DBB・SLX・VALE・RIO・BHPを比較(株価と配当)ベースメタル・鉄鋼ETF VS 主要鉱山企業
米国市場で取引されるベースメタルETFと鉄鋼ETF、そして大手鉱山企業であるヴァーレ(Vale S.A.)、リオ・ティント(Rio Tinto Group)、BHPグループ(BHP Group Limited)について、その企業概要と株価の推移を比較してご紹介します。
Contents
ベースメタル・鉄鋼株ETF
DBB:インベスコDBベースメタルズファンド
- DBIQ オプティマムイールドインダストリアルメタル指数ERに連動するETFです。
- この指数は、ベースメタル(卑金属)であるアルミニウム、亜鉛、銅の先物契約で構成されています。
- ファンドの中身は銅・アルミニウム・亜鉛をほぼ均等に保有しており、毎月自動で先物の期限を乗り換え(ロールオーバー)することで、できるだけコストを抑える仕組みを採用しています。
- 出所:Invesco(DBB ファクトシート)
SLX:ヴァンエックベクトル・スチールETF
- NYSE Arca鉄鋼インデックスに連動するETFです。
- 世界各国で鉄鉱石の探鉱や採掘・精錬に従事する約25社に分散投資しています。
- 鉄鋼業界は景気に敏感であるため、インフラ投資や自動車生産の増減が株価に影響しやすい傾向があります。
- 出所:VanEck(SLX)
主要鉱山企業3社の比較
VALE:ヴァーレ(Vale S.A.)
ブラジルを拠点とする世界最大級の鉄鉱石生産企業です。高品位鉄鉱石のほか、ニッケル、銅、コバルトなど低炭素社会のための重要鉱物も生産しています。
- 2024年生産量見通し:鉄鉱石310-320Mt、ニッケル180-190kt、銅340-360kt
- 地域構成:ブラジル(鉄鉱石)とカナダ・インドネシア(ニッケル)で収益源を多角化しています。
- 成長ドライバー:EVバッテリー用ニッケル・コバルト事業、低炭素高品位鉄鉱石の拡大に注力しています。
- 株主還元:フレキシブル配当政策(年2回の基本配当+特別配当)を採用しています。
- 注意点:ブルマジーニョダム事故など、環境・安全面のリスク管理が課題として挙げられます。
RIO:リオ・ティント(Rio Tinto Group)
世界最大級の鉄鉱石・アルミニウム生産企業です。西豪州ピルバラ地域の16鉱山を中心に鉄鉱石のほか、アルミニウム、銅、ダイヤモンドなどを世界で生産しています。
- 主力鉱山:Pilbara鉄鉱山群(豪)、Oyu Tolgoi(蒙)、Kennecott(米)、Weipa・Gove(豪アルミナ)
- 2024年生産量見通し:鉄鉱石323-338Mt、アルミニウム3.2-3.4Mt、銅0.66-0.72Mt
- 地域分散:豪州・カナダ・アメリカ・モンゴルなど17カ国で操業し、政治リスクを低減しています。
- キャッシュ還元:業界トップクラスの高配当政策(配当性向40-60%)を実施しています。
- 注意点:鉄鉱石価格の変動に業績が左右されやすい構造があります。
BHP:BHPグループ(BHP Group Limited)
豪州を拠点とする世界最大の多角化資源企業です。鉄鉱石・銅・石炭・ニッケルなど幅広い資源ポートフォリオを持ち、業界最高の利益率を維持しています。
- FY24(2024会計年度)生産量見通し:鉄鉱石254-264.5Mt、銅1.72-1.91Mt、冶金用石炭21.5-22.5Mt
- 主要鉱区:Western Australia Iron Ore、Escondida(チリ)、Queensland Coal、Olympic Dam(豪)
- コスト優位性:大規模自動化鉱山と技術革新により、業界最低レベルの生産コストを維持しています。
- 特色:資源価格サイクルに左右されにくい堅固なバランスシートを持ち、高配当を維持しています。
- 注意点:Jansen(カナダ)など大型投資案件の開発進捗が中期成長の鍵となります。
DBB・SLX・VALE・RIO・BHPの株価推移比較
※左目盛り:株価推移(最大20分ディレイ)
※右目盛り:緑線は米国10年国債利回り
※主要指標の単位 B:10億ドル、M:100万ドル