Ex、燃料費、プレミアム収益、ロイヤルティ収益、フリーキャッシュフローなどもあわせて確認します。
2026年8月7日時点のポイント
デルタ航空の最新決算は2026年第2四半期です。調整後営業収益は176.66億ドルとなり、前年同期比13.9%増加しました。調整後EPSは1.56ドルで市場予想を上回った一方、過去最高となった燃料費が利益率を圧迫しました。それでも会社は2026年通期の調整後EPS6.50~7.50ドル、フリーキャッシュフロー30億~40億ドルという見通しを維持しています。[1]
金利と株価:過去~現在
※チャート左目盛り:青線は株価推移、赤線は200日移動平均線
※チャート右目盛り:緑線は米10年国債利回り
※株価の成長率や前日比、52週高値/安値のほか、PER、時価総額、株式数、出来高などを更新しています。リアルタイムではありませんが、株価は最大20分程度のディレイでフォローします。
直近決算
DAL(デルタ航空)は2026年7月10日午前6時30分(米東部時間)に2026年第2四半期決算を公表しました。ニューヨーク証券取引所の通常取引開始より前の発表です。[1]
2026年第2四半期:市場予想と結果
| 指標 | 市場予想 | 結果 | 判定 |
|---|---|---|---|
| 調整後EPS | 1.53ドル | 1.56ドル | 0.03ドル上回る |
| 調整後営業収益 | 174.7億ドル | 176.66億ドル | 予想を上回る |
市場予想はStreetInsider掲載値です。デルタ航空のGAAP営業収益には製油所の第三者向け売上などが含まれるため、市場予想との比較では会社が示す調整後営業収益を使用しています。[2]
GAAPと調整後指標
| 指標 | 2Q2025 | 2Q2026 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| GAAP営業収益 | 166.48億$ | 197.57億$ | +19% |
| GAAP営業利益 | 21.02億$ | 18.64億$ | -11% |
| GAAP純利益 | 21.30億$ | 16.04億$ | -25% |
| GAAP希薄化後EPS | 3.27$ | 2.44$ | -25% |
| 調整後営業収益 | 155.07億$ | 176.66億$ | +13.9% |
| 調整後営業利益 | 20.64億$ | 15.63億$ | -24% |
| 調整後純利益 | 13.85億$ | 10.27億$ | -26% |
| 調整後EPS | 2.12$ | 1.56$ | -26% |
2026年第2四半期は、調整後営業収益が前年同期比13.9%増えた一方で、調整後営業利益は24%減少しました。需要と運賃は強かったものの、燃料費の急増が利益を圧迫したためです。[1]
燃料費が利益を圧迫
| 指標 | 2Q2025 | 2Q2026 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 調整後燃料費 | 24.97億$ | 44.10億$ | +77% |
| 調整後燃料価格 | 2.25$/ガロン | 3.93$/ガロン | +75% |
| CASM-Ex | 13.20¢ | 14.09¢ | +6.8% |
| 調整後営業利益率 | 13.3% | 8.8% | -4.5ポイント |
会社は2026年第2四半期について、四半期として過去最高の燃料費を負担したと説明しています。需要の強さによって大幅な増収を確保したものの、燃料価格だけでなくCASM-Exも前年同期比6.8%上昇しており、利益率は低下しました。[1]
一方、デルタ航空は運賃引き上げなどによって燃料費増加の一部を吸収しています。2026年7月10日時点で会社は通期利益見通しを維持しましたが、その後もジェット燃料価格は地政学情勢に左右されており、燃料前提は2026年後半の最大の変動要因の一つです。[3]
企業概要
デルタ航空は米国を代表する大手航空会社の一つです。2025年には2億人超の顧客を輸送しました。2026年第2四半期決算時点の会社説明では、Delta Air LinesとDelta Connectionを合わせて、1日最大5,500便を運航し、6大陸・300以上の目的地を結んでいます。[1]
