MRK(メルク)今後の見通し
メルク(Merck&Co.Inc)の今後の見通しを考えるために、まず、金利と株価チャートの推移を参照し、次に、直近の決算を確認します。
目標株価やPERなどの情報も踏まえて主な指標についても掲載します。
金利と株価:過去~現在
※チャート左目盛り:青線は株価推移、赤線は200日移動平均線
※チャート右目盛り:緑線は10年国債利回り
※株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、時価総額、株式数、取引の出来高などの内容を更新。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。
銘柄比較については関連記事(MRKとLLYを比較:メルクとイーライリリー)を参照
直近決算
業績
《四半期》
・EPS:予想-1.48$→結果-1.28$
・売上高:予想158.9億$→結果162.9億$(前年同期比+5%)
★ガイダンス
《通年》
・EPS:予想5.11$→結果5.04~5.16$
・売上高:予想664.9億$→結果658~670億$
★出所
・IRプレスリリース
・streetinsider
企業概要
メルク(Merck & Co., Inc.:NYSE: MRK、米国・カナダ以外ではMSD)は、処方薬、ワクチン、動物用医薬品を中核とするグローバル製薬企業です。本社は米国ニュージャージー州ラウェイにあります。2025年末時点の従業員数は約7万5,000人で、2025年通期の売上高は650.11億ドルでした。[1]
重点領域は、がん(免疫チェックポイント阻害薬キイトルーダ/Keytruda)、ワクチン(HPVワクチンガーダシル/ガーダシル9など)、感染症、心血管・呼吸器、代謝、さらに動物用医薬品です。2025年通期はキイトルーダの成長とAnimal Healthの拡大が支えとなった一方、ガーダシルは中国需要の低下などで大きく減少しました。2026年Q1は売上高162.86億ドル、前年同期比5%増で、キイトルーダ、Winrevair、Animal Healthが成長をけん引しました。[2][3]
同社は1891年に米国で設立されました。ドイツのMerck KGaAとは別企業であり、米国・カナダではMerck、その他の地域ではMSD(Merck Sharp & Dohme)として展開しています。[1]
事業は大別して以下のとおりです(報告セグメント:Pharmaceutical と Animal Health)。[4]
- Pharmaceutical(ヒト用医薬品):がん領域のキイトルーダ(ペムブロリズマブ)が世界的な主力です。2025年通期のPharmaceutical売上は581.42億ドル、キイトルーダ/キイトルーダQLEX売上は316.80億ドルでした。HPVワクチンガーダシル/ガーダシル9は2025年通期売上52.33億ドルで、前年比39%減となりました。[2]
- Animal Health(動物用):畜産向けワクチン・治療薬、コンパニオンアニマル向け寄生虫駆除薬(例:Bravecto)などを提供しています。2025年通期のAnimal Health売上は64億ドル、前年比8%増でした。Bravecto製品群の2025年通期売上は11億ドルでした。[2]
Pharmaceuticalの中心は、引き続きキイトルーダです。2026年Q1のキイトルーダ/キイトルーダQLEX売上は80.34億ドル、前年同期比12%増でした。このうち皮下注製剤のキイトルーダQLEX売上は1.28億ドルで、投与利便性を高める製剤として立ち上がりつつあります。キイトルーダは多くのがん種で適応を広げてきた一方、将来の特許・独占性低下や米国の薬価制度変更が中長期の大きな論点です。[3]
ワクチン領域では、ガーダシル/ガーダシル9が長く主力でしたが、2025年通期の売上は52.33億ドル、2026年Q1は10.69億ドルと減少が続いています。2026年Q1の減少は、中国需要の低下、日本のキャッチアップ接種プログラム後の反動、米国の公的部門の購買タイミングなどが主因とされています。一方で、成人向け肺炎球菌ワクチンCapvaxiveや、乳児RSV予防薬Enflonsiaなど新製品の立ち上げも進んでいます。[2][3]
心血管・呼吸器領域では、肺動脈性肺高血圧症(PAH)治療薬Winrevairが新たな成長製品です。2025年通期のWinrevair売上は14.43億ドル、2026年Q1は5.25億ドル、前年同期比88%増でした。また、2025年10月にはVerona Pharmaの買収を完了し、COPD維持療法薬Ohtuvayreを獲得しました。2026年Q1のOhtuvayre売上は1.31億ドルでした。[5][3]
感染症領域では、HIV-1治療薬IDVYNSOが2026年Q1に米FDA承認を受けました。また、2026年1月にはCidara Therapeuticsの買収を完了し、インフルエンザ予防の長時間作用型候補薬CD388を取り込みました。2026年Q1決算では、このCidara買収に伴う一時費用が1株あたり3.62ドル計上され、GAAP EPSとNon-GAAP EPSはいずれも赤字になりました。[6][3]
