【MSFT】マイクロソフトの株価と決算、配当

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現在のMSFTは、インド系の新進気鋭の経営者であるサティア・ナデラ氏(Satya Nadella)がCEOを務めています。

ナデラ氏は、かつてのWINDOWS一本槍の体制から、クラウド化重視へと舵を切った人物です。その結果、2014年2月の就任後、MSFTの株価は20年1月時点で、4倍以上になりました。

相当な成果を出したのですが、ビル・ゲイツに比べると知名度が低いので、初めにざっとその人物像を整理しておきます。

MSFTの停滞を打破し、現在は、クラウド化とAIへの注力を主導しています。

かつてのWindows一本槍から多様なクラウドサービスを充実させているわけです。

その事業はソフトウエアの開発と製造、ライセンス供与、販売とサポート、ゲーム事業(Xbox)、クラウドサービス(主にAzure)等が中心で、OSやサーバー、アプリ、インターネットとイントラネット等をカバーしています。

WindowsやXbox、Surfaceを含む端末をカバーする「モアパーソナルコンピューティング」部門、「Office」「Dynamics」「LinkedIn」等からなる「プロダクティビティ&ビジネスプロセス」部門、「Azure」や従来のサーバ製品(「SQL Server」等)をカバーする「インテリジェントクラウド」部門に分かれているのです。
【事業別売上高】

17/6 18/6 19/6
MPC 40.1% 38.3% 36.3%
P&B 31.5% 32.5% 32.7%
IC 28.4% 29.2% 31.0%

【地域別売上高】

17/6 18/6 19/6
米国 52.1% 50.7% 51%
海外 47.9% 49.3% 49%

「AAPLやGOOGLの真似じゃないの?」

そう勘繰る向きもありますが、結構、Microsoft Azureを使っている大手企業も多いのでMSFTのクラウドの評価は悪くありません。

若い人にとっては、ビル・ゲイツも過去の人ですが、近年の復活ぶりを見ると、やはり、MSFTのソフト力はバカにできません。この記事では最近のMSFTのパフォーマンスと、サティア・ナデラCEOのクラウドファーストの考え方等を紹介してみます。

※MSFT躍進の過程
MSFTの年間収益が1 年あたり約250万ドルに達した頃、ゲイツは、IBMがPCの動作を制御するオペレーティング・システム(OS)の完成に苦労しているという噂を聞きつけ、80年にIBMのためにOSをつくることを申し出ます。ここでIBMとの契約が成立すると、ゲイツは、既存のOSの権利をシアトルのとある会社から割安な金額で買い取り、それをIBMのニーズに合わせて改良しました。かくしてMS-DOSが誕生し、MSFT躍進の足掛かりとなります。当時のIBM製PCは三種のOSが使えたのですが、ゲイツはOSの著作権を保持しながら、OSのシェア首位を獲得。IBMのPC販売の拡大に合わせて「ソフトで儲ける」体制を確立しました。90年にWINDOWS、95年にインターネット・エクスプローラーの販売開始。90年代は9割以上のPCがMSFTのソフトで動いていました

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主な指標を概観

まず、主要指標のデータを見てみます(指標と株価はgooglefinance関数から取得)。

1/2株価 158.8
9/29株価 207.3
株価上昇率 30.52%
52週高値 232.9
52週安値 132.5
β値 0.89
EPS 5.76
PER 35.96
配当利回り 1.07%
時価総額(億$) 15685
株式数(億) 75.7

株価推移(チャートと伸び率)

次に、株価の推移を見てみます(青線が株価推移。赤線が200日間の移動平均線)。

株価の推移を1年ごとに見てみましょう。

★1:各年の株価伸び率(※20年終値は9/29株価)
MSFT 初値 終値 上昇率
2020 158.8 207.3 31%
2019 99.6 157.7 58%
2018 86.1 101.6 18%
2017 62.8 85.5 36%
2016 54.3 62.1 14%
2015 46.7 55.5 19%
2014 37.4 46.5 24%
2013 27.3 37.4 37%
2012 26.5 26.7 1%
2011 28.1 26 -7%
2010 30.7 27.9 -9%
2009 19.5 30.5 56%
2008 35.8 19.4 -46%
★2:各年初から20/9/29までの伸び率
19年~ 18年~ 17年~ 16年~
108% 141% 230% 282%
15年~ 14年~ 13年~ 12年~
344% 454% 659% 682%
11年~ 10年~ 09年~ 08年~
638% 575% 963% 479%

