GILD(ギリアドサイエンシズ)今後の見通し

バイオ製薬&ゲノム,ヘルスケア,株価•決算

ギリアドサイエンシズ(Gilead Sciences, Inc.)の今後の見通しを考えるために、まず、金利と株価チャートの推移を参照し、次に、直近の決算を確認します。

目標株価やPERなどの情報も踏まえて主な指標についても掲載します。

金利と株価:過去~現在

※チャート左目盛り:青線は株価推移赤線は200日移動平均線

※チャート右目盛り:緑線は10年国債利回り

※株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、時価総額、株式数、取引の出来高などの内容を更新。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。

銘柄比較については関連記事(AMGNとGILDを比較:アムジェンとギリアドサイエンシズ)を参照

直近決算

ギリアドサイエンシズは8月7日(米国時間)に決算を発表しました。
★業績
《四半期》
・EPS:予想1.96$→結果2.01$
・売上高:予想68.7億$→結果71億$(前年同期比-2%)
★ガイダンス
《通年》
・EPS:予想8$→結果7.95~8.25$
・売上高:予想287億$→結果283~287億$
★出所
IRプレスリリース
・予想値はstreet insiderを参照しました。

企業概要

ギリアド・サイエンシズ(Gilead Sciences, NASDAQ: GILD)は、HIVや肝疾患を中心とする感染症領域に強みを持ち、腫瘍領域(抗体薬・細胞治療)まで展開するバイオ医薬品メーカーです。本社は米国カリフォルニア州フォスターシティにあります。[1]

同社はHIV(Biktarvy など)・HBV/HCV(Vemlidy/Epclusa など)・COVID-19(Veklury)に加え、がん領域では抗TROP-2抗体薬(Trodelvy)やCAR-T細胞療法(Yescarta/Tecartus:Kite Pharma)を保有。2024通期実績および2025年上期の決算では、HIV製品群が引き続き中核となっています(詳細数値は10-K/最新決算参照)。[2][3]

その事業分野は以下の通りです。

■感染症治療薬:HIVは単剤配合のBiktarvyを主力に、治療・予防の両面で製品群を拡張。2025年6月、半年に1回投与の長時間作用型カプシド阻害薬レナカパビル(ブランド名Yeztugo)が米国でHIV曝露前予防(PrEP)として承認され、女性や若年層を含む予防アクセス拡大が進みます。[4] C型肝炎はSovaldi/Harvoni/Epclusaが標準治療の一角を担い、B型肝炎はVemlidy等を展開。COVID-19治療薬Veklury(レムデシビル)は2020年10月に米FDAが入院成人等を対象に承認し、その後適応が拡大しました。[5]

■オンコロジー(腫瘍):2020年のImmunomedics買収によりTrodelvy(サシツズマブ ゴビテカン)を獲得し、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)に続いて、2023年にはHR陽性/HER2陰性切除不能又は転移性乳がんでも米FDA承認を取得しました。[6] 細胞療法は子会社KiteがYescarta(大細胞型B細胞リンパ腫など)とTecartus(マントル細胞リンパ腫など)を保有し、血液がんでの実臨床適用を拡大しています。[7]

■その他:かつてインフルエンザ薬タミフル(オセルタミビル)はギリアドが創製し、1996年にロシュへライセンス供与(同剤はロシュが製造販売)。その後の契約改定や特許満了を経て、同領域の主力は現在ロシュ側にあります(歴史的事項)。[8]

研究開発・パイプライン:HIV長時間作用型(治療・PrEP)、HBV機序拡張、呼吸器感染症、固形がん/血液がんの抗体薬・細胞療法の拡充を推進。なおCD47抗体マグロリマブは2024年に主要開発を中止しており、がん領域は重点資源をTrodelvy・細胞療法など実用段階のアセットへ再配分しています。[9]

沿革(抜粋):1987年創業。2012年Pharmasset買収でHCV薬を獲得、2017年Kite Pharma買収でCAR-Tへ進出、2020年Immunomedics買収でTrodelvyを獲得。パンデミック期にはVekluryを供給し、現在は感染症の基盤収益に腫瘍領域の成長を重ねる二本柱の体制です。[2][6]


ミニ解説

  • 長時間作用型の意味:注射・皮下投与を数か月間隔で行える製剤。服薬アドヒアランス改善や予防アクセス拡大につながる期待があります(例:レナカパビル)。[4]
  • 二本柱モデル:安定的なHIV等の感染症収益をベースに、腫瘍領域(抗体薬・細胞療法)で成長ドライバーを育成する戦略。[3]

【注】(出典リンク)

  1. 会社概要・所在地 → Gilead 公式:ContactForm 10-K(巻頭情報)(確認日:2025-09-25)
  2. 製品ポートフォリオと2024通期の概況 → 投資家向け資料(四半期/通期)Form 10-K 2024(確認日:2025-09-25)
  3. 2025年Q2決算(売上・HIV中心の収益構成) → 2025/8/6 プレスリリース(確認日:2025-09-25)
  4. レナカパビル(Yeztugo)米国PrEP承認 → Gilead 公式(2025/6)Reuters(2025/6/19)(確認日:2025-09-25)
  5. Veklury(レムデシビル)の米FDA承認 → FDAプレスリリース(2020/10/22)(確認日:2025-09-25)
  6. Immunomedics買収・Trodelvy承認拡大 → Gilead 公式(買収発表)FDA(HR+/HER2−承認, 2023/2)(確認日:2025-09-25)
  7. KiteのCAR-T(Yescarta/Tecartus) → FDA(Yescarta 初承認, 2017)FDA(Tecartus, 2020)(確認日:2025-09-25)
  8. タミフル起源とロシュへのライセンス(1996)、契約改定 → Gilead 公式(2005/11)SEC掲載プレス資料(確認日:2025-09-25)
  9. マグロリマブの主要開発中止 → Gilead 公式(2024/1/2)Reuters(2024/1/2)(確認日:2025-09-25)

四半期決算(EPSと売上)の推移:予想と結果

最後に、四半期決算について予想と結果を確認します。

売上高とEPSについて、マーケットのアナリスト平均値と企業の発表を比べてみます。

(単位はEPSがドル、売上高が100万ドル)。

【出典】

Posted by 南 一矢