DOW:ダウ・インクの配当推移
ダウ・インク(Dow Inc)の配当利回りと株価をチャート(直近90日間)で見てみます。
権利落ち日や配当性向(1株配当÷EPS、EPS比で配当を払い過ぎていないかを図る指標)等も確認してみます。
配当利回りと株価の推移:3ヶ月チャート
年間利回り、配当成長率、配当性向、EPS等
年平均の配当利回りや配当成長率、配当性向、年間の一株配当($)、平均株価、通年EPSの推移を確認してみます。[2]
| 年 | 配当 | 平均株価 | 年EPS | |||
| 平均利回り | 成長率 | 配当性向 | 年計 | |||
| 2025※ | 5.7% | -50% | – | 1.4 | 24.5 | – |
| 2024 | 5.29% | 0% | 176% | 2.8 | 52.9 | 1.59 |
| 2023 | 5.23% | 0% | 341% | 2.8 | 53.5 | 0.82 |
| 2022 | 5.01% | 0% | 45% | 2.8 | 55.9 | 6.28 |
| 2021 | 4.59% | 0% | 33% | 2.8 | 61 | 8.38 |
| 2020 | 6.36% | 33% | 171% | 2.8 | 44 | 1.64 |
| 2019 | 4.17% | -114% | 2.1 | 50.4 | -1.84 | |
※2025年の行は、減配後の通期想定配当(1.40ドル)と2025年11月時点までの暫定平均株価に基づく参考値です。EPSは通期決算未公表のため空欄としています。
2025年配当削減と新たな配当政策
ダウ・インク(DOW)は2025年7月24日、化学業界の「長期化した低迷サイクル」を理由に、四半期配当を1株0.70ドルから0.35ドルへ50%削減することを発表しました。これにより年間配当は2.80ドルから1.40ドルへ半減し、分社化後初めての本格的な配当削減となりました。[1]
配当削減の背景には、2025年に入ってからの厳しい業績があります。第1四半期は売上高104億ドル・純損失2.90億ドル、第2四半期は売上高101億ドル・純損失8.01億ドルと、いずれも前年同期を下回る結果でした。第3四半期は売上高99.7億ドル・Dow株主帰属純利益6,200万ドルと黒字転換したものの、2025年1〜9月期トータルでは売上高305億ドル(前年同期比約6%減)、純損失9.67億ドルと依然厳しい水準にあります。[3]
重要な点として、同社は今回の削減後も配当支払い自体は継続しており、456回連続の配当支払い記録を維持しています。2025年11月末の株価水準(約23.9ドル)で計算すると、新しい年間配当1.40ドルに基づくフォワード配当利回りはおおよそ5.8〜5.9%と、依然として化学セクターとして十分高い水準です。[1][4]
経営陣は「景気サイクル全体を通じた競争力ある配当」を引き続き掲げており、減配で確保した資金を成長投資・負債削減・コスト削減施策に振り向けることで、長期的な株主価値の最大化を目指すとしています。[1]
配当成長率の変遷と新局面
DOWの配当成長率は、分社化後の7年間で次のようなパターンをたどっています。[2]
- 2019年:分社化に伴い配当開始(年2.10ドル)
- 2020年:積極的な増配(+33%、年2.80ドル)
- 2021〜2024年:配当据え置き政策(年2.80ドルで4年間横ばい)
- 2025年:初の配当削減(-50%、年1.40ドルへ)
2020年の大幅増配は、分社化直後の保守的な水準から、通常水準への引き上げという性格が強いものでした。その後4年間の据え置きは、COVID-19パンデミックやエネルギー価格の変動、世界的なインフレ圧力など、外部環境の不確実性を踏まえた慎重姿勢の表れといえます。
一方で、2023〜2024年の業績低迷により、配当性向は2023年341%、2024年176%と、利益を大きく上回る水準に達していました。これは「増配余地がある状態で配当を据え置いた」というよりも、「減配には踏み切らないまま高い配当負担を維持していた」状態に近く、今回の50%減配はその歪みを是正する意味合いもあります。[2]
2025年7月の減配発表後、株価は急落し、2025年秋時点の株価と過去12ヶ月分の支払配当(2.80ドル×3四半期+0.35ドル×1四半期)をもとにしたトレーリング(過去12ヶ月)配当利回りは一時10%超という異常な水準となりました。これは「株価が大きく下がるほど、市場は従来の配当水準を持続不可能だと見ていた」ことの裏返しでもあります。[1][4]
