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【MSFT】マイクロソフトの株価と決算、配当

更新日:

現在のMSFTは、インド系の新進気鋭の経営者であるサティア・ナデラ氏(Satya Nadella)がCEOを務めています。

ナデラ氏は、かつてのWINDOWS一本槍の体制から、クラウド化重視へと舵を切った人物です。

その結果、2014年2月の就任後、MSFTの株価は3年で2倍になりました。相当な成果を出したのですが、ゲイツに比べると知名度が低いので、初めにざっとその人物像を整理しておきます。

★情報科学の修士号取得のため、21歳にインドのハイデラバードから渡米。

★米中西部やシリコンバレーの経験を経て、92年にマイクロソフト入社。

★コンシューマー、エンタープライズ両部門で、製品開発やイノベーションを主導。

★フレッド・ハッチンソンがん研究センターの評議員、スターバックス取締役を務め、シアトルの小児病院や障害者向け施設を支援している

MSFTの停滞を打破し、現在は、クラウド化とAIへの注力を主導しています。

ビル・ゲイツ氏がマイクロソフト会長をやめてからずいぶんと月日が経ち、同社もかつてのWindows一本槍から多様なクラウドサービスを充実させています。

ブルームバーグHPでも「ソフトウエア製品の開発、製造、ライセンス供与、販売、サポート」だけでなく、「オペレーティングシステム、サーバー・アプリケーション、法人・個人向けアプリケーションのソフトウエア、ソフトウエア開発ツール」「インターネット/イントラネットソフトウエア」「テレビゲーム機、デジタル音楽・娯楽用機器」等にまで広がる事業の多角化ぶりが強調されていました。

「アップルやグーグルの真似じゃないの?」

そう勘繰る向きもありますが、結構、Microsoft Azureを使っている大手企業も多いのでMSFTのクラウドの評価は悪くありません。

若い人にとっては、ゲイツももはや過去の人ですが、近年の復活ぶりを見ると、やはり、MSFTのソフト力はバカにできないものだとも感じます。

この記事では最近のMSFTのパフォーマンスを踏まえ、サティア・ナデラCEOのクラウドファーストの考え方等を紹介してみます。

※MSFT躍進の過程

MSFTの年間収益が1 年あたり約250万ドルに達した頃、ゲイツは、IBMがPCの動作を制御するオペレーティング・システム(OS)の完成に苦労しているという噂を聞きつけ、80年にIBMのためにOSをつくることを申し出ます。ここでIBMとの契約が成立すると、ゲイツは、既存のOSの権利をシアトルのとある会社から割安な金額で買い取り、それをIBMのニーズに合わせて改良しました。かくしてMS-DOSが誕生し、MSFT躍進の足掛かりとなります。当時のIBM製PCは三種のOSが使えたのですが、ゲイツはOSの著作権を保持しながら、OSのシェア首位を獲得。IBMのPC販売の拡大に合わせて「ソフトで儲ける」体制を確立しました。90年にWINDOWS、95年にインターネットエクスプローラーの販売開始。90年代は9割以上のPCがMSFTのソフトで動いていました。

主な指標を概観

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MSFTの主要指標を見てみます(出所はグーグルファイナンス等)。

19/1/2株価99.6
19/1/11株価102.8
株価上昇率3.3%
52週高値116.2
52週安値83.8
EPS3.88
PER26.47
配当(利回り)1.84 (1.79%)
時価総額(億$)7892
株式数(億)76.8

他のテクノロジー企業と比べても遜色ない伸び率ですが、グーグルやアップル、アマゾンよりも安定感があり、配当金も出るので、投資先としてはちょうどよいバランス感が出てきています。

株価推移(チャートと伸び率)