アトランタを最大拠点とし、ボストン、デトロイト、ロサンゼルス、ミネアポリス/セントポール、ニューヨークJFK・ラガーディア、ソルトレイクシティ、シアトルなどに主要拠点を持っています。国際的にはアムステルダム、ロンドン、パリ、ソウル、東京、メキシコシティ、サンパウロなどにも重要なネットワークを展開しています。[1]
デルタ航空の収益源は単なる航空券販売だけではありません。プレミアム客室、SkyMiles、アメリカン・エキスプレスとの提携カード、貨物、整備・MRO、Delta Vacations、空港ラウンジなどを組み合わせています。
旅客航空輸送
国内線と国際線の定期便を運航し、A220、A321neo、A330neo、A350など新世代機への更新を進めています。燃費改善だけでなく、プレミアム座席数の増加、整備効率の向上、座席当たりコストの改善が機材更新の狙いです。
2026年1月にはボーイング787-10を30機発注し、さらに30機のオプションを設定しました。受領開始は2031年を予定しています。2026年2月にはA321neoを34機追加し、2029年以降の受領を予定しています。[4]
貨物・MRO
Delta Cargoは旅客機の貨物室を利用したベリーカーゴを中心に展開しています。また、Delta TechOpsを通じた航空機・エンジン整備も重要な収益源です。
2026年第2四半期には貨物収益が前年同期比39%増、MRO収益も32%増となりました。旅客運賃以外の収益源が増えていることは、デルタ航空の特徴の一つです。[1]
SkyMilesとアメリカン・エキスプレス
ロイヤルティプログラム「SkyMiles」とアメリカン・エキスプレスとの提携カードは、デルタ航空の収益構造を理解するうえで特に重要です。
FY2025にアメリカン・エキスプレスから受け取った報酬は82億ドルで、FY2024の74億ドルから増加しました。2026年第2四半期だけでもアメックスからの報酬は24億ドルとなり、前年同期比16%増加しました。[5]
航空会社間の提携
デルタ航空はSkyTeamの創設メンバーであり、Air France-KLM、Virgin Atlantic、Korean Air、LATAMなどとの共同事業・提携を活用しています。自社便だけでなく提携先を組み合わせることで、国際ネットワークを広げています。
社史をさかのぼると、デルタの起源は1925年創業の農薬散布会社Huff Daland Dustersにあり、2025年には創業ルーツから100周年を迎えました。2008年のノースウエスト航空との合併は、デトロイトやミネアポリス、アジア方面のネットワーク強化につながった重要な転機です。[5]
業績推移:過去最高収益の先へ
デルタ航空はパンデミックによる大幅な落ち込みから回復し、FY2025にはGAAPベースで過去最高の営業収益を記録しました。ただし、航空会社では売上増加がそのまま利益増加を意味しないため、燃料、人件費、整備費なども同時に確認する必要があります。
売上・利益・キャッシュフロー
| 会計年度 | 総営業収益 百万$ |
成長率 | 営業利益 百万$ |
純利益 百万$ |
営業CF 百万$ |
|---|---|---|---|---|---|
| FY2019 | 47,007 | +7.5% | 6,618 | 4,767 | 8,425 |
| FY2020 | 17,095 | -63.6% | (12,469) | (12,385) | (3,793) |
| FY2021 | 29,899 | +74.9% | 1,886 | 280 | 3,264 |
| FY2022 | 50,582 | +69.2% | 3,661 | 1,318 | 6,363 |
| FY2023 | 58,048 | +14.8% | 5,521 | 4,609 | 6,464 |
| FY2024 | 61,643 | +6.2% | 5,995 | 3,457 | 8,025 |
| FY2025 | 63,364 | +2.8% | 5,822 | 5,005 | 8,342 |
各年度のForm 10-Kを基礎としたGAAP数値です。FY2021の営業利益には米政府の給与支援などの特殊要因が含まれるため、本業の回復度を見る際は調整後指標も確認する必要があります。[6]
- 営業収益:FY2025は633.64億ドルとなり、FY2024の616.43億ドルを上回りました。
- 営業利益:FY2025は58.22億ドル、GAAP営業利益率は9.2%でした。
