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2017年 中国の政治日程/経済スケジュール 米中首脳会談までの経緯とその後の予定は?

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4月6日に訪米した習近平国家主席は、7日までトランプ米大統領はアメリカ南部フロリダ州にあるトランプ氏の別荘「マララーゴ」で会談します。議題は北朝鮮の核・ミサイル開発、貿易問題などですが、これを契機に米国が対中強硬路線と軟化路線のどちらに向かうのかが注目されています。

今回はトランプ当選以降の米中間のやりとりと、今後の政治日程を確認してみます。

(※本記事は公開以降、随時、加筆修正)

強硬路線から軟化? 米中首脳会談までのトランプ政権

トランプ氏は2016年の大統領選では中国批判を繰り返していました。

  • アメリカから雇用を奪い、知的財産権を奪っている
  • 大統領就任初日に中国を為替操作国に指定する
  • 中国からの輸入品に45%の関税をかける

当選後には、12月2日に台湾の蔡英文総統を「プレジデント」と呼び、電話会談を行いました。

「台湾総統が私に当選勝利のお祝い電話をかけてくれた。ありがとう!」「米国は台湾に10億ドルもの軍の装備を売っているのに、私が当選祝いの電話を受けてはいけないとしたら、それは、とても興味深いことだ」(12/3ツィート)

この背景には、台湾のために元共和党上院議員のボブ・ドール氏が行ったロビー活動があったとも言われています。

トランプ氏は12月11日に「なぜ、我々が『一つの中国』原則に縛られなければならないのか」と発言(FOXテレビ)。中国を揺さぶるための手段として対中・対台湾外交転換の可能性を示唆しました。

その後、軟化したことから考えると、これは経済交渉で中国から都合のよい条件を引き出すための布石だったのかもしれません。

中国側は南シナ海での爆撃機飛行、米軍の無人水中探査機奪取などで対抗。

17年2月の日米首脳会談の直前には、トランプ氏はティラーソン国務長官の意見を容れ、「一つの中国」を認める既存の外交路線に戻ることを表明。3月には国務長官が訪中しました(※習氏の同窓生を中国大使に指名するなど、中国側への配慮を見せた)。

4月以降、為替操作国指定の先送りがなされ、外交路線が軟化しています。首脳会談を「マララーゴ」で行ったこと自体が一つの歓迎姿勢でしたが、トランプ氏には前言撤回が多いので、この路線が今後も続くかどうかはわかりません。

他の動きを見ると、本年1月中旬には台湾の蔡英文総統が中央アフリカ諸国を訪問し、前後に米都市に立ち寄り、共和党議員と接触しました。米国と中国、台湾の間では微妙な駆け引きがあり、カーリー・フィオリーナ氏(ヒューレットパッカード元CEO)がトランプ氏と12月12日に面談した時、トランプ氏は中国を「最も重要な敵で、台頭する敵」だと述べていたようです(読売朝刊7面:2016/12/18)。

貿易面では、米中間はずっと微妙な関係です。

1月の米国不在のダボス会議では習主席氏が保護主義を批判していました。

「各国に発展する権利はあるが、他国の利益を損なうことは許されない」「貿易紛争では両者が傷を負う」等と発言し、米国が中国製品に高関税をかけないように牽制したわけです。

米通商法によれば、アメリカの大統領には議会の承認なしで外国製品に関税をかけたり、制裁措置を講じたりできる権利があります

近年、経済成長が下降気味の中国にとって高関税の賦課は大きなダメージになりますが、その場合、中国側はボーイング社やアップル社等の製品に対抗関税をかけるので、両国の貿易の総額が減ります。

中国製品への高関税賦課をほのめかしながらも、トランプ政権が実行に踏み切っていないのは、それを行えばアメリカにも実害が出るからです。

そのため、トランプ政権といえども「話し合い」で貿易の条件が改善されるなら、それにこしたことはありません。こうした背景から、結局、米中首脳会談を開催し、貿易交渉を行うことになりました。

