NEM:ニューモントマイニングの配当推移

素材,配当,金・金鉱株

🔄 2026年7月更新情報

本記事は、2025年通期決算、2026年第1・第2四半期決算、2026年Q2に宣言された最新配当、2026年7月24日の終値をもとに更新しました。

ニューモントは2026年Q2に、売上高61.18億ドル、営業キャッシュフロー29.24億ドル、フリーキャッシュフロー22.05億ドルを記録しました。2026年上半期のフリーキャッシュフローは53.49億ドルに達しています。2026年Q2末の現金及び現金同等物は90.09億ドル、リースなどを含むネットキャッシュは34.11億ドルでした。[1]

2026年Q2分として1株当たり0.26ドルの配当が宣言されました。株主名簿上の基準日は2026年9月3日、支払日は9月28日です。2026年7月24日の終値93.18ドルを基準にした現行年率配当1.04ドルの予想配当利回りは約1.12%です。

ニューモント・コーポレーション(Newmont Corporation、ティッカー:NEM)の配当利回りと株価を、直近約3か月のチャートで確認します。

権利落ち日や配当性向(1株配当÷EPS、EPS比で配当を払い過ぎていないかを見る指標)等も確認します。NEMの場合、金価格サイクルの影響が大きいため、EPSだけでなく、フリーキャッシュフロー、自社株買い、ネットキャッシュの状況も合わせて見ることが重要です。

配当利回りと株価の推移:3ヶ月チャート

最新配当と権利落ち日

対象四半期 1株配当 宣言日 権利落ち日
(NYSE)
基準日 支払日
2026年Q2 0.26ドル 2026年7月23日 2026年9月3日 2026年9月3日 2026年9月28日
2026年Q1 0.26ドル 2026年4月23日 2026年5月27日 2026年5月27日 2026年6月22日
2025年Q4 0.26ドル 2026年2月19日 2026年3月3日 2026年3月3日 2026年3月26日
2025年Q3 0.25ドル 2025年10月23日 2025年11月26日 2025年11月26日 2025年12月22日

※ニューモントの公式発表は、2026年Q2分について基準日を9月3日、支払日を9月28日としています。米国市場ではT+1決済への移行後、通常の現金配当の権利落ち日は、基準日が営業日であれば原則として基準日と同日です。最終的な表示は利用する証券会社でも確認してください。[5]

年間利回り、配当成長率、配当性向、EPS等

年間配当、配当成長率、配当性向、株価、通年または直近12か月EPSの推移を確認します。2026年7月時点では、四半期配当0.26ドル、現行年率配当1.04ドルが基準です。

年・時点 配当 平均株価/
基準日株価
報告EPS 調整後EPS
参考利回り 成長率 配当性向 年計・年率
2026年
7月24日時点
約1.12% 年率換算約+3%
四半期単価+4%
約13%
TTM報告EPS比
1.04
現行年率
93.18
7月24日終値
7.92
TTM
9.21
TTM
2025 約1.58% 約+1% 約16% 1.01 約64.1 6.39 6.89
2024 2.34% 0% 34% 1.00 42.8 2.92 3.48
2023 3.35% -29% -49% 1.45 43.3 -2.97
2022 3.58% -7% -380% 2.05 57.3 -0.54
2021 3.63% 112% 151% 2.20 60.6 1.46
2020 1.80% -28% 30% 1.04 57.9 3.51
2019 3.96% 157% 38% 1.44 36.4 3.81
2018 1.56% 124% 88% 0.56 36.0 0.64
2017 0.71% 92% -119% 0.25 35.4 -0.21
2016 0.39% 30% -11% 0.13 33.1 -1.18
2015 0.47% -57% 23% 0.10 21.1 0.43
2014 0.98% -81% 23% 0.23 23.4 1.02
2013 3.76% -12% -24% 1.23 32.7 -5.09
2012 2.73% 40% 39% 1.40 51.3 3.61
2011 1.69% 100% 137% 1.00 59.0 0.73
2010 0.89% 25% 11% 0.50 56.2 4.55
2009 0.92% 0% 15% 0.40 43.5 2.66
2008 0.92% 0% 22% 0.40 43.4 1.83