- 純利益:FY2025は50.05億ドルとなり、FY2024の34.57億ドルから増加しました。
- 営業CF:FY2025は83.42億ドルでした。
主要運航KPI
| 会計年度 | ASM(億) | RPM(億) | 座席利用率 | TRASM | CASM-Ex |
|---|---|---|---|---|---|
| FY2019 | 2,873 | 2,476 | 86.2% | 16.36¢ | 11.05¢ |
| FY2020 | 1,247 | 744 | 59.7% | 13.71¢ | 13.67¢ |
| FY2021 | 1,941 | 1,319 | 68.0% | 15.40¢ | 13.17¢ |
| FY2022 | 2,584 | 2,151 | 83.2% | 19.58¢ | 12.86¢ |
| FY2023 | 2,819 | 2,426 | 86.1% | 20.59¢ | 12.98¢ |
| FY2024 | 2,884 | 2,461 | 85.0% | 19.76¢ | 13.54¢ |
| FY2025 | 2,980 | 2,496 | 84.0% | 19.56¢ | 13.86¢ |
ASMはAvailable Seat Miles(供給座席マイル)、RPMはRevenue Passenger Miles(有償旅客マイル)、TRASMは1供給座席マイル当たりの収益です。CASM-Exは燃料費などを除いた1供給座席マイル当たりのコストで、会社の定義変更があるため年度をまたぐ比較では注意が必要です。[6]
ビジネスモデルと戦略:「プレミアム化」と「ロイヤルティ」
デルタ航空の強みは、単純な輸送量の拡大よりも、単価の高い顧客層と多様な収益源を重視している点です。
プレミアム商品の拡大
デルタ・ワン、デルタ・プレミアムセレクト、デルタ・コンフォートなど単価の高い商品を拡大しています。
FY2025にはプレミアム商品、ロイヤルティなどを含む多様な収益源が調整後営業収益の60%を占めました。2026年第2四半期にはこの比率が61%となり、プレミアム収益は前年同期比17%増でした。[1][5]
法人需要
2026年第2四半期には法人向け販売が幅広い業種で二桁増となり、特に航空宇宙・防衛、銀行、自動車などが強く推移しました。プレミアム法人向け販売は前年同期比25%超増加しています。[1]
ロイヤルティ
航空会社は景気や燃料価格に大きく左右されますが、SkyMilesとアメックス提携カードから得られる収益は、航空券だけに依存する事業モデルを補完しています。
ただし、カード利用額、法人需要、プレミアム旅行需要も景気から完全に独立しているわけではありません。景気後退が深刻化した場合は、複数の収益源が同時に減速する可能性があります。
財務の健全性:負債削減を継続
パンデミック期に急増した負債は、業績とフリーキャッシュフローの回復に伴って減少しています。
資産・負債・株主資本
| 会計年度末 | 総資産 百万$ |
総負債 百万$ |
調整後純負債 百万$ |
株主資本 百万$ |
|---|---|---|---|---|
| FY2019 | 64,532 | 49,174 | 9,997 | 15,358 |
| FY2020 | 71,996 | 70,462 | 29,753 | 1,534 |
| FY2021 | 72,459 | 68,572 | 26,922 | 3,887 |
| FY2022 | 72,288 | 65,706 | 20,929 | 6,582 |
| FY2023 | 73,644 | 62,539 | 21,400 | 11,105 |
| FY2024 | 75,372 | 60,079 | 17,980 | 15,293 |
| FY2025 | 81,317 | 60,464 | 14,300 | 20,853 |
総資産、総負債、株主資本はGAAP指標です。調整後純負債はデルタ航空独自のNon-GAAP指標であり、総負債の単純な内訳ではありません。[6]
FY2025末の調整後純負債は143億ドルでした。2026年第2四半期末にはさらに135.91億ドルへ減少し、2025年末から約7.09億ドル改善しました。[7]
2026年第2四半期末の現金・現金同等物は46.65億ドル、総流動性は77億ドルでした。会社は2026年末までに調整後有利子負債/EBITDAR倍率を約2倍まで低下させる目標を維持しています。[1][7]