(トランプ氏は選挙期間中に日本やEU諸国よりも中国を激しく批判したので、日本やEUに対して行ったような大きな政策転換は難しく、対中政策を180度変更した場合は、支持者が離れるリスクを抱えています)。

全人代の重要トピックー経済成長目標と軍事費ー

そのほか、3月5日には中国全国人民代表大会(全人代)が北京の人民大会堂で開幕しました。

全人代は中国の議会で、憲法上は最高権力を持つ国家機関とされていますが、実権は習近平国家主席が率いる政治局常務委員(定員7名)が握っています。

全人代では李国強首相が政府活動報告を読み、予算案や法律案、憲法改正などを承認しました。

大会中には首相の記者会見(5日)をはじめ、計17回の記者会見がセッティングされていました(国家発展改革委員会主任〔6日〕、財政相〔7日〕、外相〔8日〕、環境保護相〔9日〕、商務相〔11日〕等)。

中国の経済成長目標

全人代では、まず、経済成長目標が6.5%と定められました(16年度は6.7%)。

習政権は2020年までに国内総生産(GDP)と所得を10年比で倍増させる計画を立てているので、この数字は最低、6.5%以上に保たなければなりません。これは「政治的な数字」だとも言えます。

中国経済の実態は諸外国から見ると分かりにくいのですが、相手国がある輸出入の貿易統計は改ざんは困難です。そのため、この二つの増減を見れば、中国経済の実勢を推測できます。

そのため、参考までに17年1月13日に中国税関総署が発表した貿易統計のデータを見てみましょう。

  • 輸出入合計⇒前年比6.8%減:3兆6849ドル(約424兆円)
  • 輸出⇒前年比7.7%減:2兆974億ドル(約241兆円)
  • 輸入⇒前年比5.5%減:1兆5875億ドル(約183兆円)

中国は本年1月に2016年の実質GDP成長率を6.7%と発表(前年比-0.2%)しましたが、輸出入はともに減少しています。これは怪しい統計です。

日本軍の大本営発表によく似た結果になっているので、歴史認識問題を持ち出す前に、きちんと過去の教訓に学んでほしいものです。

※2017年第2四半期のGDPは前年同期比6.9%増。伸び率は第1四半期と同じ。6月の鉱工業生産は前年比7.6%増(3カ月ぶりの大幅な増加)。1─6月の固定資産投資は前年比8.6%増。6月の小売売上高は前年比11%増。6月の鉄鋼生産は5.7%増(ロイター記事7/17「中国GDP、第2四半期は予想上回る6.9%増」)。ずいぶんといい数字ですが、これは中国共産党中央政治局会議等に合わせた数字なのかもしれません。

中国の軍事費

そして、もう一つの注目点は中国の軍事費です。

これに関しては、人民日報の日本語版(3/4)で傅瑩報道官が17年の国防費の増加幅は7%前後になると述べたことが報じられています(全人代記者会見「17年の国防費増加幅は約7%」)

同紙によればGDP比率で1.3%前後の数字らしいので、政治的に計算すると経済成長率は6%台でなければなりません。GDP成長率が下がれば、GDP比の軍事費の比率が急上昇し、中国は「平和国家」ではなくなるからです。この意味でも、GDP成長率は6.5%ぐらいないと困るのでしょう。

軍事費に関して、人民網日本語版は「国防部、中国に隠れた国防費は存在せず」(2016/4/1)と題した記事を公開していました。

しかし、この種の発表は日米の中国軍事の研究者には、文字通りに受け止められてはいません。例えば、拓殖大学名誉教授の茅原郁生氏は以下のように指摘しています。

 全人代により国家予算として公表される国防費の外に他の財政支出項目に計上されたもの、例えば兵器の開発経費、装備の購入費などは教育科学費なり経済建設費などの項に含められていることも看過できない。

