LLY(イーライリリー)今後の見通し
イーライリリー・アンド・カンパニー(Eli Lilly and Company)の今後の見通しを考えるために、まず、金利と株価チャートの推移を参照し、次に、直近の決算を確認します。
目標株価やPERなどの情報も踏まえて主な指標についても掲載します。
金利と株価:過去~現在
※チャート左目盛り:青線は株価推移、赤線は200日移動平均線
※チャート右目盛り:緑線は10年国債利回り
※株価の成長率や前日比(前日始値~前日終値)、52週高値/安値のほか、PER(株価収益率)、時価総額、株式数、取引の出来高などの内容を更新。リアルタイムは無理ですが株価は最大20分ディレイでフォロー。
銘柄比較については以下を参照
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直近決算
イーライリリーは8月7日(米国時間)に決算を発表しました。
★業績
《四半期》
・EPS:予想5.59$→結果6.31$
・売上高:予想146.7億$→結果155.6億$(前年同期比+38%)
★ガイダンス
《四半期》
・EPS:予想$→結果~$
・売上高:予想億$→結果~億$
《通年》
・EPS:予想21.98$→結果21.75~23$
・売上高:予想600.9億$→結果600~620億$
★出所
・IRプレスリリース
・予想値はstreet insiderを参照しました。
企業概要
イーライリリー・アンド・カンパニー(Eli Lilly and Company, 以下「リリー」)は、革新的な医薬品の開発・製造・販売を手がけるグローバル製薬企業です。1876年に設立され、「人々の健康と生活の質を向上させる」という理念のもと、糖尿病・肥満、神経変性疾患、がん、免疫疾患など幅広い領域で治療薬を提供しています。2024年通期の年次報告書(10-K)および直近の2025年Q2決算によれば、近年はインクレチン関連製品群(チルゼパチド)と新規アルツハイマー病治療薬の貢献が際立っています。[1][2]
研究開発から臨床試験、製造、販売までを自社で一貫して行い、グローバルにサプライチェーンと開発体制を整備しています。本社は米国インディアナ州インディアナポリスにあり、米国・欧州・日本・中国など世界各地に研究開発・生産拠点を配置しています。欧州ではスペイン、フランス、アイルランド、イタリア、ドイツなどに主要サイトを持ちます(いずれも2025年時点)。[1][3]
主な医薬品(2025年時点)は以下の通り。
- ゼップバウンド(Zepbound/チルゼパチド):肥満症および関連適応(2023年米FDA承認、2024年には肥満に伴う中等度~重度の閉塞性睡眠時無呼吸にも拡大)。[4][5]
- マウンジャロ(Mounjaro/チルゼパチド):2型糖尿病治療薬。2025年Q2も力強い増収を牽引。[2]
- キスンラ(Kisunla/ドナネマブ):早期アルツハイマー病治療薬。2024年7月に米FDAが承認、その後ラベル更新。[6][7]
- ヴァーゼニオ(Verzenio/アベマシクリブ):HR陽性/HER2陰性乳がん治療薬。[1]
- タルツ(Taltz/イキセキズマブ):乾癬などの免疫疾患治療薬。[1]
- オムヴォー(Omvoh/ミリキズマブ):潰瘍性大腸炎治療薬。[1]
- レテブモ(Retevmo/セルペルカチニブ)、ジェイピルカ(Jaypirca/ピルトブルチニブ)などの腫瘍領域製品。[1]
- エムガラティ(Emgality/ガルカネズマブ):片頭痛の予防。[11]
- オルミアン(Olumiant/バリシチニブ):関節リウマチなどの自己免疫性炎症性疾患。[11]
- ヒューマログ(Humalog/インスリン リスプロ)、ヒューマリン(Humulin)、バサグラー(Basaglar/インスリン グラルギン):糖尿病領域の従来品。[11]
- プロザック(Fluoxetine)、ジプレキサ(Zyprexa/オランザピン)、フォルティオ(Forteo/テリパラチド):いずれも主に成熟期・ジェネリック競合下のレガシー製品群。[11]
また、糖尿病・肥満領域では経口GLP-1受容体作動薬(オルフォルグリプロン)の開発を進めており、規制当局の新たな迅速審査制度の活用可能性も報じられています(2025年9月報道)。[8][9]
リリーは北米、欧州、アジア、中南米、アフリカなど世界各地域で事業を展開し、各国の医療制度と規制に合わせたローカライズ戦略を採用。とりわけボーリンガー・インゲルハイムとのアライアンスを通じ、Jardiance(エンパグリフロジン)など糖尿病・心腎領域での協業も継続しています。[10][12]
強みは、①インクレチン系(チルゼパチド)と神経変性(ドナネマブ)の成長ドライバー、②免疫・腫瘍・神経の多角的パイプライン、③グローバルな製造・供給体制の拡充です。一方で、④規制・安全性リスク(例:抗アミロイド抗体のARIA関連ラベリング等)、⑤新薬開発の不確実性、⑥主要製品の競争激化(競合GLP-1、SGLT2、バイオシミラー等)、⑦価格・償還政策の変化などの課題にも直面しています(いずれも2025年時点)。[1][15]
一言で:2024~2025年は、チルゼパチド(マウンジャロ/ゼップバウンド)とドナネマブ(キスンラ)が成長の主軸。経口GLP-1(オルフォルグリプロン)の行方も中期の注目点です(2025年時点)。[2][6][8]
【注】(出典リンク)
- 10-K 2024の開示(事業・製品概要・本社所在地等) → SEC年次報告(2024会計年) → 企業年次レビュー(確認日:2025-09-23) ↩
- 2025年Q2決算・ガイダンス(チルゼパチド好調) → IRニュース(2025-08-07) → 決算補足資料PDF(確認日:2025-09-23) ↩
- グローバル拠点・欧州サイト(国別サイト一覧) → Lilly EU(拠点紹介) → 拠点一覧(採用ページ)(確認日:2025-09-23) ↩
- ゼップバウンド(肥満症)の米FDA承認 → IRニュース(2023-11-08)(確認日:2025-09-23) ↩
- ゼップバウンドの閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)適応追加 → IRニュース(2024-12-20)(確認日:2025-09-23) ↩
- キスンラ(ドナネマブ)米FDA承認 → IRニュース(2024-07-02)(確認日:2025-09-23) ↩
- キスンラの最新ラベル(米国添付文書) → FDAラベル(2025年版)(確認日:2025-09-23) ↩
- 経口GLP-1(オルフォルグリプロン)に関する迅速審査制度の活用可能性(報道) → ロイター(2025-09-17)(確認日:2025-09-23) ↩
- 経口GLP-1の年内承認可能性に関する追加報道 → ロイター(2025-09-16)(確認日:2025-09-23) ↩
- Jardiance等に関するボーリンガー・インゲルハイムとの戦略提携の経緯 → IRニュース(2011-01-11) → IRニュース(2019-11-04)(確認日:2025-09-23) ↩
- 現行製品一覧(一般情報) → Lilly公式:Current Medicines(確認日:2025-09-23) ↩
- 直近の業績全体像(2024年Q4・2025年見通しの参考) → IRニュース(2025-02-)(確認日:2025-09-23) ↩
- 抗アミロイド抗体の安全性ラベリング(ARIA等)—キスンラ添付文書 → FDAラベル(確認日:2025-09-23) ↩
四半期決算(EPSと売上)の推移:予想と結果
最後に、四半期決算について予想と結果を確認します。
売上高とEPSについて、マーケットのアナリスト平均値と企業の発表を比べてみます。
(単位はEPSがドル、売上高が100万ドル)。
【出典】