配当利回りと配当性向

さらに、配当利回りを見てみます。

権利落ち日 配当 利回り 株価
2020/8/20 0.51 0.95% 214.6
2020/5/21 0.51 1.08% 183.4
2020/2/20 0.51 1.05% 184.4
2019/11/21 0.51 1.26% 149.5
2019/8/15 0.46 1.38% 133.7
2019/5/16 0.46 1.40% 128.9
2019/2/21 0.46 1.61% 109.4
2018/11/15 0.46 1.60% 107.3
2018/8/16 0.42 1.56% 107.6
2018/5/17 0.42 1.72% 96.2
2018/2/15 0.42 1.75% 92.7
2017/11/16 0.42 1.91% 83.2

配当性向の推移もモーニングスター(MS)社のデータで確認してみましょう。

★配当性向=1株当たり配当÷EPS×100〔純利益から配当金を支払っている割合〕

★単純計算=EPS÷1株配当。MS試算=モーニングスター社の試算値

年/月 EPS 配当 配当性向
(GAAP) 単純計算 MS試算
09/6 1.62 0.5 30.9 30.8
10/6 2.1 0.52 24.8 24.8
11/6 2.69 0.61 22.7 22.6
12/6 2 0.76 38.0 26.4
13/6 2.58 0.89 34.5 44.3
14/6 2.63 1.07 40.7 38.2
15/6 1.48 1.21 81.8 49
16/6 2.56 1.39 54.3 101.5
17/6 3.25 1.53 47.1 66.1
18/6 2.13 1.65 77.5 109.5
19/6 5.06 1.8 35.6 39.1
20/6 5.76 1.99 34.5 32.3

四半期決算(2020予想など)

さらに、四半期決算のEPSと売上の予想を整理してみます。

(※下記図表では、Y=年度決算、Q=四半期決算、日/月=データの日時、その右欄にあるのは1カ月前、2か月前の予想値を記載。データの主な出所は英語版のヤフーファイナンス。ただ、2019年6月までのデータ出所はロイター)。

EPS:予想と結果

予想 9/29 1月前 2月前
Y:2022 7.35 7.34 7.34
Y:2021 6.46 6.46 6.46
Q:21/12 1.61 1.61 1.61
Q:21/9 1.54 1.54 1.54
MSFT 予想 結果
20/6 1.38 1.46 0.08 5.8
20/3 1.26 1.4 0.14 11.1
19/12 1.32 1.51 0.19 14.4
19/9 1.24 1.38 0.14 11.3
19/6 1.21 1.37 0.16 13.2
19/3 1 1.14 0.14 14.0
18/12 1.05 1.1 0.05 4.8
18/9 0.96 1.14 0.18 18.8
18/6 1.08 1.13 0.05 4.6
18/3 0.85 0.95 0.1 11.9

売上高:予想と結果

予想 9/29 1月前 2月前
Y:2022 174800 174710 174710
Y:2021 156720 156690 156690
Q:21/12 40380 40380 40380
Q:21/9 35700 35690 35690
売上 予想 結果
20/6 36490 38000 1510 4.1
20/3 33680 35020 1340 4.0
19/12 35680 36906 1226 3.4
19/9 32230 33055 825 2.6
19/6 32773 33717 944 2.9
19/3 29839 30571 732 2.5
18/12 32512 32471 -41 -0.1
18/9 27904 29084 1180 4.2
18/6 29205 30085 880 3
18/3 25769 26819 1050 4.1

決算予想と結果では米国会計基準(GAAP)とは違う「非GAAP基準」の数値(各社が経営実態を踏まえて調整した数値)が多用されています。そのため、本節の売上とEPSは次節のGAAP基準の値と同じになるとは限りません。

通年決算(GAAP基準)

最後に、通年決算の数字を見てみます(以下、売上、利益、資産、負債、資本、キャッシュフローなどの単位は百万ドル。EPS=希薄化後EPS)。

損益計算(売上、純利益等)

MSFT 売上高 営業CF 同マージン 純利益
08/6 60420 21612 36% 17681
09/6 58437 19037 33% 14569
10/6 62484 24073 39% 18760
11/6 69943 26994 39% 23150
12/6 73723 31626 43% 16978
13/6 77849 28833 37% 21863
14/6 86833 32502 37% 22074
15/6 93580 29668 32% 12193
16/6 91154 33325 37% 20539
17/6 96571 39507 41% 25489
18/6 110360 43884 40% 16571
19/6 125843 52185 41% 39240
20/6 143015 60675 42% 44281

*同マージン=営業キャッシュフローマージン。15%もあれば優良。通常、売上高>営業CF>純利益となる。営業CF<純利益となる企業は粉飾決算の可能性あり。

EPSや営業利益率など

MSFT SG(%) EPS DSO
08/6 18% 1.87 ?
09/6 -3% 1.62 77.4
10/6 7% 2.1 70.7
11/6 12% 2.69 73.1
12/6 5% 2 76.2
13/6 6% 2.58 78.0
14/6 12% 2.63 77.8
15/6 8% 1.48 73.0
16/6 -3% 2.56 77.4
17/6 6% 3.25 77.2
18/6 14% 2.13 76.5
19/6 14% 5.06 81.2
20/6 14% 5.76 78.5