※2025年の年間配当1.01ドルは、2025年の各四半期に対応する配当の合計です。2025年Q4分として2026年2月に宣言された0.26ドルを含みます。2026年の1.04ドルは、2026年7月時点の四半期配当0.26ドルを4倍した現行年率です。将来の配当は取締役会の承認を条件とし、年間1.04ドルが確定しているわけではありません。

※TTMの報告EPS7.92ドルと調整後EPS9.21ドルは、2025年Q3・Q4と2026年Q1・Q2の合計です。現行年率配当1.04ドルを使った配当性向は、報告EPS比で約13.1%、調整後EPS比で約11.3%です。[1][2]

配当政策の安定化と業績回復

NEMの配当は、金価格とキャッシュフローに連動して大きく変動してきました。2024年から2025年Q3までは四半期0.25ドルを維持し、2025年Q4分から0.26ドルへ引き上げました。

2026年Q2分についても四半期0.26ドルが維持されています。2026年7月時点の現行年率配当は1.04ドルで、2025年の各四半期に対応する年間配当1.01ドルから約3%の増加です。四半期単価では0.25ドルから0.26ドルへの4%増配となります。[1]

ニューモントは、年間総額約11億ドルの持続可能な現金配当を基本としています。自社株買いによって発行済株式数が減少すれば、配当総額を大きく増やさなくても1株当たり配当を引き上げられる設計です。

2026年2月以降に宣言された0.26ドル配当は、この資本配分方針の初期的な効果として説明されています。ただし、四半期配当は毎回取締役会の承認が必要であり、将来の配当額は金価格、キャッシュフロー、財務状況、投資需要などによって変わります。

配当成長率の推移

NEMの配当成長率は、金価格サイクルを反映して大きく変動してきました。

  • 2010~2012年:積極的な増配期間
  • 2013~2015年:金価格下落に伴う大幅減配期
  • 2016~2019年:業績回復に伴う配当拡大期
  • 2020年:年間配当額が減少
  • 2021年:大幅増配
  • 2022~2023年:連続減配
  • 2024年:年間1.00ドルで安定
  • 2025年:各四半期対応分の合計は1.01ドル
  • 2026年:四半期0.26ドル、現行年率1.04ドルを維持

現在の配当方針は、金価格上昇時に配当額を急激に増やし、その後の市況悪化時に大幅減配する方式ではありません。配当総額を比較的安定させ、余剰キャッシュの多くを自社株買いへ振り向ける方針です。

配当利回りと投資上の位置づけ

2026年7月24日の終値93.18ドルと現行年率配当1.04ドルを使った予想配当利回りは約1.12%です。2019~2023年の高配当期と比べると低い水準です。[4]

利回りが低い理由は、配当総額を保守的な水準に抑えていることに加え、2025年以降の金価格上昇と業績改善を背景に株価が大きく上昇したためです。

現在のNEMの見方

  • 高配当株:現在の利回りは約1.1%であり、高配当銘柄とは言いにくい水準です。
  • 金価格への感応度:金価格とAISCの差が拡大すると、利益とFCFが急増しやすい特徴があります。
  • 安定配当:年間約11億ドルの持続可能な配当総額を基本としています。
  • 自社株買い:余剰キャッシュ還元の中心であり、1株当たり価値の向上を狙っています。
  • 財務:2026年Q2末は34.11億ドルのネットキャッシュです。

NEMは現在、「高配当銘柄」というより、金価格上昇の恩恵を受ける資源株、安定配当、大規模自社株買いの組み合わせで評価する銘柄です。

配当性向の健全化

2025年の報告EPSは6.39ドル、調整後EPSは6.89ドルでした。各四半期に対応する年間配当1.01ドルに対し、報告EPSベースの配当性向は約15.8%、調整後EPSベースでは約14.7%です。[2]

2026年Q2までの直近12か月では、報告EPSは7.92ドル、調整後EPSは9.21ドルです。現行年率配当1.04ドルに対する配当性向は、報告EPS比で約13.1%、調整後EPS比で約11.3%となります。

2026年上半期だけを見ると、報告EPSは5.07ドル、調整後EPSは5.01ドルでした。2026年上半期に支払った現金配当は5.59億ドルで、同期間のFCF53.49億ドルに対するFCF配当カバー率は約9.6倍です。