加えて軍自らが稼ぎ出す農業、畜産、水産事業などの経済活動の成果も再投資されている。

これらの総額は、米国防総省や台湾筋の見方では公表される国防費の2−3倍に当たるとしている。

実際、ストックフォルム平和研究所の年報は、中国の国防費を約8兆円と見て米国に次ぐ世界第2位の国防費として発表しているように、中国の国防投資には警戒感が抱かれている。

(「最近の中国軍事情勢―国防費と軍の活動領域拡大と注目点―」2009/3/11(日本記者クラブ)

残念なことに、諸外国が注目する、中国の経済成長率も軍事費も、政治的に操作された数字にすぎないのです。

「なんだそれは。ひどいじゃないか」

そう言いたくなりますが、やはり、中国は社会主義国です。

もともと全人代(定員3000人)は、国民の普通投票で選ばれた議員でつくられた議会ではありません。米議会のように国民が選んだ議員が予算や法律案がつくっていないので、ある種の儀式に近い行事が行われているわけです。

このあたりを見ると、改革・開放が進んだといっても、やはり、限界があります。

実権は習近平国家主席が率いる政治局常務委員会にあることを見落としてはいけないでしょう。

※習近平関連記事中国共産党大会で習近平は「党主席」に 権力集中で三選狙い 

米中首脳会談から100日間交渉まで

こうした経緯を踏まえ、米中首脳会談以降の両国の動きを整理してみます。

注目を集めた4月の習氏訪米では、首脳会談中にトランプ大統領がシリアへの巡航ミサイル攻撃を決断。その事実が記者会見で明かされました。

この席で「外交安保」「経済全般」「法執行とサイバーセキュリティ」「社会・文化交流」の分野での対話の枠組みが決まり、従来の「米中戦略・経済対話」の枠組みが刷新されました。

米国側は対中貿易赤字削減の「100日計画」が開始されると発表し、中国は為替操作国指定を回避しました。両国間の貿易戦争の勃発は遠のき、「話し合い」が行われたわけです。

北朝鮮問題を巡っては、その後、トランプ大統領と習主席が電話会談し、中国側が北朝鮮に自制を求めています(結局、中国の政治的イベントの前にミサイル発射が起き、習氏は顔に泥を塗られました)。

その後、中国は北朝鮮からの石炭輸入を禁止したものの、それ以上の措置には踏み込みませんでした。

韓国の文大統領が訪米後の6月末に北朝鮮は長距離弾道ミサイル発射実験を行い、7月8日には米中首脳会談が行われています。

ここでは、トランプ氏は中国の北朝鮮に対する措置(石炭の輸入停止等)への感謝の意を示した上で北朝鮮への圧力強化を主張し、習氏は対話による解決を改めて主張しました。習氏が「敏感な問題にもかかわらず米中関係は前回の会談から進展した」と述べたことが報じられています(日経電子版「トランプ氏、対北朝鮮「緊張長期化も」 米中首脳会談で 」2017/7/9)。

一応、中国側はBSE(牛海綿状脳症)問題で止まった米国産牛肉の輸入再開や格付け業務や債券引受業務等の解禁を明らかにし、米国側が中国のLNG(液化天然ガス)調達を支援することが決まりました(一応、米国側が中国の「一帯一路」に協力する意向を表明)。

しかし、その後の協議は進展せず、ホワイトハウスは以下の措置に踏み込みました。

  • 北朝鮮の金融取引を助ける中国の銀行と2人の個人に経済制裁
  • 人身売買に関して中国を最も悪質な違反国のカテゴリーに分類
  • 台湾に14億ドル規模の武器を売却
  • 香港の自由拡大を認めるよう求めた
  • 南シナ海の南沙諸島付近で「航行の自由」作戦を実行

結局、貿易交渉も北朝鮮問題についても大きな成果はありませんでした。

(7月~9月に北朝鮮はミサイルを撃ち続け、9月には核実験まで行っています)