キャッシュフローと設備投資
| 会計年度 | GAAP営業CF 百万$ |
総設備投資 百万$ |
会社定義FCF 百万$ |
|---|---|---|---|
| FY2019 | 8,425 | 4,513 | 4,164 |
| FY2020 | (3,793) | 2,689 | (4,327) |
| FY2021 | 3,264 | 2,502 | 1,255 |
| FY2022 | 6,363 | 5,341 | 244 |
| FY2023 | 6,464 | 5,323 | 2,003 |
| FY2024 | 8,025 | 4,834 | 3,424 |
| FY2025 | 8,342 | 4,333 | 4,643 |
FY2025の会社定義フリーキャッシュフローは46.43億ドルでした。2026年上半期には営業キャッシュフロー約41億ドル、フリーキャッシュフロー約14億ドルを確保しています。[1][6]
一方、2026年第2四半期単独のフリーキャッシュフローは2.09億ドルで、前年同期の7.33億ドルから71%減少しました。燃料費上昇と設備投資増加が影響しています。[1]
投資家向け指標と株主還元
| 会計年度 | GAAP EPS | 調整後EPS | BPS | 年間配当実績 |
|---|---|---|---|---|
| FY2019 | 7.30$ | 7.31$ | 23.89$ | 1.61$ |
| FY2020 | (19.49$) | (10.63$) | 2.40$ | 0.4025$ |
| FY2021 | 0.44$ | (3.55$) | 6.07$ | 0.00$ |
| FY2022 | 2.06$ | 3.20$ | 10.26$ | 0.00$ |
| FY2023 | 7.17$ | 6.25$ | 17.26$ | 0.20$ |
| FY2024 | 5.33$ | 6.16$ | 23.66$ | 0.50$ |
| FY2025 | 7.66$ | 5.82$ | 31.93$ | 0.675$ |
FY2025のGAAP EPSは7.66ドル、調整後EPSは5.82ドルでした。GAAPと調整後EPSの差には投資関連損益などの調整項目が影響しています。[5]
2026年に約15%増配
デルタ航空は2026年6月18日、四半期配当を従来の1株0.1875ドルから0.215ドルへ約15%引き上げました。2026年7月9日時点の株主を対象に、2026年7月30日に支払いが完了しています。[8]
現在の0.215ドルを単純に年率換算すると0.86ドルです。ただし、将来の配当額や継続は取締役会の判断と業績、財務状況によって変わります。
株主還元の見方
デルタ航空は配当を増やしていますが、2026年時点では大規模な自社株買いよりも負債削減を重視しています。会社が掲げるグロスレバレッジ約2倍という目標を達成した後、余剰キャッシュをどの程度株主還元へ振り向けるかが次の注目点です。
市場環境と競合:需要は強いが燃料に左右される
航空業界は景気、燃料価格、為替、地政学、航空機供給、空港や航空管制の制約など外部要因の影響を強く受けます。
主要競合にはAmerican Airlines(AAL)、United Airlines(UAL)、Southwest Airlines(LUV)などがあります。その中でデルタ航空は、プレミアム商品、法人需要、SkyMilesとアメックス、主要ハブ空港での強い地位を組み合わせている点が特徴です。
2026年第2四半期は価格決定力が強かった
2026年第2四半期は供給量が前年同期比約1%増にとどまった一方、調整後営業収益は13.9%増加し、調整後TRASMは12.4%上昇しました。座席数を大幅に増やしたというより、運賃と商品構成が収益を押し上げた決算といえます。[1]
特に国内線のユニット収益は前年同期比12%増、国際線は8%増でした。プレミアム収益17%増、法人需要の二桁成長、アメックス報酬16%増が収益を支えています。[1]
燃料価格は依然として最大の短期リスク
2026年第2四半期の調整後燃料価格は1ガロン当たり3.93ドルでした。会社は2026年第3四半期について約3.15ドルを前提にしていますが、この前提は2026年7月2日時点の先物価格に基づいています。[1]
