【TTD/ROKU】トレードデスクとロクを比較する
広告モデルの新興テック企業2社(TTDとROKU)を比較してみます。
TTD(ザ・トレードデスク)は広告を出す側にクラウド上のプラットフォームを提供し、TVやPC、携帯、タブレットなどに広告を配信する作業を助けています。
AIと高速コンピューティングで費用対効果も含めて計算し、広告を最適化してくれるので、広告の出稿者に重宝されています。
一方、ROKUはテレビを通してネット動画等を見れるようにするデバイスを製造・販売しています。ケーブルテレビをやめてROKU端末に乗り換えた人がテレビでネット動画を見ていると、そこに広告が配信されるわけです。
この2社の事業領域は違いますが、どちらも、NFLXやAMZN、DISなどの動画配信で広がったコネクテッドTV(テレビとネットを合わせたスマートTVの領域)の利用者拡大の恩恵を受けています。
そうした前提を踏まえて、この2社の株価と決算、業績などを比較してみます(グラフをクリックすると、リンクでTTDやROKUのページに飛びます)。
主要指標で比較
TTD | ROKU | |
1/3株価 | 92.7 | 230.6 |
5/20株価 | 52.6 | 94.2 |
株価上昇率 | -43.21% | -59.15% |
52週高値 | 114.1 | 490.8 |
52週安値 | 39.4 | 75.1 |
β値 | 2.15 | 1.95 |
EPS | 0.2 | 0.97 |
PER | 261.99 | 96.69 |
配当利回り | – | |
時価総額(億$) | 256 | 128 |
株式数(億) | 4.4 | 1.2 |
どちらも値動きの激しい銘柄ですが、2021年にピークをつけた後は恐ろしい勢いで下落しています。
どこからまた買いに入れるのかが読みにくい展開です。
株価推移(チャートと伸び率)
次に、株価の推移を見てみます(赤点線が200日間の移動平均線)。
株価の伸び率を1年ごとに見てみましょう。
株価伸び率
★1:各年の株価伸び率(※22年終値は5/20株価) | |||
年 | TTD | ROKU | |
2022 | -43% | -59% | |
2021 | 14% | -33% | |
2020 | 203% | 144% | |
2019 | 132% | 349% | |
2018 | 152% | -42% | |
2017 | 64% | – |
2020年、18年はTTDのほうが伸び率が勝っています。ただ、19年のROKUの伸び率は凄まじい勢いです。
各年初からの伸び率比較
各年初から直近までの伸び率を比較しました
★2:各年初から22/05/20までの伸び率 | |||
TTD | ROKU | ||
2021 | -43% | -59% | |
2020 | -35% | -72% | |
2019 | 99% | -31% | |
2018 | 370% | 216% | |
2017 | 1044% | 79% | |
2016 | 1780% | – |
IPO当日の初値で見ると(※以下、6月末の株式分割前の値)、TTDは28.75ドル(2016/9/21)、ROKUは15.8ドル(2017/9/28)なので、2021年時点の株価と比べると、TTDのほうが株価伸び率は大きめになります。
上場時期が違うので比較しにくいのですが、2020年の年初から年末でみると両社の伸び率はかなり近づいています。
ただ、コロナショックの頃の株価下落から2020年末までを見ると、TTDのほうが下落率も底値からの伸び率も大きくなっています。
★TTD:288.1$(3/2)⇒144.4$(3/18) -50%
★TTD:144.4$(3/18)⇒801$(12/31) +455%
★ROKU:114.7$(3/2)⇒67.5$(3/18) -41%
★ROKU:67.5$(3/12)⇒332$(12/31) +392%
TTDのほうがボラティリティが激しいようです。
四半期決算(2021予想など)
さらに、四半期決算のEPSと売上の予想を整理してみます。
(※下記図表では、Y=年度決算、Q=四半期決算、日/月=データの日時、その右欄にあるのは1カ月前、2か月前の予想値を記載。予想値の主な出所は英語版のヤフーファイナンス。)。
EPS:予想と結果
予想 | TTD | ROKU | ||
5/1 | 1月前 | 5/1 | 1月前 | |
Y:2023 | 5.56 | 5.63 | 1.72 | 1.48 |
Y:2022 | 5.41 | 5.46 | 1.34 | 1.33 |
Q:22/9 | 1.38 | 1.41 | 0.29 | 0.3 |
Q:22/6 | 1.35 | 1.37 | 0.38 | 0.39 |
2020年9月、12月のEPSの伸びが目立っています。
売上高:予想と結果
予想 | TTD | ROKU | ||
5/1 | 1月前 | 5/1 | 1月前 | |
Y:2023 | 139710 | 139310 | 6680 | – |
Y:2022 | 136830 | 136940 | 6340 | – |
Q:22/9 | 34000 | – | 1500 | – |
Q:22/6 | 33780 | 33810 | 1570 | – |
売上のほうも、2020年9月、12月のEPSの伸びが目立ちますが、今後、経済が正常化した時、どの程度の売上になるのかが気になります。
通年決算(GAAP基準)
最後に、通年決算の数字を比較してみます(以下、売上、利益、資産、負債、資本、キャッシュフローなどの単位は百万ドル。EPS=希薄化後EPS)。
どちらも売上が毎年伸び続けていますが、営業CFと純利益がしっかりしているのはTTDのほうです。
しかし、それでも株価のボラティリティはTTDのほうが激しいという、やや不思議な展開が続いています。
損益計算(売上、純利益等)
*同マージン=営業キャッシュフローマージン。15%もあれば優良。通常、売上高>営業CF>純利益となる。営業CF<純利益となる企業は粉飾決算の可能性あり。