現在のフォワード利回り(今後のベース配当1.40ドル前提)はおおよそ5.8〜5.9%と、依然として高配当水準ながら、企業側・投資家側の両方にとってより現実的で持続可能なレンジに再調整されたと評価できます。
配当利回りの再調整と競争力
DOWの配当削減により、名目上の配当利回りは2桁から5%台後半へと大きく低下しましたが、以下のような点で中長期的にはプラス材料と見ることもできます。[1][2]
- 過度に高すぎた利回り水準を是正し、持続可能なレンジ(約6%)に再調整
- 配当性向の正常化により、利益が回復した局面でも減配リスクを抑えやすくなる
- 削減により年間ベースで約10億ドル(0.35ドル×約7.1億株×4期)規模のキャッシュアウト削減効果
- 浮いたキャッシュを負債削減や成長投資に振り向けることで、長期的な企業価値向上につながる可能性
- それでもセクター平均を上回る配当水準を維持しつつ、財務健全性とのバランスを取りやすくなる
削減前の配当は、2023〜2024年の利益水準を踏まえると明らかにオーバーペイの状態でした。今回の減配は、短期的には「配当目的の投資家」にとって痛みを伴うものの、長期的には「会社の体力回復」と「将来の増配余地確保」という点で、配当政策をリセットするタイミングになったと考えられます。
配当性向の正常化と財務健全性
DOWの配当性向は、化学業界特有の収益変動の大きさもあり、過去数年は極端な水準に振れていました。[2]
配当性向の推移(目安):
- 2021年:EPS 8.38ドルに対し年配当2.80ドル → 配当性向約33%
- 2022年:EPS 6.28ドル → 配当性向約45%
- 2023年:EPS 0.82ドル → 配当性向約341%
- 2024年:EPS 1.59ドル → 配当性向約176%
2025年1〜9月期は純損失であるため、現時点では配当性向を「正常化した」と言い切ることはできません。ただし、ベース配当を1.40ドルまで引き下げたことで、将来的にEPSが4〜6ドル程度まで戻れば、配当性向50〜60%前後に収まり得る水準になったとも言えます。
化学会社は、原材料価格や需要サイクルの変動により利益が大きくぶれるため、「好況期に配当性向を抑えてバッファーを持つ」ことが重要です。DOWは増配こそ行っていないものの、2021〜2022年の好況期に配当性向を抑制できていたとは言い難く、今回の減配は「ようやくサイクルを意識した配当政策に戻った」と解釈することもできます。[2][3]
財務パフォーマンスと成長見通し
以下の表では、売上高、営業CF、純利益はM$(百万ドル)単位、営業CFマージン(表記は同マージン)は%単位で表示しています。
主要財務指標の推移
| 年度 | 売上高 | 営業CF | 同マージン | 純利益 |
|---|---|---|---|---|
| 2025(1〜9月期)※ | 30,508 | 748 | 2 | -967 |
| 2024 | 42,964 | 2,914 | 7 | 1,116 |
| 2023 | 44,622 | 5,196 | 12 | 589 |
| 2022 | 56,902 | 7,475 | 13 | 4,582 |
| 2021 | 54,968 | 7,009 | 13 | 6,311 |
| 2020 | 38,542 | 6,226 | 16 | 1,225 |
| 2019 | 42,951 | 5,930 | 14 | -1,359 |
| 2018 | 49,604 | 4,254 | 9 | 4,641 |
| 2017 | 43,730 | -4,929 | -11 | 465 |
| 2016 | 48,158 | -2,957 | -6 | 4,318 |
| 2015 | 48,778 | 7,607 | 16 | 7,685 |
※2025年の行は、2025年1〜9月期(9ヶ月累計、2025年Q3決算時点)の数値です。2025年通期決算公表後は、適宜見直しが必要です。[3]
2025年業績悪化と構造的課題