そして、7月には北戴河会議が開催されました。

北戴河会議は、中国共産党の現役幹部と長老が避暑地の北戴河で顔を合わせ、指導部の人事や重要な議案の中身を決める非公式会議です。これを踏まえ、5年に一度、開かれる秋の中国共産党第19回全国代表大会で習近平主席の後継者が決められます。

この頃から政治闘争が激しくなってきます。

7月14日には、ポスト習近平の有力候補の1人だった孫政才(重慶市党委員会書記)が失脚。53歳の孫氏は胡錦涛前国家主席がいる共青団(中国共産主義青年団)の有力者でしたが、党規律の違反を理由に地位を追われました。

※孫政才関連記事【習近平VS共青団】北戴河会議前の権力闘争で孫政才が失脚

今後、ポスト習の座を巡る権力闘争がどうなるかが注目されているのです。

★中国の政治日程/経済スケジュール

  • 1月16日:アジアインフラ投資銀行(AIIB)発足一周年
  • 1月17~20日:世界経済フォーラム(習近平氏が保護貿易を批判)
  • 1月20日:16年の実質GDP成長率を発表(6.7%:前年比-0.2%)
  • 1月27日~2月2日:春節(旧正月)
  • 3月5~15日:全国人民代表大会
  • 3月15日:TPP閣僚会合(米中代表者も出席)
  • 3月17~18日:G20財務相・中銀総裁会議(ドイツ:バーデンバーデン)
  • 3月18日:ティラーソン国務長官が訪中
  • 3月24日:中豪首脳会談(季克強首相がキャンベラでターンブル首相と会談)
  • 3月26日:香港行政長官選に選挙委員会が投票(⇒林鄭月娥氏が7月1日就任)
  • 4月5日:習近平氏がフィンランド訪問
  • 4月6~7日:習近平氏訪米(米中首脳会談)
  • 4月7~10日:ノルウェー首相が訪中
  • 4月6~11日:ミャンマーのティンチョー大統領が訪中
  • 4月9~12日:日本国際貿易促進協会(河野洋平氏が代表)の代表団が訪中
  • 4月11~13日:張高麗副首相のロシア訪問
  • 4月20~21日:G20財務大臣・中央銀行総裁会議
  • 4月25~26日:武大偉中国外交部朝鮮半島事務特別代表が訪日
  • 4月28日:日中外相会談
  • 5月4日:デンマーク首相が訪中。習主席と首脳会談
  • 5月12日:ポーランド首相が北京で李国強首相と会談
  • 5月14日:インドネシアのジョコ大統領と習主席が会談。
  • 5月11~15日:ベトナムのチャン・ダイ・クアン国家主席が訪中。
  • 5月14~15日:プーチン大統領が訪中(「一帯一路」首脳会議:北京)
  • 5月15日:フィリピンのドゥテルテ大統領が訪中。習主席と会談。
  • 5月16日:習首席と自民党の二階俊博幹事長が会談
  • 5月17日:カンボジアのフン・セン首相と習近平国家主席が会談
  • 5月18日:李海瓚(文大統領特使)と習主席が会談(THAAD配備を巡って会談)
  • 5月19日:韓国の文在寅大統領の特使と習主席が会談
  • 5月20日:李国強首相がフィリピン下院議長と北京で会談
  • 5月31日:楊潔篪中国国務委員が安倍首相を表敬訪問
  • 6月1日:メルケル独首相と中国の李克強首相がベルリンで会談。
  • 6月2日:ブリュッセルで李克強首相が中国・欧州連合首脳会談に出席
  • 6月4日:天安門事件28周年
  • 6月8日:カザフスタンで中露首脳会談
  • 6月9~10日:上海協力機構首脳会議(カザフスタン)
  • 6月16~18日:アジアインフラ投資銀行(AIIB)年次総会(韓国・済州)
  • 6月21日:米中外交安全保障対話
  • 7月1日:香港返還20周年。習主席香港訪問。
  • 7月4日:中露首脳会談。習主席訪露。
