【MSFT】マイクロソフトの株価と決算、配当

2019年7月15日

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現在のMSFTは、インド系の新進気鋭の経営者であるサティア・ナデラ氏(Satya Nadella)がCEOを務めています。

ナデラ氏は、かつてのWINDOWS一本槍の体制から、クラウド化重視へと舵を切った人物です。

その結果、2014年2月の就任後、MSFTの株価は3年で2倍になりました。

相当な成果を出したのですが、ビル・ゲイツに比べると知名度が低いので、初めにざっとその人物像を整理しておきます。

  • 情報科学の修士号取得のため、21歳にインドのハイデラバードから渡米。
  • 米中西部やシリコンバレーの経験を経て、92年にマイクロソフト入社。
  • コンシューマー、エンタープライズ両部門で、製品開発やイノベーションを主導。
  • フレッド・ハッチンソンがん研究センターの評議員、スタバ取締役を務め、シアトルの小児病院や障害者向け施設を支援

MSFTの停滞を打破し、現在は、クラウド化とAIへの注力を主導しています。

かつてのWindows一本槍から多様なクラウドサービスを充実させているわけです。

その事業はソフトウエアの開発と製造、ライセンス供与、販売とサポート、ゲーム事業(Xbox)、クラウドサービス(主にAzure)等が中心ですが、その範囲は、OSやサーバー、アプリ、インターネットとイントラネット等をカバーしています。

【事業別売上高(2018年6月)】

  • モアパーソナルコンピューティング:38.3%
  • プロダクティビティ&ビジネスプロセス:32.5%
  • インテリジェントクラウド:29.2%

※地域別にみると、米国が50.7%。他地域が49.3%。

「AAPLやGOOGLの真似じゃないの?」

そう勘繰る向きもありますが、結構、Microsoft Azureを使っている大手企業も多いのでMSFTのクラウドの評価は悪くありません。

若い人にとっては、ビル・ゲイツも過去の人ですが、近年の復活ぶりを見ると、やはり、MSFTのソフト力はバカにできないものだとも感じます。

この記事では最近のMSFTのパフォーマンスと、サティア・ナデラCEOのクラウドファーストの考え方等を紹介してみます。

※MSFT躍進の過程

MSFTの年間収益が1 年あたり約250万ドルに達した頃、ゲイツは、IBMがPCの動作を制御するオペレーティング・システム(OS)の完成に苦労しているという噂を聞きつけ、80年にIBMのためにOSをつくることを申し出ます。ここでIBMとの契約が成立すると、ゲイツは、既存のOSの権利をシアトルのとある会社から割安な金額で買い取り、それをIBMのニーズに合わせて改良しました。かくしてMS-DOSが誕生し、MSFT躍進の足掛かりとなります。当時のIBM製PCは三種のOSが使えたのですが、ゲイツはOSの著作権を保持しながら、OSのシェア首位を獲得。IBMのPC販売の拡大に合わせて「ソフトで儲ける」体制を確立しました。90年にWINDOWS、95年にインターネットエクスプローラーの販売開始。90年代は9割以上のPCがMSFTのソフトで動いていました。

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主な指標を概観

MSFTの主要指標を見てみます(出所はグーグルファイナンス等)。

1/2株価 99.6
7/12株価 138.9
株価上昇率 39.5%
52週高値 139.2
52週安値 94
EPS 3.88
PER 35.76
配当(利回り) 1.84 (1.32%)
時価総額(億$) 10644
株式数(億) 76.6

他のテクノロジー企業と比べても遜色ない伸び率ですが、GOOGLやAAPL、AMZNよりも安定感があり、配当金も出るので、投資先としてはちょうどよいバランス感が出てきています。

株価推移(チャートと伸び率)

まず、株価の推移を見てみます。

青線が株価推移。赤線が200日間の移動平均線です。

その伸びを年次で見てみます。

★1:各年の株価伸び率(※19年終値は7/12)
MSFT 初値 最安 最高 終値 上昇率
2019 99.6 97.4 121.1 138.9 40%
2018 86.1 85 115.6 101.6 18%
2017 62.8 62.3 86.9 85.5 36%
2016 54.3 48.4 63.6 62.1 14%
2015 46.7 40.3 56.6 55.5 19%
2014 37.4 35 49.6 46.5 24%
2013 27.3 26.5 38.9 37.4 37%
2012 26.5 26.4 32.9 26.7 1%
2011 28.1 23.7 28.9 26 -8%
2010 30.7 23 31.4 27.9 -9%
2009 19.5 15.2 31.4 30.5 56%
2008 35.8 17.5 35.8 19.4 -46%
★2:各年初から2019/7/12までの伸び率
19年~ 18年~ 17年~ 16年~ 15年~ 14年~
40% 61% 121% 156% 197% 271%
13年~ 12年~ 11年~ 10年~ 09年~ 08年~
409% 424% 394% 352% 612% 288%