配当の持続可能性は、赤字だった2022~2023年と比べて大きく改善しています。現在の論点は「配当を維持できるか」よりも、金価格上昇で生じた余剰キャッシュを、自社株買い、増配、債務管理、成長投資へどのように配分するかです。

財務パフォーマンスと成長見通し

以下の表では、売上高、営業CF、純利益を百万ドル単位、営業CFマージンを%単位で表示しています。

主要財務指標の推移

年度・期間 売上高 営業CF 同マージン FCF 純利益 調整後EPS
2026年Q2 6,118 2,924 47.8% 2,205 2,202 2.10
2026年上半期 13,425 6,709 50.0% 5,349 5,464 5.01
2026年Q1 7,313 3,785 51.8% 3,144 3,262 2.90
2025 22,669 10,334 45.6% 7,299 7,085 6.89
2024 18,682 6,363 34.1% 4,296 3,348 3.48
2023 11,812 2,763 23.4% 88 -2,494
2022 11,915 3,220 27.0% 520 -429
2021 12,222 4,279 35.0% 2,633 1,166
2020 11,497 4,882 42.5% 3,611 2,829
2019 9,740 2,866 29.4% 1,356 2,805
2018 7,253 1,827 25.2% 805 341
2017 7,379 2,124 28.8% 1,031 -114
2016 6,680 2,786 41.7% 1,974 -629
2015 6,085 2,145 35.3% 1,251 220
2014 6,819 1,438 21.1% 363 508
2013 8,414 1,543 18.3% 204 -2,534
2012 9,964 2,372 23.8% 986 1,802
2011 10,358 3,584 34.6% 2,005 366
2010 9,540 3,167 33.2% 1,946 2,277
2009 7,705 2,947 38.2% 1,728 1,297
2008 6,124 1,293 21.1% 94 831

※FCFは会社が開示するNon-GAAP指標です。2025年のFCFは72.99億ドル、2024年は42.96億ドルです。元記事に記載されていた2024年のFCF73.24億ドルは、別企業の記事数値が混入した可能性があるため修正しました。[2][6]

2026年Q2:金価格は低下したが、22億ドルのFCFを確保

2026年Q2の平均実現金価格は1オンス当たり4,414ドルで、Q1の4,900ドルから低下しました。それでも、前年同期の3,320ドルを大幅に上回っています。[1]

Q2の売上高は61.18億ドル、営業CFは29.24億ドル、FCFは22.05億ドルでした。純利益は22.02億ドル、希薄化後報告EPSは2.06ドル、調整後EPSは2.10ドルです。

Q2のFCFはQ1の31.44億ドルから減少しました。主な要因は、平均実現金価格の低下、維持投資の増加、Cadiaで発生した地震後の停止・復旧費用、銀の価格と販売量低下などです。それでも、Q2としては過去最高のFCFとなりました。

2026年上半期:FCFは53.49億ドル

2026年上半期の売上高は134.25億ドル、営業CFは67.09億ドル、FCFは53.49億ドルでした。営業CFマージンは約50.0%、FCFマージンは約39.8%です。

2026年上半期の純利益は54.64億ドル、希薄化後報告EPSは5.07ドル、調整後EPSは5.01ドルでした。上半期だけで2025年通期FCF72.99億ドルの約73%を稼いでいます。

2026年Q2と上半期の要点

  • Q2売上高:61.18億ドル。
  • Q2営業CF:29.24億ドル。
  • Q2 FCF:22.05億ドル。
  • 上半期営業CF:67.09億ドル。
  • 上半期FCF:53.49億ドル。
  • 上半期配当支払:5.59億ドル。
  • 上半期自社株買い:34.62億ドル。
  • Q2末ネットキャッシュ:34.11億ドル。

金価格とAISCの差が利益を左右する

金鉱山会社の収益を考えるうえでは、金価格だけでなくAISCとの「差」が重要です。ニューモントは2026年から、副産物収入を金の生産コストから控除する「副産物ベース」のCASとAISCを主要指標として使用しています。

期間 平均実現
金価格
帰属金
生産量
副産物
CAS
副産物
AISC
調整後EPS
2026年Q2 4,414ドル/oz 129.3万oz 1,043ドル/oz 1,621ドル/oz 2.10ドル
2026年Q1 4,900ドル/oz 130.0万oz 541ドル/oz 1,029ドル/oz 2.90ドル
2026年上半期 4,661ドル/oz 259.0万oz 788ドル/oz 1,321ドル/oz 5.01ドル
2025年通期 3,498ドル/oz 589.0万oz 855ドル/oz 1,358ドル/oz 6.89ドル