  • 7月6日:中韓首脳会談。
  • 7月7日:盧溝橋事件80周年
  • 7月 7~8日:G20サミット(ドイツ:ハンブルグ)
  • 7月8日:米中首脳会談、日米首脳会談
  • 7月13日:ノーベル平和賞を受賞した劉暁波氏が死去
  • 7月14日:共産党青年団のホープだった孫政才氏が失脚
  • 7月14日:全国金融工作会議
  • 7月16日:米中首脳会談で開始した貿易交渉「100日計画」の最終日
  • 7月17日:中国が第2四半期のマクロ経済統計(GDP、CPI等)を発表
  • 7月19日:米中包括経済対話
  • 7月24日:中国共産党中央政治局会議(7月開催時に後半の経済方針を決定)
  • 7月24日:北京にて「アジア金融協力協会(AFCA)」の設立式を開催
  • 7月25~27日:バルト海で中露海軍が海上合同軍事演習を実施
  • 7月28日:習主席がBRICS安全保障事務レベル会議代表と会見
  • 7月下旬~8月上旬:北戴河会議(党幹部と長老の密室会議)
  • 8月1日:人民解放軍建軍90周年 軍事パレード開催
  • 8月6~8日:王毅外相がフィリピンの首都マニラを訪問
  • 8月8日:ASEAN設立50周年
  • 8月24日:中韓国交樹立25周年
  • 9月3~5日:第9回BRICS首脳会議/プーチン大統領訪中
  • 9月3日:抗日戦争勝利記念日
  • 9月8日:中国8月貿易統計発表
  • 9月9日:中国8月CPI発表
  • 9月11日:一帯一路サミット
  • 9月11~13日:世界経済フォーラム(ダボス会議)
  • 9月17日:マカオ立法会選挙
  • 9月18日:日本海とオホーツク海で中露海軍が海上合同軍事演習
  • 9月29日:日中国交樹立45周年
  • 10月1~8日:国慶節(休日)
  • 10月13日:第3四半期貿易統計発表
  • 10月11日:七中全会(中国共産党・第18期中央委員会第7回全体会議)
  • 10月12~13日:G20財務大臣・中央銀行総裁会議
  • 10月16日:9月CPI発表
  • 10月18日:中国共産党第19回党代表大会開始(第二期習政権成立)
  • 10月19日:第3四半期マクロ経済統計
  • 10月20~21日:第24回APEC財務大臣会合(ベトナム・ホイアン)
  • 10月24日:中国共産党第19回党代表大会閉幕日
  • 10月25日:中央委員会第1回全体会議(1中全会)で新指導部選出
  • 10月26日【香港】9月貿易統計
  • 11月3~14日:トランプ大統領がアジア歴訪(訪日、訪韓、訪中)
  • 11月8日:米中首脳会談
  • 11月7~11日:中国国際工業博覧会(上海)
  • 11月8日:10月貿易統計
  • 11月9日:10月CPI発表
  • 11月10日:APEC首脳会合(※トランプは10日に参加)
  • 11月10日【香港】第3四半期マクロ経済統計
  • 11月7~11日:中国国際工業博覧会(上海)
  • 11月14日:10月固定資産投資、社会消費品小売総額
  • 11月17~26日:広州モーターショー
  • 11月27日【香港】10月貿易統計
  • 12月8日:11月貿易統計
  • 12月9日:11月CPI発表
  • 12月13日:「南京事件」80周年 慰霊式典を開催
  • 12月14日:11月固定資産投資、社会消費品小売総額
  • 12月中旬?:中央経済工作会議
  • 12月28日【香港】11月貿易統計
  • 1月25日【香港】12月貿易統計
  • 1月上旬:2018年主要統計日程公表/2017年通年貿易統計
  • 1月中旬:2017年通年経済指標(GDP/CPI等)