まず、株価の推移を見てみます


青線が株価推移。赤線が200日間の移動平均線です。

その伸びを年次で見てみます

★1:各年の株価伸び率(※18年終値は12/31)
MSFT

初値

最安

最高

終値

上昇率

2018

86.1

85

115.6

101.6

18%

2017

62.8

62.3

86.9

85.5

36%

2016

54.3

48.4

63.6

62.1

14%

2015

46.7

40.3

56.6

55.5

19%

2014

37.4

35

49.6

46.5

24%

2013

27.3

26.5

38.9

37.4

37%

2012

26.5

26.4

32.9

26.7

1%

2011

28.1

23.7

28.9

26

-8%

2010

30.7

23

31.4

27.9

-9%

2009

19.5

15.2

31.4

30.5

56%

2008

35.8

17.5

35.8

19.4

-46%

★2:各年初から2018/12/31までの伸び率
18年~

17年~

16年~

15年~

14年~

13年~

18%

62%

87%

117%

172%

272%

12年~

11年~

10年~

09年~

08年~

-

283%

261%

231%

421%

184%

-

サブプライムショックの後、2008年は年初~年末で株価は半減(-46%)しましたが、その後、2009年初から18年11月16日までで株価は5倍以上になりました。

マイクロソフトは毎年伸びており、配当もあるので、安全パイ的な投資先だと言えるのかもしれません。

配当利回りと配当性向

株価の次に、配当金と配当性向の推移をモーニングスター(MS)社のデータで見てみます。

★配当性向=1株当たり配当÷EPS×100〔純利益から配当金を支払っている割合〕

★MS社は非GAAPのEPSで配当性向を試算。GAAP基準のEPS試算〔=単純計算〕の箇所は筆者挿入。

年/月

EPS

配当

配当性向

(GAAP)

単純計算

MS試算

2009/6

1.62

0.5

30.9

30.8

2010/6

2.1

0.52

24.8

24.8

2011/6

2.69

0.61

22.7

22.6

2012/6

2

0.76

38

26.4

2013/6

2.58

0.89

34.5

44.3

2014/6

2.63

1.07

40.7

38.2

2015/6

1.48

1.21

81.8

49

2016/6

2.56

1.39

54.3

101.5

2017/6

3.25

1.53

47.1

66.1

2018/6

2.13

1.65

77.5

109.5

四半期ごとの配当金の額も見てみます

権利落ち日

配当

配当利回り

当日株価

2019/02/21

0.46

#N/A

#N/A

2018/11/15

0.46

1.6%

107.3

2018/08/16

0.42

1.6%

107.64

2018/05/17

0.42

1.7%

96.18

2018/02/15

0.42

1.7%

92.66

2017/11/16

0.42

1.9%

83.2

2017/08/17

0.39

2.2%

72.4

2017/05/18

0.39

2.3%

67.71

2017/02/16

0.39

2.3%

64.52

2016/11/17

0.39

2.4%

60.64

2016/08/18

0.36

2.5%

57.6

2016/05/19

0.36

2.8%

50.32

2016/02/18

0.36

2.6%

52.19

増配が続いています。

四半期決算(予想と実値)

さらに、決算の数字を見てみます。

以下、ロイターのサイトに掲載されている予想値です(2018/11/18)

ロイター予想値

売上予想

平均

上限

下限

期間

2020

137557

143168

129442

通年

2019

124412

126592

122795

通年

2018

109482

110060

108909

通年

3-19

32015

32830

30227

4半期

12-18

29205

29507

28839

4半期

売上

予想

結果

9-18

27904

29084

1180

4.23

6-18

29205

30085

880

3.01

3-18

25769

26819

1050

4.07

12-17

28395

28918

523

1.84

9-17

23567

24538

971

4.12

EPS予想

平均

上限

下限

期間

2020

5.03

5.78

4.45

通年

2019

4.44

4.7

4.26

通年

2018

3.84

3.9

3.78

通年

3-19

1.19

1.33

1

4半期

12-18

1.08

1.13

1.02

4半期

EPS

予想

結果

9-18

0.96

1.14

0.18

18.37

6-18

1.08

1.13

0.05

5.02

3-18

0.85

0.95

0.1

11.86

12-17

0.86

0.96

0.1

11.09

9-17

0.72

0.84

0.12

17.09

※決算予想では米国会計基準(GAAP)とは異なる「非GAAP基準」の数値が多用されています(後述のGAAP基準と異なる売上とEPSの数値は非GAAP基準)

