LMTとRTXを比較:ロッキードマーチンとレイセオンテクノロジーズの違いとは

軍事株,銘柄比較

LMTとRTXを違いを踏まえて比較します。(2025年6月更新)

ロッキードマーチン(Lockheed Martin Corporation)とRTX(Raytheon Technologies Corporation)は軍事企業の代表格です。 その株価の推移(チャート)、決算の予想と結果、配当金と利回り、業績(財務情報)はどうなっているのでしょうか。 これらの銘柄について、今後の見通しや将来性を探ってみます。

※本記事は、公開されている最新の決算情報や財務データに基づき作成していますが、特定の銘柄の購入を推奨するものではありません。投資の最終判断はご自身の責任で行ってください。

株価:過去~現在

※チャート右目盛り:10年国債利回り

※株価の成長率や52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、PBR、PSR、時価総額などの内容を更新。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。今後の見通しの参考情報として目標株価も掲載。

決算(予想:結果)

マーケットにおけるEPSと売上の予想値の変動を更新してみます。

決算の予想:結果のグラフについては以下の関連記事を参照

ロッキードマーチン(LMT)決算:予想と結果 売上&EPS

レイセオンテクノロジーズ(RTX)決算:予想と結果 売上&EPS

業績と配当の詳細比較(2025年6月版)

株価や決算と並んで重要なのが、企業のファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)を示す業績と、株主還元の姿勢を示す配当です。ここではLMTとRTXの2社について、過去5年間のデータを基に詳しく比較・分析します。

比較サマリー

項目 ロッキード・マーティン (LMT) RTX (レイセオン)
事業概要 世界最大の防衛企業。F-35戦闘機などが主力。 防衛システムと航空宇宙エンジン・システムが事業の2本柱。
連続増配年数 22年 (2024年時点) 50年以上 (構成企業の歴史を含む)
配当利回り (直近) 約2.7% 約2.3%

成長性の詳細分析

売上高の比較 (2020-2024年)

RTXは毎年2桁近い成長を見せる一方、LMTは安定性を保ちつつも2022年には前年比マイナスを記録するなど、成長率の差が明確です。年ごとの成長率の推移が、最終的な年平均成長率(CAGR)の差につながっていることがわかります。

LMT 売上高
(前年比)
RTX 売上高
(前年比)
2020 $65.40 B (-) $56.59 B (-)
2021 $67.04 B (+2.51%) $64.39 B (+13.78%)
2022 $65.98 B (-1.58%) $67.07 B (+4.16%)
2023 $67.57 B (+2.41%) $74.31 B (+10.80%)
2024 $69.54 B (+2.92%) $78.86 B (+6.12%)
年平均成長率
(CAGR)
1.55% 8.65%

EPS(1株利益)の比較 (2020-2024年)

EPSにおいてもRTXの成長が著しく、毎年力強く数値を伸ばしています。LMTも安定して成長していますが、2024年は前年比でわずかにマイナスとなりました。

LMT EPS
(前年比)
RTX EPS
(前年比)
2020 $24.30 (-) $3.51 (-)
2021 $24.95 (+2.67%) $4.27 (+21.65%)
2022 $27.23 (+9.14%) $4.78 (+11.94%)
2023 $27.82 (+2.17%) $5.06 (+5.86%)
2024 $27.55 (-0.97%) $5.78 (+14.23%)
年平均成長率
(CAGR)
3.19% 13.28%

結論:今後の見通しと注意すべきリスク

分析サマリー

  • LMT:成長率は緩やかですが、事業は非常に安定しており、高い収益性と力強い株主還元が最大の魅力です。
  • RTX:合併後のシナジーを発揮し、売上・利益ともに高い成長性を示しています。防衛と商業航空というバランスの取れた事業ポートフォリオが強みです。

注意すべきリスク要因

一方で、両社にはそれぞれ固有のリスクも存在します。

  • LMTのリスク
    • 特定プロジェクトへの依存: F-35戦闘機など、特定の大型国家予算プロジェクトへの依存度が高く、計画の遅延や予算削減が業績に影響を与える可能性があります。
    • 地政学リスク: 国際情勢の安定化は、長期的には防衛予算の縮小につながる可能性があります。
  • RTXのリスク
    • 航空エンジン問題: 傘下のプラット&ホイットニー製GTFエンジンに関する大規模なリコールと検査費用が、近年の業績とキャッシュフローの重しとなっています。
    • 景気敏感性: 商業航空宇宙部門は、景気後退やパンデミックのような外的ショックの影響を受けやすい側面があります。

総合的な見通し

LMTは「安定性と高い株主還元」を重視する投資家に、RTXは「高い成長性」を重視する投資家にとって、それぞれ魅力的な選択肢です。ただし、上記のリスク要因を十分に理解した上で、長期的な視点から投資を検討することが重要です。


参照元記事およびデータソース:
【LMT】ロッキード・マーチン社の配当金推移
【RTX】レイセオン社の配当金推移
各社2024年通期決算報告書、Yahoo Finance等の公開財務データを参考に作成。

Posted by 南 一矢