LMTとRTXを比較|株価・配当・業績・将来性【2026年】
ロッキード・マーティン(Lockheed Martin Corporation/LMT)とRTX Corporation(RTX、旧Raytheon Technologies/レイセオン・テクノロジーズ)は、米国を代表する航空宇宙・防衛企業です。
ただし、両社の事業構成には大きな違いがあります。LMTはF-35、ミサイル防衛、宇宙など政府向け防衛事業の比重が高いのに対し、RTXはRaytheonの防衛事業に加え、Pratt & WhitneyとCollins Aerospaceを通じて民間航空機市場にも大きく展開しています。
本記事では、LMTとRTXの株価、配当利回り、2026年Q2決算、売上・EPS、バックログ(受注残)、2026年通期見通しを比較し、両社の違いと今後の将来性を整理します。
※本記事は2026年8月9日時点で確認できる公開情報に基づいて作成しています。特定銘柄の購入を推奨するものではありません。投資の最終判断はご自身の責任で行ってください。
LMTとRTXの違いを比較|結論
LMTとRTXはいずれも世界最大級の航空宇宙・防衛企業ですが、投資対象として見た場合の特徴はかなり異なります。
| 比較項目 | ロッキード・マーティン (LMT) |
RTX |
|---|---|---|
| 企業タイプ | 防衛中心 | 防衛+民間航空 |
| 主力事業 | F-35、ミサイル、防空、宇宙、回転翼機など | Raytheon、Pratt & Whitney、Collins Aerospace |
| 2026年Q2売上 | $20.063B | $24.708B |
| Q2末バックログ | $230B | $289B |
| 直近配当 | $3.45/四半期 | $0.73/四半期 |
| 年率換算配当 | $13.80 | $2.92 |
| 配当利回り概算 | 約2.35% | 約1.31% |
| 強み | 純防衛色が強く、防衛支出拡大の恩恵を受けやすい | 防衛と民間航空の両方から成長を取り込める |
| 主なリスク | 固定価格契約の採算悪化、大型プログラム損失 | GTFエンジン関連費用、民間航空機生産・供給網 |
簡潔に整理すると、防衛需要への直接的なエクスポージャーや配当利回りを重視するならLMT、防衛と民間航空の分散成長や売上・受注残の規模を重視するならRTXという違いがあります。
株価:過去~現在
※チャート右目盛り:10年国債利回り
株価の成長率や52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、PBR、PSR、時価総額などの内容を更新しています。リアルタイムではありませんが、株価は最大20分程度のディレイでフォローしています。今後の見通しの参考情報として目標株価も掲載しています。
2026年8月7日の米国市場終値は、LMTが$587.95、RTXが$223.03でした。[1]
単純な株価水準だけでは比較できないため、PERなどのバリュエーション、EPS成長率、フリーキャッシュフロー、配当利回りとあわせて確認する必要があります。
決算(予想:結果)
市場におけるEPSと売上高の予想値、および実際の決算結果の変動を更新しています。
決算の予想:結果のグラフについては、以下の関連記事を参照してください。
2026年Q2決算を比較
2026年Q2は、LMTとRTXの双方が増収となり、フリーキャッシュフローも改善しました。
| 指標 | LMT | RTX |
|---|---|---|
| 売上 | $20.063B[2] | $24.708B[3] |
| 純利益 | $1.836B | $2.139B |
| EPS | 希薄化後EPS $7.94 | GAAP EPS $1.57 調整後EPS $1.89 |
| 営業CF | $3.235B | $3.547B |
| フリーキャッシュフロー | $2.917B | $2.878B |
| バックログ | $230B | $289B |
LMTの2026年Q2
LMTの2026年Q2売上高は$20.063Bで、前年同期比11%増加しました。純利益は$1.836B、希薄化後EPSは$7.94、営業キャッシュフローは$3.235B、フリーキャッシュフローは$2.917Bでした。[2]
EPSが前年同期の$1.46から大幅に増加していますが、2025年Q2には複数の航空・回転翼機関連プログラムで約$1.6Bの損失を計上していました。このため、2026年Q2の大幅増益には前年の一時的な損失の反動も含まれています。