★中国共産党大会:習近平報告の要旨

党大会で習近平総書記は「中国共産党員の初心と使命は人々の幸福と中華民族の復興」をうたい、以下の報告を行いました(要旨)。

  • 過去5年間に改革開放と社会主義近代化は歴史的な成果をあげた
  • だが、環境保護や貧困対策は不十分で少子高齢化等の問題を抱えている
  • 新時代における中国の特色を持つ社会主義思想は「社会主義近代化」と「中華民族の偉大な復興」からなる。
  • 2020年までに「小康社会」(ある程度、ゆとりのある社会)をつくる
  • 2035年までに社会主義現代化(技術力強化)を図る
  • 今世紀半ばまでに社会主義現代化強国となる(米国に並ぶ大国になる)
  • それは「富強・民主・文明・調和」の備わった国家だ
  • 共産党の指導を堅守しながらも改革・開放を維持する
  • 社会主義的法治国家の建設と世界一流の軍の建設を目指す
  • 特色ある大国外交(一帯一路の推進)、南シナ海の基地建設推進
  • 台湾統一は必然。国家分裂活動(台湾独立等)には反対。

習近平総書記は、マルクス・レーニン主義、毛沢東思想、鄧小平理論、江沢民の「3つの代表」論、胡錦涛の「科学的発展観」を踏まえ、これらを発展させた習近平の政治理念を、中国人は「中華民族の偉大な復興」を実現すべく「行動指針」にしなければいけないと訴えました。

この党大会で、習氏の指導理念・政治思想が党規約に盛り込まれる規約改正が行われる見通しです。「新時代の中国の特色ある社会主義思想」が行動指針となりました。

人事に関しては、最高指導部に習近平の最側近の一人である栗戦書(中央弁公庁主任)と実務派の汪洋(副首相)が昇格しました。

7人の最高指導部のうち習近平と李克強は留任し、習政権の官房長官役をこなしている栗氏が王岐山・中央規律検査委員会書記の後任を務めています。

最高指導部入りしたのは、韓正・上海市党委員会書記(江沢民派だが習近平とも近い)と習氏元部下の陳敏爾・重慶市党委書記です。

また共青団の胡春華・広東省党委書記らも可能性が指摘されましたが、昇格はなりませんでした。

全体的には習派の指導者で周辺を固める構図なので、従来の「集団指導体制」は形骸化していく可能性が高まり、独裁化の危険性が懸念されています。

★次期最高指導部の顔触れ

人民日報によれば、党大会で決まった政治局常務委員の顔触れは以下の通りです。

  • 習近平:総書記/国家主席/党中央軍事委主席
  • 李克強:首相
  • 栗戦書:中央弁公庁主任⇒中央弁公庁主任
  • 汪洋:副首相⇒国務院副総理
  • 王滬寧:中央政策研究室主任⇒中央書記局書記
  • 趙楽際:中央組織部長⇒中央規律検査委書記を兼務
  • 韓正:上海市党委書記⇒現職のまま

栗、趙の両氏は習派。王氏は中立的だと言われますが、体制側につくブレーンなので、基本的には習氏支持です。習派が半分以上を占めたと言える陣容となりました。

※中国共産党大会関連記事:政治局常務委員と次期最高指導部の顔ぶれ

 

中国では党大会に向け「統制」が強まった(追記)

10月18日の党大会に向けて、習政権は統制を強めました。

それが分かる端的な出来事が、政治・経済・言論の領域で起きています。

政治的自由の統制

7月1日の香港返還20周年に合わせて習氏が訪問した折には、香港の民衆が6万人規模の抗議デモを行いました(香港の人口は730万人のため参加者は0.8%)。

林鄭月娥(キャリー・ラム)氏の行政長官就任式に抗議し、市民は香港島中心部のビクトリア公園から香港政府本庁舎まで(約3km)行進したのです。

これに対して、習近平主席は「中央の権力に対するいかなる挑戦も絶対に許さない」
(「一国二制度」は)「国家統一を維持するためにある」と演説で独立派を威嚇。「愛国教育」の強化も求めました(日経電子版(2017/7/1)「習氏、香港独立論許さず 治安立法・愛国教育要求も 」)。

