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【EWY】韓国ETFの株価とリターン

更新日:

韓国市場の主要企業に投資するEWY(iシェアーズMSCI韓国キャップトETF)のパフォーマンスを調べてみます。

その上で、韓国のGDPや失業率などの主要統計を一覧し、その投資環境を把握してみます。

まず、EWYの株価推移とトータルリターンを見てみましょう。

果たして、EWYの株価は2018年に上昇するのでしょうか。

【EWY】iシェアーズMSCI韓国キャップトETFとは

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iシェアーズMSCI韓国ETFは110以上の韓国株から成るMSCI韓国インベスタブル指数に連動する米国籍ETFです。

構成銘柄のうち99%以上は韓国銘柄。大型株を中心に代表的な構成銘柄に投資しています。

特に比率が大きいのがサムスン電子で、その比率は2割以上に及びます。

EWYの株価チャート

EWYの株価は近年にどのように動いたのでしょうか。

EWYの指標

ブルームバーグのサイトで見ると、最近の指標は以下の通りです(2018/9/19閲覧。配当利回りは税込。R=リターン。TR=トータルリターン)
)。

  • 株価52週レンジ : 62.89 - 79.07
  • 直近配当額 : 2.176
  • 直近配当利回り : 3.32%
  • 経費率 : 0.62%
  • 3ヶ月TR : -6.51%
  • 年初来R : -11.3%
  • 1年TR : -1.66%
  • 3年平均TR : 11.46%
  • 5年平均TR : 3.08%

EWYの分配金(2013~2017)

年間で累計した上記ETFの分配金(ドル)の推移を見てみます。

  • 2017:2.1762
  • 2016:0.6454
  • 2015:1.2021
  • 2014:0.6634
  • 2013:0.898

【EWY】のポートフォリオ

次に、このETFの構成比率を「組入れ企業の規模」「セクター別の投資割合」「投資先主要10社の比率」で見てみます。

※出典:「組入れ企業の規模」はモーニングスターHP(7/22閲覧)のデータ。「投資先主要10社の比率」はブルームバーグHP(8/26閲覧)、あとの出典はEWGのファクトシート(7/19閲覧)。

組入れ企業の規模別の比率(%)

  • 巨大企業 54.08
  • 大企業 37.16
  • 中企業 8.76

※出典:モーニングスターHP(7/22閲覧)

セクター別の投資割合(%)

ブラックロック社のEWY紹介記事(8/26閲覧)によればセクター別の投資比率は以下の通りです。

  1. 情報技術:38.21
  2. 金融:13.23
  3. 一般消費財・サービス:11.41
  4. 資本財・サービス:10.45
  5. 素材:7.99
  6. 生活必需品:7.07
  7. ヘルスケア:6.55
  8. エネルギー:2.72
  9. 公益事業:1.25
  10. 電気通信:0.84
  11. キャッシュ等:0.27

投資先主要10社の比率(%)

EWYは、サムスンとSKハイニックスの比率が高いのですが、他業種の大手企業もそれなりに取り込んだETFになっています。

※出典はブルームバーグHP(9/19閲覧)

  1. 005930:KS : サムスン電子 22.08
  2. 000660:KS : SKハイニックス 5.44
  3. 068270:KS : セルトリオン 2.88
  4. 005490:KS : ポスコ 2.78
  5. 035420:KS : Naver[ネイバー] 2.5
  6. 105560:KS : KBフィナンシャル・グループ 2.48
  7. 005380:KS : 現代自動車 [ヒュンダイモーターカンパニー 2.45
  8. 055550:KS : 新韓金融グループ 2.23
  9. 051910:KS : LG化学 [エルジー・ケミカル] 1.99
  10. 012330:KS : 現代精工 [ヒュンダイ・モービス] 1.91

この10社はみな韓国市場上場(KS)です。

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韓国経済の主要統計を一覧

さらに、投資環境を把握するために、世界銀行のデータバンクから韓国の主要統計を閲覧してみます。

実質GDPと失業率

実質GDPは2010年米ドル基準 。失業率はILO方式。

実質成長率 総額(億$) 一人当たり($) 失業率
2005 3.9 8947 18568 3.7
2006 5.2 9410 19427 3.5
2007 5.5 9924 20385 3.2
2008 2.8 10205 20804 3.2
2009 0.7 10277 20843 3.6
2010 6.5 10945 22087 3.7
2011 3.7 11348 22725 3.4
2012 2.3 11608 23124 3.2
2013 2.9 11944 23685 3.1
2014 3.3 12343 24324 3.5
2015 2.8 12688 24871 3.6
2016 2.9 13059 25484 3.7
2017 3.1 13459 26152 3.8