その後も米国・イラン情勢などを背景にジェット燃料価格は大きく変動しています。2026年7月下旬には燃料価格の再上昇によって米航空各社の利益予想が不安定になっていると報じられており、デルタ航空についても、第3四半期の燃料前提を固定値として見るべきではありません。[3]
技術革新と顧客サービス
デルタ航空は航空券価格だけで競争するのではなく、Wi-Fi、アプリ、空港ラウンジ、ロイヤルティ会員向けサービスなどへの投資を進めています。
無料Wi-Fi
2026年第2四半期決算時点で、デルタ航空の航空機の95%超にSkyMiles会員向け高速無料Wi-Fiが導入されていました。会社は2026年末までに対象機材への導入を完了する計画です。[1]
Delta Concierge
Fly DeltaアプリのAI対応デジタルアシスタント「Delta Concierge」は、2026年第2四半期までにSkyMiles会員の50%超へ展開されました。旅行案内、セルフサービス、メッセージ機能などを強化しています。[1]
ラウンジ
2026年第2四半期にはロサンゼルス国際空港で2か所目となるDelta One Loungeを開設しました。2026年6月末時点では、Delta One Loungeが5か所、Delta Sky Clubが55か所となっています。[1]
こうした投資は短期的にはコストとなりますが、プレミアム顧客の維持、カード会員の獲得、ブランド価値の維持という点でデルタ航空のプレミアム戦略と結びついています。
2026年の見通し
2026年第2四半期は「需要と価格は強いが、燃料費と非燃料費が利益を圧迫した決算」と整理できます。それでもデルタ航空は2026年7月10日時点で通期ガイダンスを維持しました。[1]
2026年通期会社予想
| 指標 | FY2026会社予想 | 見方 |
|---|---|---|
| 調整後EPS | 6.50~7.50$ | 2026年初に示したレンジを維持 |
| 会社定義FCF | 30~40億$ | 上半期実績は約14億$ |
| グロスレバレッジ | 約2倍 | 年末目標 |
2026年8月7日時点で、デルタ航空IRに掲載されている最新の業績発表は2026年7月10日の第2四半期決算です。したがって、現時点の正式な通期会社見通しは調整後EPS6.50~7.50ドル、FCF30億~40億ドルです。[9]
2026年第3四半期の会社予想
| 指標 | 3Q2026会社予想 |
|---|---|
| 総営業収益 | 前年同期比10%台半ば増 |
| 調整後営業利益率 | 11~13% |
| 調整後EPS | 2.00~2.50$ |
| 想定燃料価格 | 約3.15$/ガロン |
投資家が見ておきたいポイント
- 燃料価格:2026年第2四半期の利益悪化の最大要因です。第3四半期会社予想は1ガロン3.15ドルを前提としているため、その後の燃料価格との差を確認する必要があります。
- 運賃・TRASM:第2四半期には供給量約1%増に対して調整後TRASMが12.4%上昇しました。この価格決定力が下半期にも維持できるかが重要です。
- CASM-Ex:第2四半期は前年同期比6.8%上昇しました。会社は下半期に改善し、長期的には低一桁%の増加率へ戻す方針です。[1]
- プレミアム需要:第2四半期のプレミアム収益は17%増加しました。法人・富裕層需要が景気減速時にも持続するかが焦点です。
- アメックス:第2四半期の報酬は24億ドル、前年同期比16%増でした。航空券以外の高利益率収益として重要です。
- FCF:2026年上半期の約14億ドルに対し、通期会社予想は30~40億ドルです。下半期のキャッシュ創出が必要です。
- 負債:調整後純負債は2026年6月末に135.91億ドルまで減りました。年末のグロスレバレッジ約2倍達成が財務上の重要目標です。
- 機材投資:A321neo、A350、787-10などへの更新は燃費・商品力を高める一方、航空機メーカーの納入遅延や設備投資増加のリスクがあります。
四半期決算(EPSと売上)の推移:予想と結果
最後に、四半期決算について市場予想と結果の推移を確認します。
売上高とEPSについて、マーケットのアナリスト平均値と企業の発表を比較します。デルタ航空は製油所の第三者売上などをGAAP営業収益に含めているため、市場予想との比較では調整後営業収益を用いるケースがあります。
(単位はEPSがドル、売上高が100万ドル)。
予想値はStreetInsiderなどの市場コンセンサス、実績値はデルタ航空の決算資料を基礎とします。[1][2]