研究開発では、既存主力の適応拡大と次世代モダリティの両にらみで投資を継続しています。2023年にPrometheus Biosciencesを買収して免疫疾患領域を補強し、同年には第一三共とADC(抗体薬物複合体)3品目について大型の共同開発・商業化提携を締結しました。2024年にはHarpoon Therapeuticsを買収し、T細胞エンゲージャー資産を取り込みました。2026年5月にはTerns Pharmaceuticalsの買収を完了し、慢性骨髄性白血病(CML)候補薬TERN-701をオンコロジーパイプラインに加えています。[7][8][9][10]
近年の業績動向:2025年通期は売上高650.11億ドル、GAAP純利益182.54億ドル、GAAP EPS7.28ドル、Non-GAAP EPS8.98ドルでした。2026年Q1は売上高162.86億ドルと増収でしたが、Cidara買収に伴う一時費用のため、GAAP EPSはマイナス1.72ドル、Non-GAAP EPSはマイナス1.28ドルとなりました。2026年通期見通しでは、売上高658億〜670億ドル、Non-GAAP EPS5.04〜5.16ドルを見込んでいます。このEPS見通しには、Cidara買収に伴う一時費用1株あたり3.62ドルが含まれています。[2][3]
ミニ解説
- MSD表記の理由:米国・カナダ以外では、ドイツのMerck KGaAと区別するためMSD(Merck Sharp & Dohme)を用います。
- 成長ドライバー:短期ではキイトルーダ、Winrevair、Animal Healthが中心です。中期では、皮下注キイトルーダQLEX、Winrevair、Capvaxive、Ohtuvayre、ADC提携、Cidara・Terns買収後のパイプラインが重要になります。
- 投資家が見るべき点:キイトルーダ依存の高さ、ガーダシル減速、薬価・特許リスク、買収に伴うR&D費用、動物用医薬品の安定成長、新製品が2028年前後の特許切れリスクをどこまで埋められるかを確認する必要があります。
【注】(出典リンク)
- 会社概要・MSD表記・本社所在地・従業員数・2025年売上 → Merck Company Fact Sheet → Merck Company Overview(確認日:2026-05-10) ↩
- 2025年通期業績・製品別売上・Animal Health → Merck Fourth-Quarter and Full-Year 2025 Financial Results → Merck 2025 Form 10-K(SEC)(確認日:2026-05-10) ↩
- 2026年Q1業績・製品別売上・2026年通期見通し → Merck Q1 2026 Financial Results → Merck Investor Relations(確認日:2026-05-10) ↩
- 報告セグメント・事業記載 → Merck 2025 Form 10-K(SEC) → Merck Financial Information(確認日:2026-05-10) ↩
- Verona Pharma買収・Ohtuvayre取得 → Merck Completes Acquisition of Verona Pharma → Merck Q1 2026 Financial Results(確認日:2026-05-10) ↩
- Cidara買収・IDVYNSO承認・買収費用影響 → Merck to Complete Acquisition of Cidara Therapeutics → Merck Q1 2026 Financial Results(確認日:2026-05-10) ↩
- Prometheus Biosciences買収 → Merck Completes Acquisition of Prometheus Biosciences(確認日:2026-05-10) ↩
- 第一三共とのADC提携 → Daiichi Sankyo and Merck ADC Collaboration → Daiichi Sankyo Press Release(確認日:2026-05-10) ↩
- Harpoon Therapeutics買収 → Merck Completes Acquisition of Harpoon Therapeutics(確認日:2026-05-10) ↩
- Terns Pharmaceuticals買収完了 → Merck Completes Acquisition of Terns Pharmaceuticals(確認日:2026-05-10) ↩
四半期決算(EPSと売上)の推移:予想と結果
最後に、四半期決算について予想と結果を確認します。
売上高とEPSについて、マーケットのアナリスト平均値と企業の発表を比べてみます。
(単位はEPSがドル、売上高が100万ドル)。
EPSと売上:予想:結果
【出典】