したがって、単純な前年同期比だけでLMTの基礎的な利益成長率を判断するのではなく、事業部門別利益率やプログラム損失の発生状況も確認する必要があります。
RTXの2026年Q2
RTXの2026年Q2売上高は$24.708B、普通株主帰属純利益は$2.139B、GAAP EPSは$1.57、調整後EPSは$1.89でした。営業キャッシュフローは$3.547B、フリーキャッシュフローは$2.878Bです。[3]
Collins Aerospace、Pratt & Whitney、Raytheonの3部門すべてが増収となり、調整後EPSは前年同期比21%増加しました。
商業航空のアフターマーケット需要、軍用エンジン、防空システム、ミサイル関連需要が業績を支えています。
売上高・成長率を比較
売上高の比較(2020~2025年)
2025年通期の売上高はLMTが$75.0B、RTXが$88.6Bでした。RTXは防衛事業だけでなく、民間航空機向けの機器、エンジン、整備・補修需要を取り込むため、売上規模ではLMTを上回ります。[4][5]
| 年 | LMT 売上高 | RTX 売上高 |
|---|---|---|
| 2020 | $65.4B | $56.6B |
| 2021 | $67.0B | $64.4B |
| 2022 | $66.0B | $67.1B |
| 2023 | $67.6B | $74.3B |
| 2024 | $71.0B | $80.7B |
| 2025 | $75.0B | $88.6B |
| 年平均成長率 (CAGR、2020→2025) |
約2.8% | 約9.4% |
※B=10億ドル。RTXの期間比較には旧Raytheon Technologiesの事業再編や統合後の構成変化が含まれるため、単純な既存事業の有機的成長率とは一致しません。
売上成長だけを見るとRTXが大きく上回ります。一方でLMTはF-35、ミサイル防衛、宇宙など政府向け大型防衛契約への集中度が高く、一般的な製造業とは異なる長期受注型ビジネスです。
LMTとRTXの配当を比較|配当利回りと増配
LMTとRTXはいずれも配当を継続していますが、2026年8月時点ではLMTの配当利回りがRTXを大きく上回っています。
| 項目 | LMT | RTX |
|---|---|---|
| 直近四半期配当 | $3.45[6] | $0.73[7] |
| 直近配当の年率換算 | $13.80 | $2.92 |
| 株価 2026/8/7 |
$587.95 | $223.03 |
| 概算配当利回り | 約2.35% | 約1.31% |
LMTの配当
LMTが直近に公表している四半期配当は1株$3.45です。2026年9月25日の支払いが予定されています。[6]
$3.45を単純に4倍すると、年率換算では$13.80になります。ただし、これは2026年の年間配当総額が確定して$13.80という意味ではなく、現在の四半期配当水準を1年間継続した場合の換算値です。
RTXの配当
RTXの直近四半期配当は1株$0.73です。2026年9月3日の支払いが予定されています。[7]
RTXは2026年3月支払分が$0.68、その後$0.73へ増配されています。このため、「2026年の四半期配当は一律$0.73」とするのではなく、直近の四半期配当が$0.73と見るのが適切です。
現在の$0.73を4倍した年率換算値は$2.92です。
配当利回りだけを見るとLMTが有利です。一方、RTXは民間航空事業の成長を取り込めるため、株価上昇によって配当利回りが低くなっている面もあります。配当利回りだけでなく、増配率、EPS成長率、フリーキャッシュフローをあわせて比較する必要があります。
バックログ(受注残)を比較
防衛・航空宇宙企業を比較する際には、現在の売上だけでなくバックログ(受注残)も重要です。
| 項目 | LMT | RTX |
|---|---|---|
| 2026年Q2末 | $230B | $289B |
| 主な構成 | F-35、ミサイル、防空、宇宙、回転翼機など | 商業航空$170B、防衛$119B |
LMTのバックログは2026年Q2末に$230Bとなり、過去最高を更新しました。THAAD迎撃ミサイルの複数年契約などが押し上げています。[2]
RTXのバックログは$289Bで、商業航空が$170B、防衛が$119Bです。防衛だけでなく民間航空機市場の大型受注残を抱えている点がLMTとの大きな違いです。[3]