DOWの2025年1〜9月期の業績は、化学業界の深刻な低迷を改めて示す内容となりました。2025年1Qの売上高は104億ドル・純損失2.90億ドル、2Qは売上高101億ドル・純損失8.01億ドル、3Qは売上高99.7億ドル・Dow株主帰属純利益6,200万ドルと、黒字転換したものの利益水準は限定的です。結果として、2025年1〜9月期の売上高は305億ドル(前年同期比約6%減)、純損失は9.67億ドルとなっています。[3]
営業キャッシュフローも2022年以降弱含みが続いています。2022年の営業CFは74.8億ドル、2023年は51.9億ドル、2024年は29.1億ドルへと縮小し、2025年1〜9月期は7.48億ドルにとどまっています。営業CFマージンも2022年の13%から2024年7%、2025年1〜9月期は2%と大きく低下しており、収益創出力の落ち込みが鮮明です。[2][3]
業績悪化の主な要因は、従来から指摘されている通り、世界的な化学製品需要の低迷と供給過剰の長期化です。特に:
- 建設・自動車・包装材といった最終需要分野の回復遅れ
- 新興国での増産に伴う供給過剰とマージン圧迫
- エネルギー・原材料価格の変動によるコスト構造の悪化
- 中国経済の減速や地政学リスクによる需要の頭打ち
- 環境規制強化や循環型材料へのシフトによる構造的変化
格付け会社ムーディーズも2025年7月にDOWの格付けをBaa1からBaa2へ格下げし、見通しを「ネガティブ」としています。その理由として、化学業界の長期的な調整局面と、それに伴うDowの利益水準・キャッシュフローの低迷が挙げられており、「今後数年にわたり、従来よりも低い収益水準が続く可能性」を指摘しています。[5]
キャッシュフロー圧迫と資本配分見直し
以下の表では、営業CF、投資CF、財務CFはM$(百万ドル)単位、営業CF成長率(表記は「成長率」)は%単位で表示しています。
| 年度 | 営業CF | 成長率 | 投資CF | 財務CF |
|---|---|---|---|---|
| 2025(1〜9月期)※ | 748 | – | -1,911 | 629 |
| 2024 | 2,914 | -44 | -2,368 | -1,168 |
| 2023 | 5,196 | -30 | -2,928 | -3,115 |
| 2022 | 7,475 | 7 | -2,970 | -3,361 |
| 2021 | 7,009 | 13 | -2,914 | -6,071 |
| 2020 | 6,226 | 5 | -841 | -2,764 |
| 2019 | 5,930 | 39 | -2,192 | -4,095 |
| 2018 | 4,254 | -186 | -2,195 | -5,404 |
| 2017 | -4,929 | 67 | 7,518 | -3,325 |
| 2016 | -2,957 | -139 | 5,092 | -4,014 |
| 2015 | 7,607 | – | -1,350 | -3,132 |
※2025年の行は2025年1〜9月期の累計キャッシュフロー(2025年Q3決算時点)です。[3]
DOWのキャッシュフローは、2022年をピークに弱含みが続いています。営業CFは2022年の74.8億ドルから2023年51.9億ドル、2024年29.1億ドルへと半減し、2025年1〜9月期は7.48億ドルと、前年同期の21.0億ドル前後から大きく落ち込んでいます。[2][3]
一方で、2025年1〜9月期にはインフラ関連資産の一部をパートナーに売却するなど、資本配分の見直しも進められました。非支配株主持分の売却により約29億ドルのキャッシュインがあり、その一部は負債削減や投資に充当されています。[3]
資本配分の主なポイント:
- 設備投資(CAPEX)は2025年1〜9月期で19.1億ドルと前年同期比約12%減少し、景気低迷下で投資ペースを抑制
- 減配により年間の配当負担はおおよそ20億ドル→10億ドルへ縮小し、中期的なキャッシュフローの余裕度が改善
- 非中核資産の売却を通じてバランスシートを強化しつつ、コスト削減・生産性向上投資は継続
- 防御的な施策が中心であり、業界そのものの回復には依然として時間を要する見通し
2025年単年で見れば万能薬ではありませんが、「減配+CAPEX抑制+資産売却」によって、少なくともキャッシュが配当と利払いに追いつかない状況からは脱しつつあると言えます。
負債構造と財務リスク管理
以下の表では、総資産、総負債、株主資本はM$(百万ドル)単位、自己資本率は%単位で表示しています。