サブプライムショックの後、2008年は年初~年末で株価は半減(-46%)しましたが、その後、株価は6倍以上になりました。

マイクロソフトは毎年伸びており、配当もあるので、安全パイ的な投資先だと言えるのかもしれません。

配当利回りと配当性向

さらに、配当利回りを見てみます。

権利落ち日 1株配当 配当利回り 当日株価
2019/08/15 0.46 #N/A #N/A
2019/05/16 0.46 1.4% 128.9
2019/02/21 0.46 1.6% 109.4
2018/11/15 0.46 1.6% 107.3
2018/08/16 0.42 1.6% 107.64
2018/05/17 0.42 1.7% 96.18
2018/02/15 0.42 1.7% 92.66
2017/11/16 0.42 1.9% 83.2
2017/08/17 0.39 2.2% 72.4
2017/05/18 0.39 2.3% 67.71
2017/02/16 0.39 2.3% 64.52
2016/11/17 0.39 2.4% 60.64
2016/08/18 0.36 2.5% 57.6
2016/05/19 0.36 2.8% 50.32

配当性向の推移もモーニングスター(MS)社のデータで確認してみましょう。

★配当性向=1株当たり配当÷EPS×100〔純利益から配当金を支払っている割合〕

★MS社は非GAAPのEPSで配当性向を試算。GAAP基準のEPS試算〔=単純計算〕の箇所は筆者挿入。

年/月 EPS 配当 配当性向
(GAAP) 単純計算 MS試算
09/6 1.62 0.5 30.9 30.8
10/6 2.1 0.52 24.8 24.8
11/6 2.69 0.61 22.7 22.6
12/6 2 0.76 38 26.4
13/6 2.58 0.89 34.5 44.3
14/6 2.63 1.07 40.7 38.2
15/6 1.48 1.21 81.8 49
16/6 2.56 1.39 54.3 101.5
17/6 3.25 1.53 47.1 66.1
18/6 2.13 1.65 77.5 109.5

四半期決算(2019予想など)

さらに、ロイターのサイトに掲載されている予想と結果の値をみてみます(2019/4/28)

EPS(予想と結果)

売上予想 平均 上限 下限 期間
2020 138532 142786 136396 1年
2019 124831 125712 124387 1年
6-19 35796 36764 34756 3カ月
EPS 予想 結果
3-19 29839 30571 732 2.45
12-18 32512 32471 41 0.13
9-18 27904 29084 1180 4.23
6-18 29205 30085 880 3.01
3-18 25769 26819 1050 4.07
12-17 28395 28918 523 1.84
9-17 23567 24538 971 4.12

売上高(予想と結果)

EPS予想 平均 上限 下限 期間
2020 5.10 5.62 4.7 1年
2019 4.58 4.66 4.39 1年
6-19 1.25 1.29 1.14 3カ月
EPS 予想 結果
3-19 1.00 1.14 0.14 14.15
12-18 1.09 1.10 0.01 0.70
9-18 0.96 1.14 0.18 18.37
6-18 1.08 1.13 0.05 5.02
3-18 0.85 0.95 0.10 11.86
12-17 0.86 0.96 0.1 11.09
9-17 0.72 0.84 0.12 17.09

※決算予想では米国会計基準(GAAP)とは異なる「非GAAP基準」の数値が多用されています(後述のGAAP基準と異なる売上とEPSの数値は非GAAP基準)

※GAAP基準で見た四半期決算をグラフ化すると、以下の展開になります。

【GAAP基準で見た四半期決算の推移】

出所はマイクロソフト決算資料

通年決算(GAAP基準)

最後に通年決算の数字を見てみます(売上と利益、資産と負債、資本とキャッシュフローの単位は百万ドル。EPS=希薄化後EPS)。

情報源はNASDAQマイクロソフト決算。2017年の年次報告書や18年以降の四半期決算では新会計基準を反映した数字が更新されている。

損益計算(売上、純利益等)

売上高 営業CF 同マージン 純利益
08/6 60420 21612 29.5% 17681
09/6 58437 19037 23.7% 14569
10/6 62484 24073 28.5% 18760
11/6 69943 26994 34.7% 23150
12/6 73723 31626 32.5% 16978
13/6 77849 28833 31.4% 21863
14/6 86833 32231 32.7% 22074
15/6 93580 29668 34.8% 12193
16/6 91154 33325 30.5% 20539
17/6 96571 39507 27.7% 25489
18/6 110360 43884 29.2% 16571

※同マージン=営業キャッシュフローマージン。15%以上もあれば優良な数値。通常、売上高>営業CF>純利益となる。営業CF<純利益となる企業は粉飾決算の可能性あり。

EPSや営業利益率など

営業利益率 EPS DSO
09/6 34.9 1.6 77.4
10/6 38.7 2.1 70.7
11/6 38.8 2.7 73.1
12/6 37.9 2 76.2
13/6 34.4 2.6 78
14/6 32.1 2.6 77.8
15/6 30.1 1.5 73
16/6 25 2.6 77.4
17/6 25.2 3.3 77.2
18/6 31.8 2.1 76.5

※DSO(デイズ・セールス・アウトスタンディング):売掛金回収に必要な日数。売掛金÷1日平均売上高で計算。期末に無理して売込みをかけてEPSをよい数値にした企業の場合は、売掛金が増え、DSOの数値が大きくなる。上記DSOの出所はモーニングスター社。