バックログとは受注残高です。契約済みで、今後売上として計上される可能性のある金額を示します。ただし、バックログが大きくてもすべてがそのまま利益になるわけではありません。契約変更、納入遅延、固定価格契約でのコスト超過などによって利益率やキャッシュフローが悪化する可能性があります。
2026年の業績見通しを比較
| 2026年通期 | LMT | RTX |
|---|---|---|
| 売上 | $79.75B~$81.75B | 調整後$95.0B~$96.0B |
| EPS | $29.95~$30.65 | 調整後$7.10~$7.25 |
| FCF | $7.0B~$7.2B | $8.50B~$8.75B |
LMTは2026年Q2決算で通期売上、EPS、営業キャッシュフロー、FCFの見通しを引き上げました。[2]
RTXもQ2決算で調整後売上、調整後EPS、FCFの見通しを引き上げています。[3]
2026年Q2時点では両社とも業績モメンタムは強く、単純に「LMTだけが防衛需要で好調」「RTXだけが成長している」という状況ではありません。
LMTとRTXの将来性を比較
LMTの将来性
LMTの最大の強みは、米国および同盟国の防衛支出拡大に対して直接的な恩恵を受けやすいことです。
F-35、PAC-3、THAAD、宇宙・ミサイル関連など、長期的な政府調達プログラムを多数抱えており、2026年Q2末の受注残は過去最高の$230Bに達しています。
さらにLMTは2026年7月、対潜水艦戦や海中戦分野に強みを持つUltra Maritimeを約34.5億ドルで買収する最終契約を発表しました。[8]
買収が完了すれば、Rotary and Mission Systemsを中心に水中戦・対潜水艦戦能力の強化につながる可能性があります。
ただし、この買収は2026年8月時点では完了しておらず、規制当局の承認などが必要です。また、LMTは買収完了までUltra Maritimeの業績寄与を2026年通期ガイダンスに織り込んでいません。
LMTの主な強み
- 米国防衛予算との結び付きが強い
- F-35をはじめとする大型長期プログラム
- ミサイル・防空需要の拡大
- 過去最高のバックログ
- RTXより高い配当利回り
LMTの主なリスク
- 固定価格契約でのコスト超過
- 大型プログラムの採算悪化
- 政府予算や調達方針への依存
- 輸出承認や契約条件変更
- 特定の大型プログラムへの依存度
RTXの将来性
RTXの最大の特徴は、防衛と民間航空という二つの大型市場へ同時に投資できることです。
Raytheonは防空・ミサイルなどの防衛需要を取り込み、Pratt & WhitneyとCollins Aerospaceは民間航空機の新造需要と、長期間継続する整備・補修・部品需要を取り込みます。
2026年Q2末のバックログは$289Bで、LMTを上回ります。このうち商業航空が$170B、防衛が$119Bです。
RTXの主な強み
- 防衛と民間航空の事業分散
- 商業航空アフターマーケットの成長
- 防空・ミサイル需要
- 軍用・民間航空エンジン需要
- $289Bの大型バックログ
RTXの主なリスク
- Pratt & Whitney GTFエンジンの点検・改修費用
- エンジン稼働停止期間の長期化
- 航空機メーカーの生産ペース
- 素材・人件費上昇
- 航空宇宙産業の供給網問題
LMTとRTXはどちらが有望か
2026年Q2時点では、両社とも通期見通しを引き上げており、業績そのものは堅調です。そのため、「どちらが優れているか」というより、投資家が何を重視するかによって評価が変わります。
| 重視するポイント | 比較上の特徴 |
|---|---|
| 純防衛企業への投資 | LMTが比較対象になりやすい |
| 配当利回り | LMTが高い |
| 民間航空の成長 | RTXが有利 |
| 売上規模 | RTXが大きい |
| バックログ規模 | RTXが大きい |
| 防衛需要への感応度 | LMTが高い |
| 事業分散 | RTXが高い |
防衛需要の拡大とインカムを重視する場合にはLMT、防衛に加えて世界的な航空旅客需要や航空機アフターマーケットの成長も取り込みたい場合にはRTXが比較対象になりやすいでしょう。
注意すべきリスク
LMTのリスク
LMTでは固定価格契約や大型開発プログラムの採算悪化が利益に大きく影響します。2025年Q2には複数のプログラムで大型損失を計上しており、防衛需要が強いからといって必ずしも利益率が安定するわけではありません。[9]
米国政府の予算、調達方針、契約条件、輸出承認の変更も受注やキャッシュフローに影響します。
RTXのリスク