| 年度 | 総資産 | 総負債 | 株主資本 | 自己資本率 | 負債比率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2025(Q3)※ | 60,990 | 41,926 | 19,064 | 31 | 220 |
| 2024 | 57,312 | 39,461 | 17,851 | 31 | 221 |
| 2023 | 57,967 | 38,859 | 19,108 | 33 | 203 |
| 2022 | 60,603 | 39,356 | 21,247 | 35 | 185 |
| 2021 | 62,990 | 44,251 | 18,739 | 30 | 236 |
| 2020 | 61,470 | 48,465 | 12,435 | 20 | 390 |
| 2019 | 60,524 | 46,430 | 13,541 | 22 | 343 |
| 2018 | 83,699 | 50,078 | 32,483 | 39 | 154 |
| 2017 | 79,940 | 52,931 | 25,823 | 32 | 205 |
| 2016 | 79,511 | 52,282 | 25,987 | 33 | 201 |
※2025年の行は2025年9月30日時点のバランスシート(2025年Q3 Form 10-Qベース)です。[3]
2025年9月末時点で見ると、自己資本率は31%と2024年末からほぼ横ばいですが、総負債は約394億ドルから約419億ドルへ増加しています。一方で、非支配株主持分の売却などにより株主資本は178億ドルから190億ドルへ増加しており、「資本を厚くしながらも負債水準も高止まりしている」状態と言えます。[3]
負債比率220%という水準自体は、過去2019〜2020年の340〜390%水準と比べると改善しているものの、化学セクターとしては警戒を要するレベルです。特に:
- 総負債が400億ドル超と絶対額で大きいことから、金利上昇局面では利払い負担が増加しやすい
- 格付けがBaa2(ムーディーズ)と投資適格級の下位に位置しており、業績悪化が続くと格下げ余地が残る
- 設備投資・配当・債務返済のバランスを取る必要があり、株主還元余地が制約されやすい
ただし、減配と資産売却により短期的な流動性リスクは抑えられているほか、構造的なコスト削減施策も継続しており、財務基盤が「一気に崩れる」ような状況ではありません。あくまで、中長期的に見てレバレッジ水準が高めである点に注意が必要、というイメージです。[3][5]
まとめ:配当削減後のDOWの投資価値
ダウ・インクは2025年7月の50%配当削減により、大きな転換点を迎えました。短期的には株価下落と配当収入の減少という形で株主に痛みを強いる一方で、長期的な視点では財務健全性の改善と持続可能な配当政策の確立につながる可能性があります。
配当削減後の同社の強みとリスクを整理すると:
配当削減後の強み:
- 年間ベースで約10億ドル規模のキャッシュアウト削減により、財務の柔軟性が大きく改善
- フォワード配当利回り約5.8〜5.9%という競争力ある水準を維持しつつ、配当性向を正常化しやすい水準にリセット
- 456回連続配当記録の維持に象徴される「配当継続」への強いコミットメント
- 非中核資産売却やコスト削減プログラムを通じたキャッシュフロー改善余地
- 世界最大級の総合化学メーカーとしての規模と事業ポートフォリオの多様性
- サイクル回復局面での増益・増配ポテンシャル
注意すべきリスク要因:
- 化学業界全体の構造的な低迷(需要サイクルの変化・供給過剰・環境規制強化など)
- 依然として高水準のレバレッジ(負債比率約220%)と金利上昇リスク
- 営業CFマージン2%(2025年1〜9月期)という低い収益力
- 新興国メーカーとの価格競争激化によるマージン圧迫
- 環境対応・循環型材料への転換に伴う追加投資とコスト負担
- 地政学リスクや貿易政策の変化による需要・サプライチェーンへの影響
投資家へのポイント:DOWへの投資は「高すぎる配当をリセットした後、財務体質を立て直しながらサイクル回復を待つ」タイプの投資になります。短期的なキャピタルゲインや増配を狙う銘柄ではなく、化学業界のサイクルを理解したうえで中長期で保有する前提の投資対象と考えるのが自然です。[2][3]
よくある質問
DOWの配当削減は今後も続く可能性がありますか?