名目GDPと名目GNI

名目GDP 名目GNI
総額(億$) 一人当たり($) 総額(億$) 一人当たり($)
2005 8981 18640 8570 17790
2006 10118 20888 9666 19950
2007 11227 23061 10917 22420
2008 10022 20431 11186 22800
2009 9019 18292 10374 21040
2010 10945 22087 10533 21260
2011 12025 24080 11258 22540
2012 12228 24359 12322 24550
2013 13056 25890 12990 25760
2014 14113 27811 13601 26800
2015 13828 27105 13901 27250
2016 14148 27608 14189 27690
2017 15308 29743 14605 28380

GDPの構成比率(単位別:%)

GDPの構成比率:消費+総資本形成+輸出ー輸入。その%の内訳。

消費 総資本形成 輸出 輸入
2005 65.5 32.2 36.8 34.4
2006 66.6 32.7 37.2 36.4
2007 66.3 32.6 39.2 38.1
2008 67.1 33.0 50.0 50.0
2009 66.8 28.5 47.5 42.9
2010 64.8 32.0 49.4 46.2
2011 65.5 33.0 55.7 54.3
2012 66.2 31.0 56.3 53.5
2013 65.9 29.1 53.9 48.9
2014 65.5 29.3 50.3 45.0
2015 64.3 28.9 45.3 38.4
2016 63.8 29.3 42.3 35.4
2017 63.4 31.1 43.1 37.7

人口伸び率など

総人口(万人) 人口増加率 出生率 平均寿命
2005 4818 0.21 1.08 78.2
2006 4844 0.53 1.12 78.7
2007 4868 0.51 1.25 79.1
2008 4905 0.76 1.19 79.5
2009 4931 0.51 1.15 80.0
2010 4955 0.50 1.23 80.1
2011 4994 0.77 1.24 80.6
2012 5020 0.53 1.30 80.8
2013 5043 0.46 1.19 81.3
2014 5075 0.63 1.21 81.7
2015 5101 0.53 1.24 82.0
2016 5125 0.45 1.17 82.0
2017 5147 0.43

韓国政治は不安定ですが、経済成長率や失業率などの主要指標は意外と良好で、人口も増えています。

強いて言えば、この銘柄の不安要素はその構成比率のトップを占める「サムスン電子」の問題かもしれません。

EWYの主要銘柄 サムスンはどうなる

EWYの株価は高めですが、その構成比率の2割を占めるサムスン電子では李副会長が朴政権崩壊の頃に逮捕されてしまいました。

サムスンの輸出額は韓国全体の輸出額の約2割を占め、同グループの株式時価総額は証券市場の総額のうち約3割を占めています。

経営評論家の加谷珪一氏は、そのインパクトを以下のように論評していました( ironna 「サムスン不振で見えた「未成熟」韓国経済と日本の実力差」。

 サムスン電子の2015年12月期の売上高は約206兆ウォンであり、同社が生み出した付加価値は77兆ウォンに達する。同じ年の韓国におけるGDPは1559兆ウォンなので、サムスン1社で全GDPの5%を生み出している計算になる。韓国経済のかなりの割合が、こうした財閥系企業の活動によって支えられているのだ。ちなみにトヨタが1年に生み出した付加価値は約5兆円であり、日本のGDPは約500兆円なのでトヨタの占める割合は1%である。

李副会長が懲役5年の判決を受けるまでの経緯

会長の健康問題のため、李在鎔(イ・ジェヨン)氏(サムスン電子副会長)が事実上のトップを務めていましたが、崔順実(チェ・スンシル)被告への贈賄等の容疑で2017年の2月17日に逮捕されました。

李副会長が罪に問われたのは、15年7月に朴氏が文化とスポーツ振興を名目とした二財団(ミル財団とKスポーツ財団)の設立の際に、サムスンをはじめとした財閥七社に協力を要請したことがきっかけになっています。

捜査班は、サムスンは崔被告が実質的に支配した2財団に204億ウォン(約20億円)を寄付し、崔氏の娘がドイツで乗馬を行う際に資金協力したと見ていました。この贈賄額の見立ての総額は430億ウォン(43億円)にのぼるとされています。

この資金協力が李副会長の意思で行われ、崔被告が李副会長がサムスングループ内で経営権を確立するための合併(第一毛織とサムスン物産の合併。2015年7月)に便宜を図ったことが贈賄に相当すると考えたのです。

この二企業は合併に抵抗していたので、朴政権は国民年金公団がグループ2社の大株主だったことを利用し、公団を管轄する保健福祉省を通して合併賛成への圧力をかけたーーというシナリオが描かれていました。

これに対して、李副会長は乗馬支援計画が動いたのは合併がなされた後であり、当時、崔被告に資金支援がなされたことも認識していなかったと反論。ソウル中央地裁は立証が不十分と見て最初は逮捕状請求を棄却しています。