バランスシート

総資産 総負債 株主資本 自己資本率
08/6 72793 36507 36286 49.8%
09/6 77888 38330 39558 50.8%
10/6 86113 39938 46175 53.6%
11/6 108704 51621 57083 52.5%
12/6 121271 54908 66363 54.7%
13/6 140890 61946 78944 56.0%
14/6 170569 80785 89784 52.6%
15/6 174303 94220 80083 45.9%
16/6 202897 121471 83090 41.0%
17/6 250312 162601 87711 35.0%
18/6 258848 176130 82718 32.0%

ROAとROEなど

ROA ROE 流動比率
単位 倍率
09/6 19.3 38.4 1.8
10/6 22.9 43.8 2.1
11/6 23.8 44.8 2.6
12/6 14.8 27.5 2.6
13/6 16.6 30.1 2.7
14/6 14 26.2 2.5
15/6 7 14.4 2.5
16/6 9.1 22.1 2.4
17/6 9.8 29.4 2.5
18/6 6.6 21.4 2.9

★ROE=当期純利益÷自己資本 ※投下資本に対して企業が上げた利益を見る

★ROA=当期純利益÷総資産 ※総資産を用いて企業が上げた利益を見る

★流動比率=流動資産÷流動負債 ※短期的な支払い能力を見る(表では資本が負債の何倍かを表記)

キャッシュフロー

営業CF 投資CF 財務CF
08/6 21612 -4587 -12934
09/6 19037 -15770 -7463
10/6 24073 -11314 -13291
11/6 26994 -14616 -8376
12/6 31626 -24786 -9408
13/6 28833 -23811 -8148
14/6 32231 -18833 -8394
15/6 29668 -23001 9668
16/6 33325 -23950 -8393
17/6 39507 -46781 8408
18/6 43884 -6061 -33590

サティア・ナデラCEOのクラウドファースト構想

最後に、クラウドファーストを掲げるマイクロソフトCEOの構想を見てみます。

14年2月に就任したサティア・ナデラCEOはクラウドサービスに重点投資を行い、3年でマイクロソフトの時価総額を2倍にしました。

こうした勢いを見て、マイクロソフトは「お家芸の『追い上げ』でAMZNやGOOGL急追」を果たすのではないかと述べる人もいます。

日経BPの「ナデラ式マイクロソフト復活戦略」の要点を紹介してみましょう(2018年1月15日、根来龍之氏の見解)

根来氏は「マイクロソフトは、歴史的に見て、ファーストペンギンにはならないけれど、先行企業をキャッチアップするのが得意な会社であり、モバイル化とクラウド化に関しても、遅れたというより、むしろ非常に早く対応した」と肯定的に近年のMSFTを評価しています。

  • ナデラはCEO就任後、クラウド事業を強力に推し進めたが、利益率が少し下がっている(営業利益率は25%水準)が、これはデータセンター等の巨額の先行投資を行ったためだ。
  • しかし、売上高はしっかりと維持しているので、既存事業が元気な間に先行企業が切り開いた新技術事業への追い上げを開始していると言える。
  • これは既存資産を生かしながら、自社の特徴を出して追い上げるので、成功しやすい。
  • 「追い上げ戦略」は、マイクロソフトの40年の歴史を振り返ってみても、同社が得意としている”お家芸”だ。
  • その例はインターネット・エクスプローラー(IE)。ネットスケープ・ナビゲーターの後追いで開発し、追い上げ戦略で成功。
  • クラウド化でも、Office 365のライバルはGoogle Apps、Microsoft AzureのライバルはAWS(アマゾンウェブサービス)。

サティア・ナデラは、特にAWSのシェアに追いつくために構造改革を進め、ウィンドウズ中心主義からクラウドファーストへの転換に成功しています。

その結果、MSFTの時価総額はAAPLを追い抜き、世界ナンバーワンになりました。

ナデラ氏は、現在、複合現実(MR)、人工知能、量子コンピューターを、次世代の世界を変える重要なテクノロジーと見ています。

そして、「モバイルファーストからクラウドファーストへの移行」への対応に注力しています。

モバイルファーストの時代には、ユーザーエクスペリエンスにおいて、顧客は一つのデバイスのみでなく、複数のデバイスを使用します。

幾つものデバイスを用いてタスクを完了させる(マルチデバイス)中でMSFTの製品・サービスが評価されると見て、アプリケーションを構築すべきなのですが、これだけでは十分ではありません。

その上に、AIやデータという次世代の重要資産の働きを踏まえて、ユーザーエクスペリエンスの向上を目指さなければなりません。

こうしたクラウドファースト時代に対応するために、マイクロソフトはWindowsだけでなく、様々なクラウドサービスを充実させてきたわけです。

筆者はなぜかマックPCやアイパッド等が好きになれないので、長らくMSFTユーザーを続けてきました。

MSFT製品にはやや融通が利かないところもありますが、ユーザーの一人として、今後の発展に期待したいと考えています。