2025年の50%削減により、DOWの配当は1株あたり年1.40ドルの水準にリセットされました。この水準自体は、足元の利益水準だけを見るとまだ十分とは言えないものの、従来よりは持続可能性が高い水準です。もっとも、化学業界の低迷が想定以上に長期化した場合や、さらなる景気後退が重なった場合には、追加的な配当調整リスクを完全に排除することはできません。
経営陣は「景気サイクル全体を通じて競争力ある配当を維持する」と繰り返し説明しており、今後は好況期にも配当性向を抑えつつ、バランスシートの強化に重点を置く方針とみられます。投資家としては、営業キャッシュフローと純利益の回復度合い、ならびに配当性向の推移を継続的に確認していくことが重要です。[1][3]
業界回復時にはどの程度の増配が期待できますか?
好況期の2021〜2022年には、DOWは年2.80ドルの配当を支払っていました。今後、EPSが再び4〜6ドル程度に戻り、配当性向50〜60%程度を維持するという前提に立つと、理論上は年2.0〜3.0ドル程度の配当も視野に入ります。ただし、レバレッジ水準や気候変動対応投資などを考慮すると、以前のように早期に2.80ドルへ戻すよりも、段階的な増配にとどまる可能性が高いでしょう。
したがって、短期的な「増配ストーリー」を期待するよりも、「減配後の安全性と、中長期での緩やかな配当成長」を重視するスタンスが現実的です。[2][5]
現在の株価水準(2025年11月27日時点で約23.9ドル)は投資妙味がありますか?
2025年11月時点の株価は、配当削減や業績悪化を織り込んだ水準まで下がっており、PBRはおおむね1倍前後、フォワード配当利回りは約5.8〜5.9%、トレーリング配当利回りは10%超という「高配当+低バリュエーション」の状態になっています。[4]
一方で、利益・キャッシュフロー・レバレッジを考えると、割安に見えても「それなりの理由があるバリュエーション」であることも事実です。業界の構造的変化や格付け動向を踏まえると、短期的な株価反発を前提にした投資よりも、「化学サイクルが正常化した場合の中長期的なアップサイド」を重視したポジションサイズが望ましいでしょう。ポートフォリオ全体に占める比率は抑えつつ、高配当+サイクル回復のオプションとして保有を検討するイメージです。[3][5]
他の化学株と比較したDOWの相対的な魅力度は?
DOWは世界最大級の総合化学メーカーであり、基礎化学品から高付加価値製品まで幅広いポートフォリオを持っています。同業のLyondellBasell(LYB)やDuPont(DD)と比べると、事業規模とグローバルな生産・販売網という点では優位性がありますが、負債水準の高さとサイクル感応度の高さは相対的な弱みです。
配当利回りについては、減配後も依然としてセクター平均を上回る水準にあり、「高配当×サイクル株」という位置づけは変わっていません。他の化学株や素材株との組み合わせでセクター内の分散を図りつつ、ポートフォリオ全体のリスク許容度に応じた比率で組み入れるのが現実的なアプローチと言えるでしょう。
ミニ解説: 本文の数値は、特に断りがない限り百万ドル(M$)単位で、2024年通期決算および2025年Q3決算(2025年9月30日現在)の公表データに基づいています。2025年通期決算公表後は、2025年行の数値やコメントを改めて見直すことをおすすめします。
【注】(出典リンク)
- 配当履歴・削減発表 → Dow Share Price Information(配当履歴と利回り) → Dow declares quarterly dividend of 35 cents per share(2025-07-24)(確認日:2025-11-28) ↩
- 業績データ2015〜2024年 → Dow Annual Reports / Form 10-K(2015〜2024年) → Macrotrends – Dow Inc Financial Statements(確認日:2025-11-28) ↩
- 2025年1〜3Q決算・キャッシュフロー → Dow Quarterly Earnings Reports(2025年Q1〜Q3) → Dow Inc. Form 10-Q for the quarter ended September 30, 2025(確認日:2025-11-28) ↩
- 株価・配当利回り(2025年11月時点) → Yahoo! Finance – DOW Quote → Reuters – Dow Inc (DOW.N)(確認日:2025-11-28) ↩
- 信用格付けと業界低迷 → Moody’s – Dow Inc. rating action(Baa1→Baa2, Negative, 2025-07-07) → Fitch Ratings – Dow Inc.(確認日:2025-11-28) ↩