その後、2月13日に捜査チームは再び李副会長に事情聴取を行い、17日には逮捕状が発行されました。

一回目と二回目で差が出たのは、19日以降に、捜査チームが大統領府で首席秘書官を務めていた安鍾範(アン・ジョンボム)被告の手帳39冊を入手したためです。

捜査班は、ここに決定的な証拠があったと見なし、崔被告がサムスンに図った便宜(見返り)の範囲を李副会長がグループの経営権を掌握するまでの過程全般にまで広げました。

サムスン財閥系の企業の上場や再編などに際して、大統領府が証券市場や公正取引委員会に圧力をかけたと見たのです(そのほか、財産の国外逃避と犯罪収益隠匿が行われたという罪状も追加)。

李副会長は抗弁しましたが、その後、2017年8月に懲役5年の有罪判決を受けています。

そして、その後、18年2月5日には、韓国のソウル高裁が第二審で李副会長に懲役2年6月、執行猶予4年の判決を出しました。

第一審に比べると、判決が丸くなったので、サムスン電子が抱える「トップ不在」のリスクは軽減されました。

その後、副会長が経営に復帰したからです。

トップが「有罪」とされたサムスン電子

サムスンは1938年に創業し、グループを巨大企業に育てた2代目の李健熙会長が2014年に心筋梗塞で倒れて以来、長男の李在鎔氏が副会長として、事実上のトップを務めています。

今回は、その14年~15年までの間の経営権の承継に際して、贈賄等の不正行為の容疑がかけられました。まさにサムスングループの一番、中核の部分に検察の攻撃が加えられたわけです。

しかし、「巨大グループなんだから、トップが一時期いなくても組織を回す人材がいるんじゃないの?」「集団指導体制とかでまとまるんじゃないの?」という見方もあろうかと思います。

これに対して、CNETジャパンの坂和敏氏が以下のような異論を述べています(2017/2/18「サムスンにとって『強いトップの不在』が大打撃になりかねない理由)。

部品調達を例にとると、サムスンはグループ内だけで調達を行わず、グループ内外で行い、「兄弟会社だから買ってもらえる」という甘えを排しています。

また、サムスン内ではスマホ端末をつくる部門とappleに部品を供給する部門がありますが、後者が頑張ってよい製品をつくれば、前者も負けるものかと品質向上に務めます。こうした形でグループ内企業が緩まないよう切磋琢磨しているわけです。

坂和氏はこうした例をあげ、グループ内企業の競争が足の引っ張り合いにならないよう、トップの意を汲んで調整する「企業戦略室」が重要だと指摘しました(※以下、英字メディア「Vox」の記事を参照しながらの指摘)。

(「企業戦略室」は)上級幹部の人事権をもち、各社・各部門間の利害調整を図る重要な部門・・・グループ内部での足の引っ張り合いや衝突などを防ぐのもこの企業戦略室の役割で、有望な社員は幹部候補としてここに引っ張られ、グループ全体と会長個人に対する忠誠心を養ったのち、各事業会社に財務や人事の担当としてふたたび送り込まれる。そうして企業戦略室と連携しながら、各社の幹部が利己的な行為(グループ全体にとってマイナスとなる行為)に走らないよう目を光らせている(見方によってはLee一族の経営に関する親衛隊といえなくもない)。

この企業戦略室には様々な幹部候補の社員が集いますが、それを統括しているのは、当然、李副会長です。李副会長がいなくなれば、まとめ役不在になり、各社から出てきた「幹部候補」が自分の出身企業の意向を汲んで動くだけになり、経営の全体観が失われる可能性が出てきます。

日本の官邸でも各省出身者が様々な「省益」を背負って活動していますが、これを統括する官邸のリーダーシップが失われると「国益」度外視の政治になりがちです。これと似たようなことがサムスンでも起きかねないわけです。

そして、李容疑者が第三審で執行猶予を取り消された場合は、トップ不在の長期化が確定するため、次の権力掌握のための戦いが本格化してくるでしょう。

2017年の段階では、サムスンの李副会長は「拘置所に来る幹部から報告を聞いており、各部門を担当する役員に一定の権限も委譲している。集団指導う体制のもとで通常の経営判断には問題がない見通し」だと報じられています。「成果重視の評価制度やシェア確保に向けて大型投資をいとわない経営システムも変わらない」のですが、「グループ経営が勢いを失ったときの修正役」がいないことが問題視されています(日経朝刊:2017/8/26付)。

通常業務はよいのですが、重大な経営判断が、李氏不在で可能かどうかが問題になります。

トップ不在の時期が短期で終わるのか、それとも長期にわたるのかで、サムスングループの未来図も大きく変わることになりそうです。

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