Q1の副産物AISC1,029ドルは、銀・銅の高い価格と販売量、維持投資の少なさによる副産物クレジットの恩恵を強く受けた数値です。Q2には銀・銅の販売量減少、銀価格低下、維持投資増加、Cadiaの追加費用によって1,621ドルまで上昇しました。

このため、Q1のAISCだけを通年へ単純に延長するのは適切ではありません。会社は2026年通期の副産物AISCを1,680ドル/ozと見込んでいます。

自社株買いと総株主還元

ニューモントの現在の株主還元では、配当よりも自社株買いの金額が大きくなっています。

2026年Q1までに従来の60億ドル買い戻し枠を使い切った後、取締役会は新たに60億ドルの自社株買い枠を承認しました。2026年4月23日の前回決算発表以降、2026年7月の買い戻しを含めて17億ドルを実施し、現行枠の残額は43億ドルです。[1][3]

2026年上半期のキャッシュフロー計算書上の自社株買いは34.62億ドルでした。配当支払5.59億ドルと合わせると、上半期の現金株主還元は40億ドルを超えています。

2024年2月以降、ニューモントは発行済株式数を1億株超、約9%減らしました。発行株式数の減少は、1株当たりEPS、FCF、配当を押し上げる効果があります。

自社株買いを見る際の注意点

  • 価格水準:株価が割高な時期の買い戻しは、株主価値を高めない可能性があります。
  • 金価格依存:余剰キャッシュが金価格に左右されるため、買い戻し額も市況によって変動します。
  • 裁量的な制度:自社株買い枠は実行義務ではなく、会社は中断・終了できます。
  • 配当との違い:買い戻しは継続的な現金収入を求める投資家にとって、配当と同じではありません。

バランスシート分析と財務健全性

資本構成と負債水準の推移

年度・期間末 総資産
(Bドル)
総負債
(Bドル)
総資本
(Bドル)
自己資本率 Debt
(Bドル)
Net debt
(cash)
2026年Q2 57.64 22.23 35.41 61.4% 5.08 -3.41
2026年Q1 57.67 22.57 35.10 60.9% 5.08 -3.24
2025 57.12 23.08 34.04 59.6% 5.12 -2.06
2024 55.3 24.1 31.2 56.5% 8.5 5.3
2023 42.0 17.8 24.0 57.1%
2022 38.6 17.3 21.1 54.7%
2021 40.0 17.8 22.0 55.0%
2020 41.6 19.6 21.7 52.2%
2019 40.1 18.8 21.0 52.4%

※2026年Q2のネットキャッシュは、現金及び現金同等物からDebt、リースその他の資金調達債務を差し引いた会社定義です。リース等を除くネットキャッシュは39.26億ドルです。[1]

バランスシート構造の特徴と注意点

  • ネットキャッシュ:2026年Q2末は34.11億ドルのネットキャッシュでした。2025年末の20.58億ドル、2026年Q1末の32.43億ドルから改善しています。
  • 現金残高:2026年Q2末の現金及び現金同等物は90.09億ドル、総流動性は約130億ドルです。
  • Debt:2026年Q2末のDebtは50.83億ドルでした。
  • 財務目標:会社は10億ドルを中心にプラス・マイナス20億ドルの範囲でネットキャッシュを維持し、景気循環を通じて最低50億ドルの現金を保有する方針です。
  • 現在の余剰:2026年Q2末のネットキャッシュは目標範囲の上限付近を上回っており、自社株買いと投資を行う余力があります。
  • 市況リスク:金価格が大幅に下落すれば、現在のFCFとネットキャッシュは急速に縮小する可能性があります。

2026年ガイダンスと投資計画

ニューモントは2026年Q2決算発表時点で、2026年通期ガイダンスを維持しました。[1]

2026年ガイダンス項目 会社予想
帰属金生産量 526万オンス
副産物CAS 1,055ドル/oz
副産物AISC 1,680ドル/oz
銅生産量 10.2万トン
銀生産量 3,200万オンス
鉛生産量 9万トン
亜鉛生産量 22万トン
維持投資 19.5億ドル
開発投資 14億ドル
探鉱・先行プロジェクト 5.25億ドル
一般管理費 3.75億ドル