※SG(セールスグロース):売上高成長率(前年度比)

※DSO(デイズ・セールス・アウトスタンディング):売掛金回収に必要な日数。売掛金÷1日平均売上高で計算。期末に無理して売込みをかけてEPSをよい数値にした企業の場合は、売掛金が増え、DSOの数値が大きくなる。上記DSOの出所はモーニングスター社。

バランスシート

MSFT 総資産 総負債 株主資本 自己資本率
08/6 72793 36507 36286 50%
09/6 77888 38330 39558 51%
10/6 86113 39938 46175 54%
11/6 108704 51621 57083 53%
12/6 121271 54908 66363 55%
13/6 142431 63487 78944 55%
14/6 172384 82600 89784 52%
15/6 174472 94389 80083 46%
16/6 193468 121471 71997 37%
17/6 250312 162601 87711 35%
18/6 258848 176130 82718 32%
19/6 286556 184226 102330 36%
20/6 301311 183007 118304 39%

ROAとROEなど

MSFT ROA ROE 流動比率
08/6 24% 49% 145%
09/6 19% 37% 182%
10/6 22% 41% 213%
11/6 21% 41% 260%
12/6 14% 26% 260%
13/6 15% 28% 271%
14/6 13% 25% 250%
15/6 7% 15% 247%
16/6 11% 29% 235%
17/6 10% 29% 292%
18/6 6% 20% 290%
19/6 14% 38% 253%
20/6 15% 37% 252%

★ROA=当期純利益÷総資産 ※総資産を用いて企業があげた利益の割合

★ROE=当期純利益÷自己資本 ※投下資本に対して企業があげた利益の割合

★流動比率=流動資産÷流動負債 ※短期的な支払い能力を見る指標

キャッシュフロー

MSFT 営業CF 投資CF 財務CF
08/6 21612 -4587 -12934
09/6 19037 -15770 -7463
10/6 24073 -11314 -13291
11/6 26994 -14616 -8376
12/6 31626 -24786 -9408
13/6 28833 -23811 -8148
14/6 32502 -18833 -8665
15/6 29668 -23001 -9668
16/6 33325 -23950 -8393
17/6 39507 -46781 8408
18/6 43884 -6061 -33590
19/6 52185 -15773 -36887
20/6 60675 -12223 -46031

サティア・ナデラCEOのクラウドファースト構想

最後に、クラウドファーストを掲げるマイクロソフトCEOの構想を見てみます。

14年2月に就任したサティア・ナデラCEOはクラウドサービスに重点投資を行い、3年でマイクロソフトの時価総額を2倍にしました。

こうした勢いを見て、マイクロソフトは「お家芸の『追い上げ』でAMZNやGOOGL急追」を果たすのではないかと述べる人もいました(日経BP「ナデラ式マイクロソフト復活戦略」2018年1月15日、根来龍之氏の見解)

「マイクロソフトは、歴史的に見て、ファーストペンギンにはならないけれど、先行企業をキャッチアップするのが得意な会社であり、モバイル化とクラウド化に関しても、遅れたというより、むしろ非常に早く対応した」

この記事は、その後のMSFTの躍進を予見できていたと思います。

サティア・ナデラは、特にAWSのシェアに追いつくために構造改革を進め、ウィンドウズ中心主義からクラウドファーストへの転換に成功しています。

その結果、MSFTの時価総額はAAPLを追い抜き、世界ナンバーワンになりました。

国防総省による100億ドル規模のクラウド契約(ジェダイプロジェクト)の受注も、AMZNではなく、MSFTが担うことになりました。

ナデラ氏は、現在、複合現実(MR)、人工知能、量子コンピューターを、次世代の世界を変える重要なテクノロジーと見ています。

そして、「モバイルファーストからクラウドファーストへの移行」への対応に注力しています。

モバイルファーストの時代には、ユーザーエクスペリエンスにおいて、顧客は一つのデバイスのみでなく、複数のデバイスを使用します。

幾つものデバイスを用いてタスクを完了させる(マルチデバイス)中でMSFTの製品・サービスが評価されると見て、アプリケーションを構築しなければいけなくなります。

その上に、AIやデータという次世代の重要資産の働きを踏まえて、ユーザーエクスペリエンスの向上を目指さなければなりません。

こうしたクラウドファースト時代に対応するために、マイクロソフトはWindowsだけでなく、様々なクラウドサービスを充実させてきたわけです。

筆者はなぜかマックPCやアイパッド等が好きになれないので、長らくMSFTユーザーを続けてきました。

MSFT製品にはやや融通が利かないところもありますが、ユーザーの一人として、今後の発展に期待したいと考えています。