四半期決算(GAAP基準)

売上高

純利益

EPS

03-2016

20910

5069

0.63

06-2016

25253

5938

0.74

09-2016

21517

4305

0.54

09-2016

23474

5227

0.66

12-2016

21928

5667

0.72

03-2017

25826

6267

0.8

06-2017

23212

5486

0.7

09-2017

25605

8069

1.03

09-2017

24538

6576

0.84

12-2017

28918

-6302

-0.82

03-2018

26819

7424

0.95

06-2018

30085

8873

1.14

09-2018

29084

8824

1.14

 

通年決算(GAAP基準)

最後に決算の数字を見てみます。

※売上と利益、資産と負債、資本とキャッシュフローの単位は百万ドル。EPS=希薄化後EPS。情報源はNASDAQマイクロソフト決算。2017年の年次報告書や18年四半期決算では新会計基準を反映した数字が更新されている。

損益計算(売上、純利益等)

売上高

営業CF

同マージン

純利益

06-2008

60420

21612

29.5%

17681

06-2009

58437

19037

23.7%

14569

06-2010

62484

24073

28.5%

18760

06-2011

69943

26994

34.7%

23150

06-2012

73723

31626

32.5%

16978

06-2013

77849

28833

31.4%

21863

06-2014

86833

32231

32.7%

22074

06-2015

93580

29668

34.8%

12193

06-2016

91154

33325

30.5%

20539

06-2017

96571

39507

27.7%

25489

06-2018

110360

43884

29.2%

16571

※同マージン=営業キャッシュフローマージン。15~35%程度あれば優良な数値。通常、売上高>営業CF>純利益となる。営業CF<純利益となる企業は粉飾決算の可能性あり。

EPSや営業利益率など

営業利益率

EPS

DSO

06-2009

34.9

1.6

77.4

06-2010

38.7

2.1

70.7

06-2011

38.8

2.7

73.1

06-2012

37.9

2

76.2

06-2013

34.4

2.6

78

06-2014

32.1

2.6

77.8

06-2015

30.1

1.5

73

06-2016

25

2.6

77.4

06-2017

25.2

3.3

77.2

06-2018

31.8

2.1

76.5

※DSO(デイズ・セールス・アウトスタンディング):売掛金回収に必要な日数。売掛金÷1日平均売上高で計算。期末に無理して売込みをかけてEPSをよい数値にした企業の場合は、売掛金が増え、DSOの数値が大きくなる。上記DSOの出所はモーニングスター社。

バランスシート

総資産

総負債

株主資本

自己資本率

06-2008

72793

36507

36286

49.8%

06-2009

77888

38330

39558

50.8%

06-2010

86113

39938

46175

53.6%

06-2011

108704

51621

57083

52.5%

06-2012

121271

54908

66363

54.7%

06-2013

140890

61946

78944

56.0%

06-2014

170569

80785

89784

52.6%

06-2015

174303

94220

80083

45.9%

06-2016

193468

121471

71997

37.2%

06-2017

250312

162601

87711

35%

 

ROAとROEなど

★ROE=当期純利益÷自己資本 ※投下資本に対して企業が上げた利益を見る

★ROA=当期純利益÷総資産 ※総資産を用いて企業が上げた利益を見る

★流動比率=流動資産÷流動負債 ※短期的な支払い能力を見る(下表では資本が負債の何倍かを表記)