2026年上半期の帰属金生産量は259万オンスで、通期ガイダンス526万オンスの約49%です。会社は通期生産量の49%を上半期、51%を下半期に見込んでいます。

一方、維持投資は通期の42%、開発投資は37%しか上半期に実施していません。下半期には、維持投資の58%、開発投資の63%が予定されています。そのため、下半期のFCFが上半期と同じペースで続くとは限りません。

2026年Q2の生産とコスト

  • 帰属金生産量:129.3万オンス。
  • 銀生産量:700万オンス。
  • 銅生産量:1.7万トン。
  • 副産物CAS:1,043ドル/oz。
  • 副産物AISC:1,621ドル/oz。
  • 維持投資:Q2を含む上半期累計で8.19億ドル。
  • 開発投資:上半期累計で5.24億ドル。

Q2には、オーストラリアのCadiaで地震の影響による操業停止が発生しました。操業は2026年6月中旬までに通常水準へ戻りましたが、Q2の生産量、銅生産、AISCに影響しました。

下半期の増産は、Boddington、Tanami、Lihir、Cerro Negro、Brucejackなどが中心になる見通しです。一方、Yanacocha、Ahafo South、Merianでは下半期の生産量が相対的に減少する見込みです。

主な開発プロジェクト

  • Cadia Panel Caves:既存の大規模金・銅鉱山の長期生産を支える地下開発です。
  • Tanami Expansion 2:オーストラリアの地下鉱山における生産能力と効率の改善を目指します。
  • Red Chris Block Cave:2026年Q2にはカナダ・ブリティッシュコロンビア州の主要な規制承認を取得しました。最終投資判断前の段階です。
  • Pueblo Viejo:2026年Q2のニューモント帰属金生産量は7.4万オンスでした。
  • Fruta del Norte:ニューモントはLundin Goldを通じて32%の持分を保有し、Q2に9,300万ドルの分配金を受け取りました。

ニューモントは、非中核資産の売却をおおむね完了し、現在は長寿命・低コストのTier 1資産と成長プロジェクトへ資本を集中しています。[7]

まとめ:2026年以降のNEMへの投資戦略

NEMは2024~2026年にかけて、「変動の大きい配当銘柄」から、「安定的な現金配当、大規模自社株買い、金価格上昇の取り込み」を重視する資本配分へ移行しています。

2025年通期のFCFは72.99億ドル、2026年Q1は31.44億ドル、Q2は22.05億ドルでした。2026年上半期のFCFは53.49億ドルに達しています。

2026年Q2末には、現金90.09億ドル、ネットキャッシュ34.11億ドルとなりました。年間約11億ドルの配当に対して、キャッシュ創出力と財務余力は十分な水準です。

一方、2026年Q2の副産物AISCは1,621ドル/ozまで上昇しました。Q1の1,029ドル/ozは副産物価格と維持投資のタイミングによる恩恵が大きく、通期では会社予想の1,680ドル/ozを基準に考える必要があります。

現在の強みは次の通りです。

  • 2026年上半期FCF53.49億ドルという高いキャッシュ創出力
  • 四半期0.26ドル、現行年率1.04ドルの安定配当
  • 残額43億ドルの自社株買い枠
  • 2024年2月以降、発行済株式数を約9%削減
  • 2026年Q2末で34.11億ドルのネットキャッシュ
  • Tier 1鉱山へ集中した事業ポートフォリオ
  • 金に加え、銅、銀、鉛、亜鉛へのエクスポージャー

2026年以降の投資上の位置づけ:NEMへの投資は、「高配当」よりも、「金価格上昇局面での利益レバレッジ」「低めだが安定した配当」「余剰キャッシュによる自社株買い」「強いバランスシート」の組み合わせで考える局面です。

配当利回りだけを見ると約1.1%と控えめです。投資判断では、金価格、実現価格、AISC、生産量、FCF、自社株買い単価、ネットキャッシュを継続的に確認する必要があります。

よくある質問

2026年以降のNEMの配当はどの程度安全ですか?