RTXではPratt & WhitneyのGTFエンジンに関する点検・改修費用が重要です。エンジンの稼働停止期間や補償、修理能力の拡大には今後も費用とキャッシュアウトが伴う可能性があります。[10]
また、民間航空事業を大きく抱えるため、航空機メーカーの生産遅延や世界的な航空需要、サプライチェーンの影響もLMTより受けやすい点に注意が必要です。
まとめ:LMTとRTXの違い
LMT(ロッキード・マーティン)とRTXは、ともに米国を代表する航空宇宙・防衛企業ですが、事業構成は大きく異なります。
LMTはF-35、ミサイル防衛、宇宙などを中心とする純防衛色の強い企業で、2026年Q2末には過去最高となる$230Bのバックログを抱えています。配当利回りもRTXより高く、防衛需要とインカムを重視する投資家から見れば比較しやすい銘柄です。
一方、RTXはRaytheonの防衛事業にPratt & WhitneyとCollins Aerospaceの民間航空事業を組み合わせた複合型企業です。2026年Q2末のバックログは$289BでLMTを上回り、民間航空のアフターマーケットと防衛需要を同時に取り込めることが強みです。
2026年Q2時点では両社とも通期見通しを引き上げており、業績モメンタムは強い状態です。ただし株価には好業績や防衛需要の拡大が織り込まれている可能性があります。
LMT=防衛への集中、過去最高の受注残、相対的に高い配当利回り。
RTX=防衛+民間航空、より大きな売上・バックログ、航空アフターマーケットの成長。
最終的には、受注残だけでなく、利益率、フリーキャッシュフロー、配当成長、契約損失、GTF関連費用、株価評価を継続して確認することが重要です。
最終更新日:2026年8月9日
【注】(出典リンク)
-
株価・配当利回り試算の前提 →
Yahoo Finance:LMT /
Yahoo Finance:RTX
→ LMT $587.95、RTX $223.03(2026年8月7日米国市場終値ベース、確認日:2026-08-09)
↩ -
LMT 2026年Q2決算・バックログ・2026年見通し →
Lockheed Martin 2026年Q2決算リリース
→ 売上$20.063B、純利益$1.836B、EPS$7.94、FCF $2.917B、バックログ$230B、2026年売上$79.75B~$81.75B、EPS $29.95~$30.65、FCF $7.0B~$7.2B(一次情報、確認日:2026-08-09)
↩ -
RTX 2026年Q2決算・バックログ・2026年見通し →
RTX 2026年Q2決算リリース
→ 売上$24.708B、GAAP EPS $1.57、調整後EPS $1.89、FCF $2.878B、バックログ$289B、2026年調整後売上$95.0B~$96.0B、調整後EPS $7.10~$7.25、FCF $8.50B~$8.75B(一次情報、確認日:2026-08-09)
↩ -
LMT 2025年通期実績 →
Lockheed Martin 2025年Q4・通期決算
→ 2025年売上$75.0Bおよび長期財務データ(一次情報、確認日:2026-08-09)
↩ -
RTX 2025年通期実績 →
RTX 2025年Q4・通期決算
→ 2025年売上$88.6Bおよび長期財務データ(一次情報、確認日:2026-08-09)
↩ -
LMT 配当 →
Lockheed Martin Dividend History
→ 直近四半期配当$3.45、2026年9月25日支払予定(一次情報、確認日:2026-08-09)
↩ -
RTX 配当 →
RTX Dividends & Splits
→ 直近四半期配当$0.73、2026年9月3日支払予定。2026年3月支払分は$0.68(一次情報、確認日:2026-08-09)
↩ -
Ultra Maritime買収契約 →
Lockheed Martin:Ultra Maritime買収発表
→ 約34.5億ドルでの買収契約、規制当局承認などを条件とする(一次情報、確認日:2026-08-09)
↩ -
LMTの固定価格契約・政府調達・プログラム損失リスク →
Lockheed Martin 2025 Form 10-K
→ 固定価格契約、プログラム損失、政府調達などのリスク(SEC・一次情報、確認日:2026-08-09)
↩ -
RTXのGTFエンジン・供給網・航空事業リスク →
RTX 2025 Form 10-K
→ GTFエンジン、供給網、商業航空・防衛事業のリスク(SEC・一次情報、確認日:2026-08-09)
↩