抗議運動が盛り上がったのは香港行政長官選が以下の問題を抱えていたからです。

  • 香港市民が選べるのは1200人の投票人。この投票で行政長官を選出。
  • この投票人には中国当局に有利な親中派を割り当てる仕組みが設計されている。親中派が多い業種(金融や不動産、教育等)に枠が設けられる仕組み。

昨年12月の段階で、確定済みの166人を除いた1034ポストに1553人が出馬し、このうち400人程度が民主派に近い人物だと言われていました。もともと、民主派が勝てないようになっているわけです。

現在、一国二制度の中身は「一国」に力点が置かれ、香港の政治的自由への抑圧が強まっています。

経済活動の自由の統制

最近は中国企業への共産党の統制が強化されています(産経ニュース〔中国企業に広がる「共産党支配」 3200社へ明文化を要求〕2017.8.18)。

  • 共産党は3178社に対し「党組織を社内に設置し、経営判断は組織の見解を優先する」との項目を定款に盛り込むよう要求(102社が採用済)
  • 中国の大企業は国有が中心だが、大半は外資との合弁事業を手がけ、上海や深セン、香港の証券取引所での上場や社債発行で海外投資家との関係を深めている。
  • 市場関係者は「党の支配が明文化されると、習近平指導部の意向が色濃く反映されるようになる。国有企業が関係する取引には消極的にならざるを得ない」と困惑

「よくもまあ、ここまでやるもんだ・・・」

筆者はニュースを見て嘆息しましたが、中国経済の「改革・開放」が今、違った姿に替わりつつあります。

中国政府は世界の投資家から資金を調達するために香港で国有企業の株式と債券を上場してきました。WSJ日本語版(2017/8/15)では「取締役会が党委員会の指導下にある企業」の「合計時価総額は9兆7000億香港ドル(約137兆円)と、同市場全体の約3分の1を占める」と懸念しています。

「銀行最大手の 中国工商銀行 、証券最大手の中信証券、石油・ガス大手の中国石油化工( シノペック )など」が範囲に入るので、これは由々しき問題です。

中国はもとの社会主義に帰り、建前を捨てて本音をむき出しにしつつあるのかもしれません。体制維持のバトルが激化しているのでしょう。

言論の自由の抑圧

政治・経済の自由の基盤には「言論の自由」があります。

この自由の抑圧の現状は7月の劉暁波氏死去の際に明らかになりました。

ノーベル賞を受賞した中国の民主活動家・劉暁波氏は7月13日に逝去しましたが、ここで中国当局は残虐なスタンスを崩しませんでした。

(※劉氏は共産党による一党独裁の廃止や普通選挙の実現などを求め、2008年12月「08憲章」を起草した後、「国家政権転覆扇動罪」に問われ、服役(懲役11年)中に2010年にノーベル賞を受賞。その後、末期ガンで瀋陽市にある中国医科大付属第一病院に入院していた)

欧州の国々は死を間際にした劉氏を海外に解放すべきだと要望しましたが、中国当局はそれを拒否したのです。

中国外務省の耿爽(グォンシュアン)副報道局長は海外諸国首脳の発言に反発し、「法を犯した者は誰でも処罰を受けなければならない」(各国首脳の発言は)「内政干渉だ」「無責任な批評や雑音は、国際社会を代表し得ない」等と述べています(読売 2017/7/14 中国、対応批判に「内政干渉だ」…劉暁波氏死去)

・・・

中国共産党は「自由の抑圧強化」に向かっています。第二期習政権が発足した時、それがさらに強化される危険性に警戒すべきでしょう。

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