2026年Q2時点では、配当安全性は高いと考えられます。2025年通期のFCF72.99億ドルに対し、配当支払額は11.06億ドルでした。2026年上半期はFCF53.49億ドルに対し、配当支払額は5.59億ドルです。

現行年率配当1.04ドルに対する直近12か月の配当性向は、報告EPS比で約13%、調整後EPS比で約11%です。ただし、金価格が大きく下落し、AISCが上昇すれば、FCFも縮小します。将来の配当は取締役会の承認を条件とします。

次回配当の権利を得るには、いつまでに買えばよいですか?

2026年Q2分の基準日は2026年9月3日です。T+1決済下の通常の現金配当では、NYSEの権利落ち日も原則として9月3日になるため、配当を受け取るには原則として9月2日までに購入する必要があります。休日や証券会社の処理による違いもあるため、実際の取引前に証券会社の配当情報を確認してください。

株価が上昇した後でも、NEMへ投資する意味はありますか?

2026年7月24日の終値は93.18ドルで、現行年率配当利回りは約1.12%です。配当収入だけを目的とする場合、利回りは高くありません。

一方、金価格とAISCの差が拡大すれば、鉱山会社特有の営業レバレッジによって利益とFCFが増えます。その余剰資金を自社株買いへ振り向けることで、1株当たり価値が高まる可能性があります。反対に、金価格下落時には利益と株価が大きく下がる可能性もあります。

自社株買いは配当にどのような影響を与えますか?

会社は年間約11億ドルの配当総額を基本とし、自社株買いで発行済株式数を減らすことで、1株当たり配当を徐々に引き上げる方針です。

2024年2月以降、発行済株式数は1億株超、約9%減少しました。配当総額が同じでも株式数が減れば、1株当たり配当は増えます。ただし、自社株買いは実施価格が高すぎる場合、株主価値を損なう可能性があります。

Q1よりQ2のAISCが大幅に上昇したのは問題ですか?

Q1の副産物AISC1,029ドル/ozは、銀・銅の価格と販売量、維持投資の少なさなどによる副産物クレジットの恩恵を強く受けていました。

Q2は、銀・銅販売量の減少、銀価格低下、維持投資増加、Cadiaの地震関連費用によって1,621ドル/ozへ上昇しました。2026年上半期では1,321ドル/ozであり、会社の通期ガイダンス1,680ドル/ozを下回っています。ただし、下半期は投資額が増えるため、コスト上昇を見込む必要があります。

※免責事項

本記事は投資判断の参考として公開情報を整理したものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。投資にあたっては、ご自身の判断と責任のもとで行ってください。

最終更新日時:2026年7月26日(2025年通期決算/2026年Q1・Q2決算/最新配当・株価反映)

ミニ解説:2026年のNEMを見るポイントは、配当利回りだけではなく、「金価格」「AISC」「FCF」「ネットキャッシュ」「自社株買い」です。配当は低めに抑えられていますが、2026年上半期だけで53.49億ドルのFCFを生み、34.62億ドルの自社株買いを実施しました。

【注】(出典リンク)

  1. 2026年Q2決算・配当・FCF・自社株買い・通期ガイダンス → Newmont IR「Second Quarter 2026 Results」Newmont Reports & FilingsSEC EDGAR「Newmont filings」(確認日:2026-07-26)
  2. 2025年通期決算・EPS・FCF・資本配分方針 → Newmont IR「Fourth Quarter and Full Year 2025 Results」Newmont 2025 Form 10-K(確認日:2026-07-26)
  3. 2026年Q1決算・配当・追加60億ドル自社株買い枠 → Newmont IR「First Quarter 2026 Results」Newmont Q1 2026 Form 10-Q(確認日:2026-07-26)
  4. 株価・予想配当利回り → Newmont Stock InformationChartExchange「NEM Historical Prices」(確認日:2026-07-26)
  5. T+1決済後の権利落ち日ルール → FINRA Rule 11140Investor.gov「Ex-Dividend Dates」NYSE「Ex-Date Dividends」(確認日:2026-07-26)
  6. 2024年通期決算・過年度財務・FCF → Newmont IR「Full Year 2024 Results」Newmont 2024 Form 10-KNewmont Reports & Filings(確認日:2026-07-26)
  7. 鉱山ポートフォリオ・開発プロジェクト → Newmont Operations & ProjectsNewmont About Us(確認日:2026-07-26)

Posted by 南 一矢