ROA

ROE

流動比率

単位

倍率

06-2009

19.3

38.4

1.8

06-2010

22.9

43.8

2.1

06-2011

23.8

44.8

2.6

06-2012

14.8

27.5

2.6

06-2013

16.6

30.1

2.7

06-2014

14

26.2

2.5

06-2015

7

14.4

2.5

06-2016

9.1

22.1

2.4

06-2017

9.8

29.4

2.5

06-2018

6.6

21.4

2.9

キャッシュフロー

営業CF

投資CF

財務CF

現金同等物

06-2008

21612

-4587

-12934

10339

06-2009

19037

-15770

-7463

6076

06-2010

24073

-11314

-13291

5505

06-2011

26994

-14616

-8376

9610

06-2012

31626

-24786

-9408

6938

06-2013

28833

-23811

-8148

3804

06-2014

32231

-18833

-8394

8669

06-2015

29668

-23001

9668

5595

06-2016

33325

-23950

-8393

6510

06-2017

39507

-46781

8408

7663

06-2018

43884

-6061

-33590

11946

 

サティア・ナデラCEOのクラウドファースト構想

最後に、クラウドファーストを掲げるマイクロソフトCEOの構想を見てみます。

14年2月に就任したサティア・ナデラCEOはクラウドサービスに重点投資を行い、3年でマイクロソフトの時価総額を2倍にしました。こうした勢いを見て、マイクロソフトは「お家芸の『追い上げ』でアマゾン、グーグル急追」を果たすのではないかと述べる人もいます。

日経BPの「ナデラ式マイクロソフト復活戦略」の要点を紹介してみましょう(2018年1月15日、根来龍之氏の見解)

根来氏は「マイクロソフトは、歴史的に見て、ファーストペンギンにはならないけれど、先行企業をキャッチアップするのが得意な会社であり、モバイル化とクラウド化に関しても、遅れたというより、むしろ非常に早く対応した」と肯定的に近年のMSFTを評価しています。

  • ナデラはCEO就任後、クラウド事業を強力に推し進めたが、利益率が少し下がっている(営業利益率は25%水準)が、これはデータセンター等の巨額の先行投資を行ったためだ。
  • しかし、売上高はしっかりと維持しているので、既存事業が元気な間に先行企業が切り開いた新技術事業への追い上げを開始していると言える。

 

  • これは既存資産を生かしながら、自社の特徴を出して追い上げるので、成功しやすい。
  • 「追い上げ戦略」は、マイクロソフトの40年の歴史を振り返ってみても、同社が得意としている"お家芸"だ。
  • その例はインターネット・エクスプローラー(IE)。ネットスケープ・ナビゲーターの後追いで開発し、追い上げ戦略で成功。
  • クラウド化でも、Office 365のライバルはグーグルのGoogle Apps、Microsoft AzureのライバルはアマゾンのAWS。

サティア・ナデラは、特に、アマゾンウェブサービスのシェアに追いつくために構造改革を進め、ウィンドウズ中心主義からクラウドファーストへの転換に成功しています。

その結果、MSFTの株価の伸び率は、ここ3年で見ると、情報技術系のダウ銘柄の中でも際立った成果を見せています。

ナデラ氏は、現在、複合現実(MR)、人工知能、量子コンピューターを、次世代の世界を変える重要なテクノロジーと見ています。

そして、「モバイルファーストからクラウドファーストへの移行」への対応に注力しています。

モバイルファーストの時代には、ユーザーエクスペリエンスにおいて、顧客は一つのデバイスのみでなく、複数のデバイスを使用します。

幾つものデバイスを用いてタスクを完了させる(マルチデバイス)中でMSFTの製品・サービスが評価されると見て、アプリケーションを構築すべきなのですが、これだけでは十分ではありません。

その上に、AIやデータという次世代の重要資産の働きを踏まえて、ユーザーエクスペリエンスの向上を目指さなければなりません。

こうしたクラウドファースト時代に対応し、マイクロソフトはWindowsだけでなく、様々なクラウドサービスを充実させてきました。

筆者はなぜかアップル製品があまり好きではないので、長らくMSFTユーザーを続けてきました。

MSFTには融通が利かないところもありますが、ユーザーの一人として、今後の発展に期待したいと考えています。

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