まとめ:強い需要を利益に変えられるかが焦点
デルタ航空は、パンデミック後の単純な回復企業という段階を越えています。FY2025には過去最高の営業収益を記録し、2026年第2四半期も調整後営業収益は前年同期比13.9%増となりました。
一方で、2026年第2四半期は燃料価格の急騰によって、調整後EPSが前年同期の2.12ドルから1.56ドルへ低下しました。需要と運賃が強くても、燃料や非燃料コスト次第で利益率が大きく変動する航空会社の特徴が表れています。
- 強み:プレミアム需要、法人需要、SkyMiles、アメックス、主要ハブ、国際提携。
- 売上:2026年第2四半期の調整後営業収益は176.66億ドル、前年同期比13.9%増。
- 価格決定力:調整後TRASMは前年同期比12.4%上昇。
- 財務:2026年6月末の調整後純負債は135.91億ドルまで減少。
- 株主還元:2026年に四半期配当を0.215ドルへ約15%増額。
- 課題:燃料価格、CASM-Ex、人件費、整備費、航空機納入遅延、景気、地政学、運航障害。
- 今後:通期調整後EPS6.50~7.50ドル、FCF30~40億ドルを達成できるかが焦点。
ミニ解説
航空会社の決算では「旅客数が増えた」「売上が増えた」だけでは十分ではありません。ASM、TRASM、CASM-Ex、燃料価格、営業利益率を組み合わせると、座席を増やして成長しているのか、単価を上げて成長しているのか、その売上増加が利益につながっているのかが分かります。2026年第2四半期のデルタ航空は、「需要と価格は非常に強いが、燃料費上昇で利益率が圧迫された」決算でした。
免責事項
本記事は公開情報を整理した情報提供を目的とするもので、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。GAAPとNon-GAAPでは利益、売上、キャッシュフローなどの数値が異なる場合があります。投資判断では原資料も確認してください。
【注】(出典リンク)
- 2026年第2四半期実績、燃料費、TRASM、CASM-Ex、プレミアム収益、アメックス報酬、財務、2026年通期・第3四半期見通し → 一次(Delta IR:June Quarter 2026 Financial Results) / 一次(SEC:Q2 Earnings Release) / 確認日:2026-08-07 ↩
- 2026年第2四半期の市場予想、調整後EPS1.53ドル・売上174.7億ドル → 二次(StreetInsider) / 確認日:2026-08-07 ↩
- 2026年夏の燃料価格変動、デルタの燃料費増加と航空運賃への転嫁 → 二次(Reuters:2026-07-10) / 二次(Reuters:2026-07-24) / 確認日:2026-08-07 ↩
- 2026年の機材更新、787-10・A321neo発注 → 一次(Delta News Hub:787-10) / 一次(Delta News Hub:A321neo) / 確認日:2026-08-07 ↩
- FY2025通期業績、アメックス報酬、EPS、事業構成、企業概要 → 一次(SEC:Delta Air Lines Form 10-K FY2025) / 一次(Delta IR:FY2025 Results) / 確認日:2026-08-07 ↩
- FY2019~FY2025のGAAP財務データ、運航KPI、キャッシュフロー → 一次(SEC EDGAR:Delta Air Lines 10-K一覧) / 一次(Delta Investor Relations:Financials) / 確認日:2026-08-07 ↩
- 2026年6月30日時点の貸借対照表、現金、負債、キャッシュフロー、調整後純負債 → 一次(SEC:Delta Air Lines Form 10-Q、2026-06-30) / 確認日:2026-08-07 ↩
- 2026年6月の約15%増配、四半期0.215ドル、基準日7月9日、支払日7月30日 → 一次(Delta IR:Quarterly Dividend) / 確認日:2026-08-07 ↩
- 2026年8月7日時点の最新IR業績発表の確認 → 一次(Delta Investor Relations:News) / 確認日:2026-08-07 ↩

