WFC/Cを比較:ウェルズファーゴとシティグループの違いとは
WFCとCを違いを踏まえて比較します。(2025年6月更新)
ウェルズファーゴ(Wells Fargo & Co)とシティグループ(Citigroup Inc)は銀行株の代表格です。
その株価の推移(チャート)、決算の予想と結果、配当金と利回り、業績(財務情報)はどうなっているのでしょうか。
これらの銘柄について、今後の見通しや将来性を探ってみます。
株価:過去~現在
※チャート左目盛り:株価推移(VFH:Vanguard Financials Index Fund ETFを含めて比較)
※チャート右目盛り:10年国債利回り
※株価の成長率や52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、PBR、PSR、時価総額などの内容を更新。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。今後の見通しの参考情報として目標株価も掲載。
株価推移や成長率比較については以下の関連記事を参照
決算(予想:結果)
決算の予想:結果のグラフについては以下の関連記事を参照
★ウェルズファーゴ(WFC)決算:予想と結果 売上&EPS
【訳あり大手銀行対決】ウェルズ・ファーゴ(WFC) vs シティ(C)!復活をかけたターンアラウンド株はどっち?
米国の4大メガバンクに数えられながらも、長年、同業他社に比べて株価が割安な「バリュー株」として知られるウェルズ・ファーゴ(WFC)とシティグループ(C)。両社が高い配当利回りを提供している背景には、それぞれが抱える根深い問題と、そこからの「経営再建(ターンアラウンド)」への期待と不安が織り混ざっています。
本記事では、この二大「訳あり」銀行の課題、業績、そして投資妙味を徹底的に比較・分析します。
最重要ポイント:両社が抱える「訳」とは?
この2社を評価する上で、それぞれの「問題点」を理解することが不可欠です。
- ウェルズ・ファーゴ (WFC) → 不正営業問題と「資産上限キャップ」
2016年に発覚した、顧客に無断で数百万の口座を開設していた大規模な不正営業問題の傷跡が今なお残っています。ペナルティとして、米連邦準備理事会(FRB)から総資産の拡大を禁じる「資産上限キャップ」という異例の制裁を課されており、これが成長の足かせとなっています。 - シティグループ (C) → 複雑すぎる経営と非効率性
世界中に事業を展開するあまり、組織が複雑化しすぎてガバナンスが効かず、金融危機以降、常に他のメガバンクに収益性で見劣りしてきました。現在、ジェーン・フレイザーCEOのもと、不採算部門の売却や大規模な人員削減を含む抜本的な「経営改革」の真っ最中です。
比較サマリー:国内のWFC、グローバルのC
項目 | ウェルズ・ファーゴ (WFC) | シティグループ (C) |
---|---|---|
主力事業 | 米国内の個人・法人向け商業銀行業務 | グローバルな法人向け金融、投資銀行、カード事業 |
経営課題 | FRBによる資産上限キャップの解除 | 大規模な組織改革・リストラの完遂 |
配当利回り(直近) | 約2.4% | 約3.4% |
P/TBV(株価純資産倍率) | 約1.3倍 | 約0.6倍 |
※P/TBVは株価を有形純資産で割ったもの。1倍割れは、市場がその企業の資産価値よりも株価を低く評価している状態を示す。
業績と成長性の詳細分析
両社の業績は、金利動向に大きく影響されます。近年の金利上昇は、両社の金利収入を押し上げました。ウェルズ・ファーゴは資産を増やせない中でも、コスト削減などで利益を確保。シティはリストラ費用などが利益を圧迫しています。
年 | WFC 売上高 (前年比) | C 売上高 (前年比) |
---|---|---|
2024 | $82.6 B (+9.1%) | $78.5 B (+4.0%) |
2023 | $75.7 B (-10.7%) | $75.5 B (-4.6%) |
2022 | $84.8 B (+12.6%) | $79.1 B (+4.7%) |
2021 | $75.3 B (+5.1%) | $75.5 B (+3.0%) |
2020 | $71.6 B | $73.3 B |
※B=10億ドル。会計年度や基準により数値は多少変動します。
配当の詳細比較
両社とも金融危機やコロナ禍、そして自社の問題から減配を経験しています。安定配当を求める投資家にとっては、そのリスクを常に念頭に置く必要があります。
年 | WFC 年間配当 (増配率) | C 年間配当 (増配率) |
---|---|---|
2024 | $1.40 (+16.7%) | $2.12 (+0.0%) |
2023 | $1.20 (+20.0%) | $2.12 (+4.9%) |
2022 | $1.00 (+25.0%) | $2.04 (+0.0%) |
2021 | $0.80 (-59.2%) | $2.04 (+0.0%) |
2020 | $1.96 (+2.6%) | $2.04 (+13.3%) |
結論:あなたに合うのはどちら?
両社への投資は、どちらの「経営再建ストーリー」がより早く、より確実に達成されるかに賭けることになります。
「課題が明確」で、国内景気の回復に賭けるなら → ウェルズ・ファーゴ (WFC)
WFCが乗り越えるべきハードルは「FRBの資産上限キャップ解除」という一点に集約され、非常に分かりやすいです。米国内に盤石な顧客基盤を持つため、この足かせが外れた時、収益が一気に拡大するポテンシャルを秘めています。よりシンプルな再建シナリオを好む投資家向けです。
「大改革」による劇的な変化と、超割安な株価に賭けるなら → シティグループ (C)
P/TBVが0.6倍という極端な割安さは、市場の不信感の表れですが、裏を返せば、ジェーン・フレイザーCEOの経営改革が成功した際の「伸びしろ」が非常に大きいことを意味します。より複雑で長期的な変革ストーリーに、大きなリターンを期待する投資家向けの選択肢と言えるでしょう。
※本ページの分析は2025年6月9日時点の公開情報に基づいています。投資に関する最終決定は、必ずご自身の判断と責任において行ってください。